〜憧れのロンシャン競馬場 激闘編〜
的中した馬券を払い戻そうと思って、払い戻し場所を探したが見当たらない。どうやら馬券売り場の窓口で払い戻しをやっているようだった。
馬券は10フラン買っていたので払い戻し金は1340フランだった。払い戻した時、窓口のおじさんに、「払い戻しだけか?馬券は買わないのか?」と聞かれた。
どうやら、払い戻した時に、そのお金で馬券が購入できるようだった。的中金額と新たに買う馬券の金額の差額を払い戻してくれるシステムのようだった。
私は払い戻しだけ済まし1340フランを手にした。(約2万7千円)
100F→1340Fになった。いえーい!幸先いいぞ!
実はヨーロッパの競馬をするにあたってルールを決めていた。
それは、
・一レースにつぎ込むお金は100フランまでとする。
・的中すれば、払い戻したお金全額を次のレースにつぎ込む。
・外れた場合はまた一レース100フランから始める。
というものである。こうすれば、負ける場合は一レースにつき100フランだから一日10レースとして負ける総額は多くても1000フランくらい。まあ許容範囲内だ。
勝つ場合は、的中した金額全てを次につぎ込むので、うまくいけば雪だるま式にすごい大金になる。
外れたとしても、もともと一レース100フランから始めたものであるから負けはしれている。そして十分楽しめる。
さて今回だが、いきなり1340フラン入ってきてこれを次に全部つぎ込むのにビビッてしまった。
事前に決めたルールを変更して500フランだけ次のレースにつぎ込むことにした。外れればまた100フランから始めるつもりである。
(これが、その後のレースで当たり続けた)
この500フランは絶対外したくないという気持ちが芽生えていた。
そこで思いついたのが単複馬券。
とくに複勝は3着までに入着してくれればいいから、当たる確率が一番高い。
これからのレースは単勝・複勝で攻めることにした。
私は、一番人気の複勝に500フランを賭けようと馬券を買いにいった。
窓口のおじさんに紙を渡して、500フランを払おうと待っていると
「ムッシュ、500フランてほんとうにいいのですか?」
と聞いてきた。こんな大金賭けていいの?50フランの間違いでない?
という意味であろうか・・・。
「ウイ、OK」
というと
すごくおどろいたふうであった。
どうやら、複勝に1点500フランも賭ける人はこの売り場では珍しいようであった。
さてレースだが、ゴール前、団子状態で何が上位に着たのか分からなかった。
掲示板を見ると買った馬がなんと一着できていた。やった!2連勝!
複勝は130円ついた。これで500フランが650フランになる計算である。
その次のレースも一番人気の馬の複勝に払い戻し金全部を賭けるつもりでさっきと同じ窓口にいった。
「シルブプレ」
と言って、的中馬券を渡した。
そして、
「この馬の複勝に全部」
と言った。
「ムッシュ、ほんとうですか?650フランもありますよ」
「ウイウイOK」
またもやおじさんはびっくりしたような顔をしていた。(この東洋人ただものでないな)
さて、レースだが最後の直線で私の買っている馬が3着に粘っているのが分かった。
「そのまま〜!」
ロンシャン競馬場に日本語がこだました。
その甲斐あってか3着に粘った。やった!3連勝!
払い戻しは120円だった。
これで、また払い戻し金額が増え780フランとなった。
次のレースは一番人気が圧倒で単勝が1.5倍しかついてなかった。
今度はこの馬の単勝に全額賭けることにした。
同じ窓口のおじさんに
「シルブプレ」
といって的中馬券を渡す。
「この馬の単勝に・・・」
と言いかけると、
「全部ですね、ムッシュ」
と微笑みながら言ってきた。
「ウイウイ、全部だよ」
おじさんは応援してるぜ!、みたいなことを言って馬券を渡してくれた。
さて、レースだが直線で私の馬が後続を引き離して走っていた。
「いけ〜!」
「ううぉー!」
またしてもロンシャン競馬場に日本語がこだました。
私の馬はぶっちぎりで勝った。か・い・か・ん(快感)
やった4連勝!超感動!
これで払い戻しが1000フランを超えた。本日2度目。
この複勝・単勝馬券買いはこの日、的中し続けた。
日本でも年に一度あるかないかぐらいの好調ぶりだった。
第7レースを終わった時には500フランから始めた全額ころがし馬券の払い戻しが1600フランになっていた。
最初の万馬券と合わせて収支が合計2400フランほどプラスになっており初めてのヨーロッパ競馬にして大勝だった。
こうしてヨーロッパの熱い競馬観戦がスタートしたのだった。