ウインドとジェットスキーの事故について



専門雑誌”Windsurf”より抜粋


私はかけがえのない友を一瞬にして失ってしまいました。友は湖でウインドサーフィン中に水上バイクと衝突し亡くなってしまったのです。言葉では言い表せない絶望感と深い悲しみが私を覆っています。今後この様な事故が二度と起こらないように、同じ悲しみを味わう人がこれ以上増えない事を祈り、事故の内容を知っていただいて避けることのできる危険性を回避して、安全にウインドをしてもらいたいと思い、仲間を代表してペンを取りました。事故の詳細は以下の通りです。

1998年8月10日 15時頃、山梨県本栖湖の奥側キャンプ場にて


ウインドサーフィンと水上バイク(マリンジェット)が衝突し、ウインドサーフィンに乗っていた友が衝突のショックで体中の骨を折って亡くなりました。
私が説明を受けた事故の状況は、ウインドサーフィンがキャンプ場側の山から吹いている南風にのって通称ファンボードゲレンデからドレゴン側へ直進していた時、ウインドより風上側にいたジェットが左旋回

してきてウインドのボード右前部と、ジェットの右前部が衝突。(つまりジェットが左急旋回してほぼ曲がり終えた時に衝突)変則的な正面衝突だったそうです。その時の風はセイルサイズ6.5のジャストアンダーで、ブローをつかめばプレーニングできる風域でした。
衝突直後、湖に投げ出された友は、ライフジャケットを着用していた為、水の上に浮いていることが出来

たので、岸にいたジェットの方によって迅速に救助されました。
幸い偶然にも現場へ遊びに来ていた、消防署のレスキュー隊の方と、救急の方がすぐさま蘇生(心臓マッサージ、人口呼吸)を救急車が到着するまでの間ずっと施して頂きました。その現場にて考えられる、最高の処置をして頂いたと感謝しております。

ただ、残念ながら、友は衝突のショックにより腰骨、右大腿骨をはじめいたる所が骨折し、首の頚骨骨折が致命傷となり帰らぬ人となってしまいました。
友は最近「ジェットは多くて危険だ」と言っていた矢先の事故でした。私もジェットの危険性を甘く考えすぎていたようです。「スクリューのないジェットは、水の中に潜れば危険を回避できる」と思っていた事や

新聞で「ジェット同士で衝突し死亡」という記事を見ても水の上に落ちてどうして命を落とすのか理解が出来ないでいました。
しかしながら人間は、許容範囲を越えた衝撃に耐えられないということなのでしょう。同じ事は、ウインド同士の衝突にもあてはまる可能性があると思います。ジェットを含めウインド等、水上にはルールがあり

ます。マリンスポーツを楽しむ前提にそれらを尊重するモラルが必要だと思います。
また、自分の身を守る事は非常に重要だと思います。最低限ライフジャケットは必須です。
今回は非常に残念な結果になってしまいましたが、もし息があれば助かった可能性がありました。湖の底に沈んでしまっては、それこそ手の出しようがありませんでした。

残念な事に、事故当時多数の人が水上・湖畔にいたにもかかわらず事故の目撃者がみつかりません。ご遺族の方々からも、釈然としないしない点があると聞いております。
8月10日に本栖湖のファンボード側にいらした方で、事故を目撃した方、あるいは「ああその辺でウインドしていた人いたね」等どんな些細な情報でもかまいません。ぜひ連絡ください。

最後に、現場にて連絡・救助をして下さった方々、地元甲府の市川警察の方々、第2の事故を出さないように啓蒙活動をして頂いてる方々、及び投稿を快く引き受けて頂いた雑誌社の方々にお礼を申し上げます。

*原文は投稿文のママです。

<連絡先>
郡司 健 (グンジ ケン)
TEL&FAX:0797−45−9271
E-Mail:kengunji@fureai.or.jp




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