季節が木々を彩る時
item3
When the season paints the

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<課題6>
テーマ:一年後
200字原稿×8枚

「会わない鍵」

<人 物>
仲川鈴(28)会社員
米田七海(29)その同級生
野那津(28)その同級生

 

○山間の道路俯瞰
   脇に雪が積み上げられている道路。
   車が走り抜ける

○車・車内
   運転席に仲川鈴(28)、助手席に那津(28)
   その間を後部座席に座る米田七海(29)が
   身を乗り出している。
七海「まだ着かへん?」
那津「出た!七海の『まだ〜』が。ホンマ、せっかちやね」
七海「お腹すいたから、サービスエリアにと思って聞いただけやん」
鈴「もう、ひと山越えたらスキー場だから、あと三十分くらいやで」
七海「三十分か・・。それなら我慢しよ」
   七海のお腹がグルグルと音を立てる。
七海「やっぱり我慢でけへん!
那津「(笑い)後ろにある私の鞄にお菓子入ってるわ。
 食べるんやったら自分で出して」
七海「やった!頂き!」
   車がトンネルに入り、車内が暗くなる
   七海、那津の鞄を開けて手で探る。
七海「ん?何これ?」
   七海の手にリボンの付いた小箱 。
鈴・那津「ハッピーバースデー!」
七海「そうか、すっかり忘れてた。別にええのに。
 ありがとう!早速開けちゃおうっと」
   七海、リボンを外して箱を開ける。
   箱 には腕時計が入っている。
那津「二十代最後の一年を刻んでね〜
七海「嫌なことを思い出させてくれるな〜」
鈴「来年三十路か〜」
七海「三十路って言わない」
那津「じゃあ 、負け犬?」
七海「もっと言葉悪いわ!」
鈴「(笑い)来年三十ってことは、タイムカプセル
 
開けるのも来年ってことやんね」
七海タイムカプセル?
鈴「ほらっ、高校卒業する時に三人でタイムカプセル埋めたやん。
 三十歳の自分たち宛てで手紙書いてさ」
七海「い出した!香春公園の一番大きな桜の木の下で
 来年の春に集まるんやろ?」
那津「そう。その時鍵忘れたらあかんで
七海「鍵?」
鈴「もしかして、無くした!?三人それぞれの鍵が揃わんと
 開けられへんねんで!?
七海「冗談やん。ちゃんと持ってます

○雪山俯瞰
   辺り一面雪に覆われている。
   車がトンネルから出てくる。

○車・車内
鈴「うわ〜、真っ白!」
那津「まさしくトンネルを抜けると、そこは雪国だった、
 って感じやね〜
   七海、手首にはめた腕時計ばかり見て、嬉しそうに
   手をかざしている。

七海「どう、似合う?」
   突然、大きく車が揺れる
鈴「!」
   鈴、慌ててハンドルを切る。

○雪山の道路・俯瞰
   急カーブで車の後輪がスリップし、車の後部が大きく
   振られている。
   車はそのまま大きく蛇行を繰り返し、反対車線の壁に
   衝突して止まる

○車・車内
   鳴り響くクラクション。
   散らばるガラスの破片。
   ハンドルと座席に挟まれている鈴。
   鈴、うっすらと目を開ける。
   エアーバッグに寄り掛かったまま動かない那津。
   那津の足下で倒れ込んでいる七海。
   七海の腕時計のガラスは割れ、針は止まっている。
鈴「那津・・・?七海・・?」
   鈴の視界が白く霞んでいく。

○香春公園・俯瞰
   満開の桜並木。
   その沿道で賑やかに花見をする人達。

○同・桜の老木の前
   沿道から外れてひっそりと立つ老木。
   まだらに咲く桜を見上げ、一人佇んでいる鈴。
鈴「約束の日やで。・・・・でも、私だけじゃあ、あかんやん。
 私一人だけおっても開けられへんやん」
   鈴の手に小さな鍵が握りしめられている。
鈴「三人一緒じゃなきゃ・・・・。那津・・・。七海・・・。」
   視線を落とす鈴。

誰かの声「鈴!」
   背後からの声に振り返る鈴。
   その目に涙が溢れる。

<作者の言い
 前回のと今回の話、思いっきり関西弁です(^_^;よく考えたら、今まで関西弁で書いたことがないんですよ、不思議なもんで。まあ、オリジナルの作品をほとんど書いてないわけで(^_^;>恋スナや西遊記には関西弁は出てこないから、当然と言えば当然ですね。
 関西弁、慣れ親しんでいる私はともかく、他の地域の方にはどんな印象を与えるんでしょ?やっぱりキツい言葉に聞こえるのかな〜?以前、姉と旅行に行った時、普通にああだこうだとしゃべってるだけなのに、その地域の人達からジロジロと見られてしまったことが。どうやらケンカしていると思われたようで (苦笑)
 私が話す関西弁は河内弁とも言われるもので、とりわけ荒く(キツく)聞こえるものだそうです(^_^;>おまけに、姉妹間だから余計にフランクにしゃべるので、他の方からは相当なものなのかもしれませんね〜。事実、奈良に住んでる姉の友達でも、私たち姉妹がケンカを始めたと思ったそうです(そんなつもりは全くあらへんのに・・・)

 オリジナルの作品となると、どうしても身近な題材を使うことが多い。毎週どんな話を書こうかと追いつめられるので(^_^;>いつも苦し紛れに最初に浮かぶのが自分の経験からイメージするものなんですよね(汗)経験そのものを使うことはないけど、そこからシュチュエーションを変えたり、キャラを変えたりで広がっていく。おかげでいつもビクビクしてます、いつ自分の引き出しがなくなるんじゃないかと(^_^;>