届かない祈り


 どれほど懇願しても、届かない祈りを知っている。

 母親が病気で死んだ時、必死で神様に祈り続けた。
 神様、どうか母様を連れて行かないでください、と。
 父が事故で死んだ時、必死で神様に祈り続けた。
 神様、どうか父様を無事に帰らせてください、と。
 初めて知った兄という存在に疎まれた時、必死で神様に祈り続けた。
 神様、どうか兄様に許されますように、と。
 一度として、祈りが届いたことはない。
 母は死んだし、父も死んだ。兄にはいまだに疎まれ続けたままだ。
 神様が本当にいるのだとしたら、どれかひとつくらい叶えてくれたっていいんじゃないだろうか。
 信仰心などとうに棄てた名ばかりの聖職者の祈りなど、神様の御許には届かないのだろうか。
 いつからか祈ることをやめた神様に、俺は何年かぶりにこうして祈っている。
 神様、どうかエイトが幸せになりますように、と。
 俺の祈りが、願いが届いたことなどないと解っていながら、俺は祈る。
 そうであって欲しいと思いながら。
 そうならないで欲しいと思いながら。
 相反する気持ちを抱きながら、俺は神様の足元に跪いて十字を切る。
 どうか、エイトが幸せになりますように、と。












 白い、オークニスで降り積もった雪よりもなお白い、純白のドレスを身に纏ったミーティア姫の幸せそうな笑顔に、ククールは目を細めていた。感激しきりのトロデは、さっきから顔がにやけっぱなしだ。
 どうでしょうか、と目の前でくるりとターンをしてみせる可愛らしさには、さしものゼシカも溜息を吐かずにはいられないようだ。
「素敵ねぇ……私もいつか、こんなドレスを着て結婚式挙げたいわ…」
 ゼシカの言葉にミーティアだけでなく、側に黙って控えていたエイトも笑みを浮べる。柔らかく、幸福を抱きしめた笑顔にククールはそっと気付かれぬように目を伏せた。
 白いドレスを着たミーティアの側に立つエイトに、白いタキシードは良く似合っていた。胸元に咲いた淡い桃色の薔薇にいくつもの幸福が宿っているように思える。
「じゃあブーケは絶対にゼシカさんに投げますね!」
 頬を染めながら告げるミーティアの言葉に、ゼシカも同じように頬を染めて嬉しげに頷く。
「ええ、是非お願い! だって早く結婚して、お母さんを安心させてあげたいし」
「肝心の相手はいるのかよ」
 茶化す気配を漂わせながら横から口を出すククールを見上げ、ゼシカは眉間に皺を寄せる。せっかく綺麗に化粧をし、一張羅に身を包んでいるのに、そんな表情では台無しだ。腰に手を当てて豊満な胸を見せ付けるかのようなゼシカは、ぷいっと顔を背けるとやけっぱちのように言った。
「いいのよ、相手なんて! その内どこからだって沸いてくるわ!」
「そう言や、婚約者とかってオトコがいたでがす。ラ、ラ、ラ…ランチョンミートとか言う…」
 似合わないタキシード姿のヤンガスにゼシカはびしりと人差し指を突きつけた。
「ラグセットよ! あれはいいのよ、別に! あんなの親が決めたのだし、それに行き先はサザンピークよ? リーザスからうんと離れちゃうじゃない。あの村を守るのは私しかいないんだから、駄目なのよ、どうしたって」
「そう言えば、ゼシカはお嬢様だもんな。ポルトリンク地方も治めてんだろ、お前んち」
「ええ、そうよ。サーベルト兄さんがいたんならまだしも、死んでしまったわけだし……ああもう、駄目よ、こんな辛気臭い話は! 折角の結婚式なんだもの! パァッと盛り上がりましょうよ、ねっ?」
 明るい色をした瞳をくるくると動かすゼシカに、そうでがすね、とヤンガスも屈託なく笑う。
「アッシの兄貴、一世一代の大舞台でがす! パァッと散るでがす!」
