<人 物> 渡部晃司(23)会社員 徳永由貴(22)元恋人
◎渡部の部屋(真夜中) 雑然としたワンルームマンションの一室。 ベッドでは誰かが眠っている。 突然、傍のテーブルにあった携帯電話が鳴る。 渡部晃司(23)が眠そうにベッドから顔を出し、携帯を手に取る。 ディスプレイには徳永由貴の文字。 表情を変えて起き上がる渡部。 しばらく携帯を見つめるも、戸惑いながら通話ボタンを押す。 渡部「・・はい。ああ、久し振り。・・・泣いてるの?え、今から?」 渡部が時計を見ると、針は二時十分を指している。 渡部「・・・・・」
◎(回想)喫茶店・店内 T「去年のクリスマスイブ」 硝子越しに通りが見える席に座る渡部と徳永由貴(22) 渡部「・・・好きな人ができた?」 由貴「ごめん。ずっと気の迷いだと思っていた。 だけど、もうこれ以上、誤摩化せない。嘘つけない。 ごめん。本当にごめんなさい」 由貴、席を立って走り去る。 茫然とする渡部。 硝子の向こうでは明るい笑顔の人たちが行き交っている。
◎渡部の部屋(真夜中) 携帯で話す渡部。 渡部「・・・ごめん。今日はもう遅いから。また今度」 渡部は振り切るように電話を切り、テーブルに携帯を投げる。 その拍子に写真立てが倒れる。 立て直そうと写真を手に取る渡部。 写真は学生サークルの集合写真。十五名程の中で渡部と由貴が 腕を組んで笑ってる。 ずっと写真を見つめる渡部。 渡部、急に思い立ったように車のキーを掴むと、玄関を飛び出していく。
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