才能は両刃の剣

この頃お電話での問い合わせで「あのー先生は超能力者ですか?」って言うの多くて、この場を借り
てことわとっこうって思います。
私はいたって普通の人です。
   (だいたい先生って言うのもできるならばやめていただきたいのです。ホントに)
 病気して死にそうになって蘇った話とかしちゃったからかなぁなんて思ってちょっぴり反省したんですが、
アレはやっぱり私にとってはとっても意味のある体験だったんです。
ほら、よくいるじゃないですかガンでもうダメかっていうので好きな事してたら治ちゃったとか、お医者さん
で余命3ヶ月って言われて90才まで生きたおじいちゃんとか。
私もごまんといるそういう人たちの中にひとりであって、それで特別な力を授かったなんてことはありませ
ん。
 
そもそも「催眠を使います」って言っただけで特別な人って言う誤解が世の中には蔓延しているみたいですね。
 でも催眠なんてコツさえ掴めば誰にでも出来るもんなんです。(あっ!バラしちゃった!)
ってゆーかぁ〜、私たちはみんな日に何度も催眠状態になり、暗示をかけたりかけられたりしています。
こんな経験はないですか?
たいして興味もなく意味も感動もない、CMソングをつい口ずさんでいる自分に気づいて「あれ?どうしてついこれ歌っちゃうんだろう?」って思うこと。ボンヤリテレビを見ているとき貴方は広義に意味で催眠状態であり、そのとき繰り返し聞いている事は暗示となって受け取っていきます。
貴方がスゴク尊敬している権威のある先生のお話を熱心に聞いている時もそうです。
その先生が「神と人間の差を取る事が悟りです」なーんて言うと、 ホントかどうかなんてそれがどういうことかなんて何にも考えずに「ホーそうなんだ!」ってものすごく悟ったような気になったりなんかしますよね。
アレ催眠で暗示です。
 ○○の何十万円もするバックなんていうのも、ホントに好きで価値を認めて買っている人もいらっしゃるんでしょうが、○○はスバラシイという暗示にかかって買っている人も貴方の傍にもいますよね。
コレも暗示です。
 というわけで世の中のあっちにもこっちにも普通に「催眠と暗示」でいっぱいです。
とご説明すると、スゴイことを期待していた方は
「はぁ・・・そんなもんなんですか」となんとも拍子抜けしたように言われるんですが、
そのそんなもんが貴方の人生を縛ったりしているわけです。
子どものころって言うのは顕在意識が完成していない分暗示にかかりやすいです。
「男は弱音を吐いてはいけない」という暗示にかかっている人は、どんなに辛く悲しい事があっても人に助けを求める事が出来ません。そしてスグ弱音を吐く男が大嫌いです。
「やせている方が美しい」という暗示にかかっている人は死んでも良いからやせたいのです。
そして太っている人を軽蔑します。
  催眠状態に導いてある暗示をかける、という事は私はさほど難しい事ではないと思います。
                             (遊びでそういうことをするのはお勧めしませんが・・)
  しかしセラピーはクライアントさんにとってもセラピストにとっても大変苦しい作業で「簡単です」なんてとてもいえません。
たとえば先ほどの「男は弱音を吐いてはいけない」という暗示にかかっている男性を例に取ると、
その人はセラピーに来ているにもかかわらず、何について困っているのか話してくれません。
いえ、彼も話したいんです、でも「男は弱音を吐いてはいけない」という何年ももち続けた強力な暗示にかかっているので言う事が出来ないんです。しかも彼には暗示にかかっている自覚がありません。言い方を変えると自覚がないから暗示なんです。暗示ははっきりと自覚されるとその時点で半分くらいは消えてしまします。そういう性質なんです。(あっ!また企業秘密をばらしちゃった!)
 皆さんはではセラピストが気づいて忠告してあげれば良いじゃないか、と思われるかもしれません。
しかし忠告というのがいかに役に立たないものか皆さんも経験済みでしょう。
「お父さんが厳しすぎるから子どもたちが近づかないんですよ」
そんなふうに忠告して夫の態度が改まった事があるでしょうか?
「間食ばっかりするからご飯が食べられないんじゃないの」
「歯磨きをサボるから虫歯になっていたい思いをするのよ」
そんなものすごく正しい忠告で貴方のお子さんの態度が改まった事があるでしょうか?
みんなわかっちゃいるけどやめられないんです。
 変わるためにはあくまで自分で自覚をしなければなりません。
それから意志を持って選んでいかなければなりません。
ロード・オブ・ザ・リングという映画を見ましたか?
アレにゴラムというのが出てきます。パート2だったと思います。ゴラムがスメアゴルという自分の本当の名前を聞いた時、彼にかかっていた暗示が解けかかります。
(残念ながら彼はスメアゴルにもどれることはできなかったみたいですね)
ああ自分はゴラムではなくスメアゴルなんだと気づくわけです。
しかし長年彼の中にあったゴラムという暗示はまた彼を元に戻そうとします。
人はそれがどんなに不愉快でも長年慣れ親しんだところに留まりたくもあるのです。
その状態で何とかやって来れたのに今更変わるのが怖いのです。
ゴラムがスメアゴルに言う「オレのお陰でおまえは生き延びて来れたんじゃないか!」と言うセリフは象徴的です。
彼はひとりになっ時ゴラムとスメアゴルに別れて争います。
彼の中で激しい葛藤が起こります。
監督は心理学を勉強したのだろうかと思うくらいあの様子は複人格のセラピーにそっくりです。
 
 初めにも申しましたように私は普通の人です。
けれどもそういう大変なセラピーをしていく中で不思議な体験をしたりすることはあります。
しかしそれは求めるものではなく、結果としてやって来るものではないでしょうか?
私の病気の快復もその一つに過ぎません。
 
 世の中には不思議な力を持った人や高次元の存在とコンタクトを取れるというスゴイ人がきっと本当にいらっしゃるんだろうなと私も思います。
それはそれで素晴らしく魅力的です。
何を隠そうその昔私もそういうスゴイ先生に
「貴方の今生の使命は○○です」
「あっ!貴方の後ろに○○がついているのが見えます」
なーんていってもらった事があります。
(だからそういう人に出会ってみたいと思う人の気持ちも解ります)
そのときそのスゴイ先生はとてもいいことを私に言ってくださったので嬉しかったけど、
それ以上、そのアドバイスを生かして自分に変化を起こす事は出来ませんでした。
「そうなんですか、で、どうしたら良いんだろう??」と思っているうちに時は過ぎ、使命はいったいなんだったのか?すっかり忘れてしまいました。
 
         と言う事で、超能力をお求めの方、ゴメンネ
                                他を当ってくれますぅ