「散ってどうすんのよ。エイトとミーティアの生活はこれからなのよ?」
「ゼシカさんの結婚式にも、呼んでくださいね? ミーティアはエイトと一緒に、何を置いても駆けつけますわ」
「そうだよ。ゼシカならすぐにいい人が見つかるよ。ランチョンミート以外にさ」
「ランチョンミートじゃないったら!」
 エイトにまでそんな事を言われて、ゼシカはぷりぷり怒るやら呆れるやらで忙しいようだった。黒いシックなドレスはゼシカに良く似合っているが、彼女としては早く白いドレスを着たいのだろう。
 ククールは微笑してそのやり取りを眺めていたが、室内にそっと入ってきた修道士に目配せをされ、悪い、と声を上げた。
「呼ばれてるみたいだから、行ってくるわ」
 申し訳なさそうに片手を立てて見せると、ゼシカが途端に厳しい顔をする。
「あんた、ニノ法王の付き人なんでしょ? 失敗しないでよ、肝心なところで」
「大丈夫だよ、ゼシカ。ククールだって一応、聖職者なんだから…」
 エイトのフォローにもならない言葉に、そうでがす、とヤンガスも頷いている。
「一応、修道院で生活もしてたでがす」
「お前らなぁ……」
 ククールはほとほと呆れたとばかりに溜息を吐いて見せた。
「一応一応って……いい加減にしろよ? わざと聖水ぶちまけて、式台無しにしちまうぞ」
 怖い顔を装ってすごんで見せるも、気心の知れている連中に効果はない。ミーティアにすら、それも楽しそうですわね、などと言われる始末だ。ククールはぱっと両手を広げて降参の意を示した。
「あーあ、もう馬鹿らしくなっちまうよ、お前らと話してると」
「それだけ信用ないってことよ。いいから行きなさいよ、待ってんでしょ、ニノ法王が」
「へーへー」
 ククールはそのまま踵を返し部屋を出ようとして、あっと足を止めた。振り返り、右手を胸元に当て、左手を腰へ回す。そして純白のドレスを身に纏い、幸せでしかその胸を満たすものはないだろうと思われるミーティアへ向かってお辞儀をして見せた。
「改めて、トロデーン国王女ミーティア殿下。此度の御婚姻、殿下の夫君となられるサザンピーク国王子エイト殿下の戦友として、まことに喜ばしく存じ上げますと共に、心よりの祝福を同席者唯一の聖職者として、殿下へお捧げしとうございます。よろしゅうございますか?」
 ちらりとお伺いの眼差しを上げれば、ミーティアは頬を真っ赤に染めて頷いた。ククールはその場に膝を付くと、ミーティアのウェディングドレスの裾を取った。
「殿下方に永久の幸福が訪れますよう、父たる主と母たる女神の祝福を…」
 ウェディングドレスの裾にくちづけをすれば、椅子に腰掛けていたトロデが何度も、良い良い、と繰り返し頷いている。
「さすがワシの部下じゃ! それでこそ聖職者たる姿じゃぞ、ククールよ」
「誰がおっさんの部下だっつの」
 腰を上げるなりいつものざっくらばんな姿に戻ったククールに、ゼシカとヤンガスは感嘆の溜息を吐いてみせる。あんたってやればできるのねぇ、と有難くもないお褒めの言葉を頂き、そいつぁどうも、とククールは大仰にお辞儀をした。そして顔を上げると、ずっと微笑んで一連の出来事を眺めていたエイトを真っ向から見据える。
 黒曜石のようなこの瞳を見つめるのも、これが最後、と思いながら、ククールは微笑んだ。
 飾り立てた上辺だけの祝福を連ねたくちづけよりも、万感の思いをこめて告げる。
「幸せにな」
 幸せにしろよ、でも、幸せになれよ、でもない。
 ただ、幸せに、とそれだけを願って告げた言葉に、エイトは滲むように微笑んだ。
「うん」
 ククールはそれを最後に、今度こそ本当に部屋を出た。サヴェッラ大聖堂の新郎新婦の控え室の外には、ククールを呼びにきた修道士がずっと待っていてくれたようだった。ククールとそう変わらぬであろう年の修道士は、穏やかな顔に笑みを浮かべ、ニノ法王がお呼びです、と伝える。そりゃどうも、と軽く頭を下げ、サヴェッラ大聖堂の裏口から出る。
