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『アビス』 1989年・アメリカ制作 |
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| ほとんどトントンで業界的には失敗作... だが監督的には有意義な作品だったと思う |
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| 今日ご紹介するのは深海を舞台にしたSF映画の名作『アビス』。それではどうぞ。 『アビス』。海底深くに設置された海底油田の掘削基地ディープ・コア付近でアメリカ海軍の原子力潜水艦が行方不明となる。軍部からの依頼でバッド、バッドの妻であるリンジー他掘削基地の作業員達が事故海域にある海溝に向かった。そこでリンジーは不思議な生物を目撃する。半透明の身体に美しい模様を明滅させるその姿はまるで宇宙人のようだった...。 その海溝が“アビス”である。顔を合わせれば口喧嘩を始めるバッドとリンジーを中心に物語は展開していく。バッドには多くの敵役を含む渋い脇役で結構多くの映画に出演しているエド・ハリス、エキゾチックな顔つきのリンジーには「ハスラー2」でアカデミー賞にノミネートされたことがあるメアリー・エリザベス・マストラントニオが扮する。 そんな基地に軍部からコフィ大尉のチームが派遣されてくる。頭ごなしに作業員達に命令を下す姿勢にバッド達は反発するが彼らはそんなことにお構いなく沈没した潜水艦から核爆弾を回収する。実はコフィは沈没の原因がソ連の攻撃だと思い込んでいて、リンジー達が主張する深海に住む生命体など全く信じず、それはソ連の陰謀だ!反撃せねばならん!と行動を起こす。 最初は半信半疑だったバッドもディープ・コアに侵入してきた生命体と遭遇しその存在を確信、コフィの暴走を止めるべく奮闘する。なんとかコフィを阻止(コフィの乗った小型潜水艇は深海に沈み水圧で潰れてしまう)したもののリンジーが心肺停止状態に陥る。涙ながらに蘇生を試みるバッド。もうだめか... と思われた時、奇跡がおき彼女は生き返った。そんな彼女の思いを理解したバッドは深海に沈んだ核爆弾を無効化するべくコフィが持ち込んだ液体呼吸で潜水服のまま深海に降りていく。果たして彼は爆弾を無効化できるのか? そして深海にいるのは本当に宇宙人なのだろうか??? もちろんバッドの深海降下は片道切符である。だが有名なエンディングなのでネタバレ承知で書けば巨大な宇宙船が深海からディープ・コアを乗せたまま海上に浮上、船内から現れたバッドとリンジーが熱い抱擁をしたところでエンドロールとなる。基本海中が舞台の映画なので全体的なトーンは暗めである。よってこの明るいラストシーンが目に焼き付く。 さて監督と脚本を務めたのはジェームズ・キャメロン。ジェームズ・キャメロンと言えば元は脚本家としていろいろな台本を書いていた。ある時「ターミネーター」の脚本を担当したところ多方面から高評価を受け、結果として監督も務めその名を轟かすこととなる。その後も「ランボー/怒りの脱出」の脚本を書いたり「エイリアン2」では脚本を書き監督も務めている。さらに「ターミネーター2」「タイタニック」「アバター」の監督を務め、一時期は全世界の歴代興行収入およびアメリカ国内の歴代興行収入において1位に「アバター」、2位に「タイタニック」がランキングする大成功を収めた。 ところが、である。「エイリアン2」の後に制作されたこの『アビス』の興行成績は悪くはなかったが制作予算と対比するとほとんどトントンで業界的には失敗作とされる。だが途中ディープ・コアに侵入してきた謎の生命体を“自由に姿形を変えられる水”として描いていたあのモチーフは「ターミネーター2」の液体金属型ターミネーター、T-1000として再利用されたし、深海をらしく描くために採用した様々な撮影技術は以降の大ヒット作にも大いに活用されたので『アビス』という作品はキャメロン的には有意義な作品だったと思う。 最後にそんな大監督のおまけ話。彼があまりその関わりを話したくないらしい監督作品に「殺人魚フライング・キラー」というホラー映画がある。アメリカ・イタリア・オランダ合作で製作に名を連ねるチャコ・ヴァン・リューウェンは実は日本人(元日活の女優さんらしい)といういかにもB級な雰囲気だが、低予算すぎて衣装は自前で!等現場は無茶苦茶、挙げ句にキャメロン監督は5日ほどでクビに... ご本人は“外してくれー!”と交渉したにもかかわらず、それでもクレジットには監督として記載されたままである。確かに後の輝かしい活躍からみれば汚点とも思えるが... 何ともコメントのしようがないが事実である...。 |
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