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『宇宙クリケット大戦争』 By ダグラス・アダムス |
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| 英国的なのんびりした中にごたごたと寝言のような笑いが...? 超ドタバタのSF小説 |
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| 今日ご紹介するのはある種のシリーズ作品。一応三部作の完結編という噂である。超ドタバタのSF小説? ダグラス・アダムスの手になる『宇宙クリケット大戦争』。 冒頭にシリーズ作品と書いたが正式なシリーズ名はない。しかしまあ“銀河ヒッチハイク・ガイド”シリーズと言っても差し支えはないだろう(少し前に映画のコーナーで映画版をご紹介しています。併せてどうぞ)。一方第三作目である『宇宙クリケット大戦争』だけをいきなり読んだらどうなるか。さっぱり訳がわからん!と本を投げつける人が続出するかもしれない...。 ということで異例の第一作からのご紹介。まず「銀河ヒッチハイク・ガイド」は銀河ハイウェイの建設経路にあったため地球が宇宙の塵になってしまうところから始まる。しかし英国在住のアーサー・デントは友人のフォード・プリーフェクト(彼は実は宇宙人。“銀河ヒッチハイク・ガイド”の編集員として地球に来ていたのである)のお陰で生き残り、元銀河帝国大統領にしてお尋ね者ザフォド・ビーブルブロックスの“黄金の心”号(彼は不可能性ドライブなる訳のわからない推進装置付のこの船を盗んだため手配中。尚、このドライブは駆動すると何が起こるか誰もわからない厄介な代物)に拾われ、地球人のもう一人の生き残りトリリアン、根暗ロボットのマーヴィンとともに銀河を旅する羽目になる。そして地球をデザインした?スラーティバートファーストという老人に出会い、究極のコンピュータが導いた究極の答え“42”に対する究極の疑問を求めるために作られたコンピュータが地球だったのだがその答えが出る5分前に誤って破壊されてしまった、という話をきく...。 第二作は「宇宙の果てのレストラン」。地球の破壊は実は精神分析学者によるものだった(究極の疑問が分かってしまうと商売あがったりになるため?)。かくしてコンピュータの部品である地球人の生き残りアーサーも狙われる羽目に。あれやこれやで彼ら(アーサー、フォード、ザフォド、トリリアン、マーヴィン)は“宇宙の果てのレストラン”を訪れる。ここは時間旅行で未来に行ったところにあり豪華な食事をしながら宇宙の終末が観られる。どさくさに紛れてレストランの駐機場から黒い宇宙船を盗み出した一行。だがこれは銀河一大きな音を出すヘヴィメタ・バンド、デザスター・エリアのライブで使用されるもので曲が最高潮に達した時にサン・ダイヴィング(太陽に突っ込む!)する運命だった。しかし彼らはマーヴィンの助けを借りて(しかしマーヴィンを乗せた船はそのまま太陽に...)再び時空を超えるが離ればなれになり、アーサーとフォードは役立たずの宇宙人の一団の船にヒッチハイクしてしまう。だが船はあえなくある古代惑星に墜落、二人は原始人のような生活を強いられる。そしてある日発見するのだった。この星はあのスラーティバートファーストがデザインした地球の原始の姿だったのだ(フィヨルドを制作するのが得意な老人は自らのサインを北欧に記した...)。 そしてようやく『宇宙クリケット大戦争』である。前二作の概要を読んでもやっぱり訳がわからん!と言う人も多いだろう。何を隠そう私は今回再読で、しかも三作続けて読んでいるはずなのにやっぱり訳がわからん...。 『宇宙クリケット大戦争』。古代地球に幽閉されていたアーサーとフォードはついに脱出に成功した。しかし到着したのは地球が破壊される2日前の英国のロード・クリケット場。おりから英国対オーストラリアの歴史的な戦いが展開されていたが、そこに11体の白いロボットが何故かクリケット選手の出で立ちで現れ大量虐殺を開始する。二人はやはり何故か出現したスラーティバートファースト老人(“実時間を守れキャンペーン”に参画したためこの事態に関わることになった。老人は実はクリケットという競技が好きだと告白する)と共にイタリアン・レストランそっくりの宇宙船(ビストロマス駆動で過去・未来・宇宙のどこでも船室にいながら体験できる幻影情報室を完備している...)で宇宙を破壊しようとするクリケット人を阻止すべくクリケット星に向かう。果たしてアーサー達は宇宙を守ることはできるのか? そして地球人アーサーの血に流れる究極の疑問の追究は成しえるのか??? ぶっちゃけ前二作以上に訳が分からない小説である。地球で行われているクリケットはクリケット人達の遠大な戦争を競技化したもので、殺人ロボット達は競技に使用される木の三柱門=ウィケットを手に入れるため現れたのだ(これを鍵にして支配者を甦らせるという...)。アーサーがしばしば求める飲み物が紅茶であったり、頻繁にポール・マッカートニーが引き合いに出されたり、といかにも英国的なのんびりした中にごたごたと寝言のような笑いが潜んでいる。尚、この作品でもザフォド、トリリアン、マーヴィンが登場、それなりの活躍をしてくれるのでご安心を(何に?)。 ちなみに先に三部作と書いたが実際にはこの後「さようなら、いままで魚をありがとう」「ほとんど無害」の2作が刊行されている。先ほど紹介したメイン・ストーリーに対してサイド・ストーリー的なもののようであるが、結局お馴染みの面々が出現して話をごちゃごちゃにしてしまうところは変わりないようだ。気乗りしないかもしれないが一度試してみてはいかがか...? |
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