 式の開始時間にはまだ間がある。法王はぎりぎりまで法王の館を出てはこないので、まだ空中に浮く館の中にいるはずだった。
 どんな原理でかは解らねども動く石版を使い、空に浮かぶ館へククールは向かった。薔薇の咲き誇る庭園を抜け、館の中の法王の部屋のドアをノックする。すぐに応えがあり、ドアを開いたククールは、そこにいた思いもよらぬ人物の姿に目を丸くした。
 ククールが今身に纏っているのと同じ、青い聖堂騎士団の衣装を身につけ、黒い髪を以前と変わらず後ろへ撫で付けた威風堂々とした姿は、失礼します、と呟きながら入ったククールの言葉に振り返った。
「兄貴…」
 驚くククールに、ニノが福々しい顔に笑顔を浮べる。
「おお、きたか、ククールよ」
 法王の衣装も様になっているニノが、近くに寄れとばかりに手を動かす。
「今日は大国の姫の結婚式ぞ。恩赦が与えられ、そなたの兄も出て参ったのだ」
 すべてが終わった後、マルチェロは自ら罪を受けたいと申し出た。己の欲のために誤った手段を用いたこと、前法王を手にかけたことなどをニノに懺悔したが、前法王を手にかけたことに関しては証拠が一切なく、疑わしきは罰せずという教会の大原則の下に不問となった。だが、マルチェロの行動のせいで傷付いた人間は多くあり、そのための償いをすべく教会下にある牢獄で懲していたのだ。
 それが今日の、ミーティアとエイトの結婚式に際して出された恩赦によって不問となったらしい。
「へぇ…そりゃ良かったじゃねぇか」
 ククールがそう言ったが、マルチェロは何も答えなかった。だんまりかよ、と思っているククールに、ニノは手を擦り合わせながら言った。
「それでの、どうせじゃ。そなたに頼んでいたわしの付き人だがの、マルチェロと一緒にやってもらいたいと思ってな。いや、そなたらの業はわしも知っておる。知っておるからこそ、これを機とも思うのじゃ。マルチェロは良いと申しておる。そなたはどうじゃ?」
 ニノの思いもよらぬ言葉に、そしてそれに対してされたマルチェロの応と言う返事に、ククールは目を丸くしてマルチェロを見た。無表情に少しばかりの困惑を浮べた緑の瞳に、ククールは知らず苦笑を馳せる。
「……悪い」
 抑え込んでいたじくじくとした胸の痛みを思い出し、ククールはぎゅっと己の手のひらを握り締めた。
 思い起こすは、白いドレスの側に立ち、優しい笑みを浮べていたエイトの顔だ。胸に咲いた淡い桃色の薔薇を手折りたいと一瞬なりとも願ったあの幸福満ちる場を思い出し、ククールはかすかに震える唇を叱咤した。
「…俺、付き人はできねぇんだ…。だから、兄貴一人でやってくんねぇか」
「なんと。なぜじゃ? そなたはエイトの友人であろう。付き人に相応しいのはそなた以外におらんというのに……」
 目を丸くするニノと、不服そうに眉を寄せるマルチェロとを見比べ、ククールは笑みを浮べる。いや、浮べようとした。できれば笑みであってほしいと思った顔は、だが二人には泣き顔、良くて泣き笑いの顔にしか見えなかったようだった。
「……聖水ぶちまけてでも、経典に火をつけてでも、式をぶちこわしたいって思っちまうから、だから、駄目なんだ…。でも兄貴なら丁度いい。兄貴がいなくても、あんたには誰か他の代わりを探してくれって頼むつもりだった…」
 ニノへ告げた言葉に、なんと、とニノ法王は目を丸くしている。
 それまでじっと黙って話の先を眺めていたマルチェロが、俯き唇を噛み締めるククールを見つめ、静かに尋ねた。
「あの少年が、原因か? ただの旅の友ではなかろうと思っていたが」
 悲しい苦しいと叫ぶ心に、じんわりとしみこむ静かな声に、ククールはきつく瞼を閉じた。そして開いたその青い目には、殺したはずの感情にぎらぎらと滾る炎が宿っていた。
「ああ…そうだよ……」
 呻くような声はひどく掠れていた。
「エイトの、幸せな顔を、見ていられないんだ。だってそうだろ? キスだってセックスだってした! 俺に愛してるって言ったその口で、あいつは姫さんに結婚を申し込んでるんだぞ! 一言の説明もなしに、結婚式の日取りを嬉しそうに俺に言うんだぞ! 俺は、どう言えばいいんだよ! 止めりゃいいのか? やめてくれって、俺を棄てないでくれって泣いて頼めばいいのか? 俺が式の日取りを聞いたときには、もうみんながあいつの結婚を知ってたんだ! 幸せそうに笑うあいつや、姫さんやおっさんに、自分のことみたいに喜んでるヤンガスに、ゼシカに! 俺が何を言えばいいって言うんだよッ! 平気な顔して笑ってるしかねぇじゃねぇかッ!」
 喉の奥から迸る叫び声に、なんと……、とニノは呟き十字を切る。それを目の端に捕らえていたククールは、皮肉な笑みを浮かべ、思っていた。
 神様なんかに祈ったって、どうにもなるもんか、と。
 その気持ちを見透かしたかのように、マルチェロのひどく澄んだ緑色の瞳がククールを見下ろしている。ククールは無言の重圧に耐えられず、閉じた唇をまた開いた。
「……諦めてやらなくちゃいけない事くらい、解ってるんだ……。だけど、今はまだ、気持ちの整理がつかないんだ。兄貴が、俺と一緒に付き人をやってもいいって言ってくれたのは嬉しい。けど、無理なんだ。見ていられないから、だから、悪いけど、頼むよ。俺はここで、幸せを祈るから」
 握り締めた手のひらに、爪の跡があった。固く閉じていた拳を開きながら、ククールは深い息を吐く。
 ニノは罪を悔い許しを請う祈りを神へ捧げ、マルチェロはただ静かに問うた。
「お前は…それで良いのだな…?」
 優しさすら含んだ声に、ククールは頷いた。
「……ああ。それがいいんだ」
 結婚式を司るニノの側に、付き人としてのククールがいなければ、主役の二人は元より、旅を共にした気のいい二人も、そして緑の化け物だった王も気にするだろう。だが彼らのほんの少しの疑問で、自分が行ってしまうかもしれない浅慮な事柄を回避できるのであれば、それに越したことはないだろうし、それが何よりのエイトへのはなむけだろうとククールは思った。
 ぎこちない笑みを浮べるククールの前に、マルチェロの手が差し出された。その指にかつてあった聖堂騎士団の団長を示す指輪はない。
「では、付き人の証を」
 ククールはのろのろとした動きで折り畳んでいた一本の布をポケットから取り出した。青い衣の上にひどく目立つ、紅の布に金糸で祈りの言葉やら縁取りやらが施された幅の広い帯だ。首から下げ、それを付き人の証とする。
 マルチェロはそれを受け取ると、慣れた仕草で広げ、首にかけた。そろそろ定められた刻限が近付いている。ニノは法王として大聖堂へ下りなければならない。ククールが振り返れば、最後の祈りを終えたニノが法王の証である冠を被り、杓杖を手にしていた。机の上の卓に、きちんと並べられていた聖水と経典とが乗っている。その卓をマルチェロが持ち、ニノの後に続く。
 聖水の瓶は片手に納まるほどの小さな瓶に入っている。今日この日のためだけに特別に清められた聖水は、この場へ再びニノとマルチェロが戻ってくるときには空になっているはずだ。そしてそれは、無事に婚姻が執り行われたという証でもあった。
 それをぼんやりと眺めているククールを置き去りにして、結婚式を司る法王とその付き人は部屋を出る。振り返らないふたつの背中を見送ったククールは閉ざされたドアの音に促されるように、ふらふらと部屋に佇む女神像の足元に跪いた。
 抜けるような青空と、飛び交う鳥、幸福を祝うように咲き誇る花々の甘い香りが法王の館の至高の部屋にまで辿り着く。大聖堂のざわめきすら、聞こえてきそうだった。
 そんな光に満ち溢れた世界を見下ろす場所で、女神像はただ微笑み、ただククールだけを見下ろしている。
 慈愛に満ちた微笑み、優しさをもたらす眼差し、すべてを許すその両腕の下で、ククールは手を組み、頭を垂れ、目を伏せた。
修道院で覚えた正式な祈りの文句に、心を込められそうにはない。何より、神道に入ってからこれほど熱心に祈りを捧げたことなどなかった。
 ククールは幼き日に祈ったように、ただただ拙い祈りを捧げる。
 神様、どうか俺が、エイトを忘れられますように。
 神様、どうか俺が、エイトの幸福を心底から願えますように。
 神様、どうか俺が、エイトの笑顔を心から祝福できますように。
 神様、どうか俺が、エイトのこれからを心から喜べますように。
 神様、どうか俺が、エイトを詰る千の気持ちよりも、エイトを愛しむひとつの気持ちが、あなたの御手に掬われますように。
 神様、どうか、混沌に満ちた考えの中から、綺麗な祈りだけが、あなたの御許に届きますように。
 静かだった室内に、開け放たれたバルコニーからガランと盛大な鐘の音が聞こえた。ククールは頭を垂れ、世界中に届けとばかりに鳴り響く鐘の音に唇を噛み締める。
 神の数字である三つの鐘の音は、結婚式の始まりを告げる合図だ。そして次に七つ鐘が鳴らされた時、祝福された二人がひとつの家族となって、新しい道を歩み始める。
 ククールは始まりを告げる鐘の音を聞きながら、いつだって届かない己の祈りが、どうかひとつでも、せめてこれだけでも届くようにと祈り続ける。
 神様、どうかエイトが、幸せでありますように、と。
 ククールは心から願いながら、七つの鐘が鳴り終わるその時まで、十字を切り続けた。




 たまーにこういう話が書きたくなります。そして書き始めたら一気に書き終わります。そりゃもうその場の勢いでがんがん書き進み、後からぽちぽち編集をする、と。ちなみに文中でゼシカが自分の婚約者を『ラグセット』と言ってますが、ゼシカ自身も間違えてるんです。まったく興味ないから適当に覚えてるんですよ。正しくは『ラグサット』、わざわざこれだけのためにサザンピーク大臣閣下邸まで行った私。本気でラグセットかラグサットか思い出せなかったので(笑)。そんな気持ちをゼシカに代弁してもらったりして。
 この話でエイトとククールは肉体関係あります。どっちが受にしろ攻にしろ、ククールは本気でエイトが好きでそう言ってきたけれど、エイトはそれを単なる性欲処理の流れのうちの言葉遊びだと思っているので、ミーティアと結婚すると決めてもククールには何の後ろめたさや申し訳のなさがないんです。エイト、ひどい子! 無頓着と言えばそれまでだけれど、この話の中でエイトは愛を知らない子だといい。ミーティアと結婚するのも、トロデに頼まれたからで、結婚後、ミーティアとククールとの違いを探す自分に疑問を持って、ククールが会いにこないことに苛立ちを感じ、ククールへの気持ちを改めて思い知るといい。でもそこまでいかなくてもいいかな、とも思ってたりします。無頓着なひどい子止まりでもいいかなと。何せ私、幸せ貧乏(幸せ貧乏の定義はこちらから )大好きなもので、永遠の片思いとか、重ならない思いとか、繋がらない手とか、そう言う言葉に反応するんです。この話はそう言うのを詰め込んだ話かと。届かない祈り=届かない思い=エイトに伝わらなかったククールの気持ち。考えるだけで切なくなると同時に、ぞくぞくするの(笑)。……Mだとばかり思ってたけど、Sなのかしら、私…。