If ・・・(もしも)
  3章 番外編 2人とフタリ5





そうして体を抱きしめていた相沢の指が水都の下半身に降りてくる。
ドクン、ドクンと脈打つそれはそれだけの刺激でイッてしまいそうになったがそれは
握られた両手で断たれた。

「あ・・。」

欲望の出口を失い水都はそれを求めるように体中を揺らした。

「水都・・覚えておけ・・。お前は私のものだ。」

ぎりぎりまで引き抜かれ奥まで突かれる。
大きく穿かれ水都の体はまるで人形のように大きくバウンドした。

「ああ、あああ・・」

水都の口から出る言葉はもう意味などなしていなかった。
相沢が握っていた両手を誤って滑らせた瞬間、解放された出口から水都の欲望が
ドクドクとあふれ出して相沢を締め付けた。

「うっ」

うめき声を上げた相沢に、水都は主導権をとられているに関わらず
優越感を覚えた。
溺れているのは相沢の方だ。
水都は挑発するようにそのまま腰を揺らし相沢を締め付けた。

「やってくれるな、水都」

ますます大きく穿かれ濡れた肌の感覚が、ピッチが早くなっていく。

「あっ、あっ・・・。あああ、、」

体ごと突き上げられ相沢は水都の中で放っていた。

「うああああ・・。」

絶叫とともにどさりと体ごと相沢に委ね水都は倒れ落ちていった。










「しんいち・・ろう、」

オレが目を覚ましたのはやっぱりあの実験室だった。

「んん・・・相沢、」

オレの声は散々相沢に泣かされたこともあって風邪でもひいてるような
声だった。

「相当無理をさせたな。」

相沢は謝ったものの悪びれていねえ気がした。
まあいつもの事だけどな。

「それよりあいつ・・・。」

いいかけてオレは口をつぐんだ。相沢の言っていたもう一人のオレをオレは
見てしまったからだ。あれはオレ自身だったのか?
相沢の言っていたとおり別の人格とかそういったものじゃなくてオレ自身
だった気がした。

オレの感情そのものが何かのきっかけでスイッチが入っちまったように豹変した・・・そんな感じだった。
だが、あまりにも感心できたヤツじゃねえ。
出来れば二度と会いたくねえそんな感じだ。

先ほどの事を思い出しオレはひどく凶暴(悪いことをしてしまったような気分)になったみてえ
で後味が悪かった。

「真一郎、」

相沢は横になっていたオレの髪をなでた。

「お前は水都が嫌か?」

「ああ、実世界であんな奴がいたら顔を合わせたくねえかも。」

「私もか?」

そう聞かれてオレは首を捻った。

「どういう意味だ?」

「私にもお前と同じように別の人格がある。」

相沢の言う別の人格というのはさっきまで対峙していた相沢のことだとわかった。
あれは相沢であってオレの知ってる相沢とは全く異質なものを持っていた。
生命の危機感さえ覚えるような異様さや恐怖をひしひしと感じた。

だがそんな相沢にさえ水都は悦びを感じていた。

「私はお前を知って私にももう一つの『人格』を作った。」

「人格ってそんなに簡単に作れるものなのか?」

「簡単ではないが。さして難しいというわけでもない。お前は私の患者であり、
お前のその人格変換について私はずっと研究していた。」

「オレの為に人格を作ったっていうのか?」

「そうだ。だから聞いている。私もか・・と、」

オレは返事に窮した。だから逆に聞いてやったんだ。

「相沢、お前自身はどうなんだ。水都はお前の手におえる相手じゃねえから
アノ人格を作ったんじゃねえのか?」

「それは違うな。アレは私のもともとの人格だ。作ったのは今お前の目の前にある人格の方だ。」

オレはあまりに驚いて相沢をみた。

「相沢・・・。」

「軽蔑したか?」

「いや・・、」

そういうだけでやっとだった。
あれが本当の相沢なのだとしたら・・・。相当にヤベえ気がする。

それよりもそうやって人格を作っていったら一体どれが本当の自分かなんて
見失っちまいそうだ。
オレは記憶を失ってるからとうに本当の自分なんて見失ってるのかも
しれねえけど。相沢はそうじゃねえし。
オレは今更ながら相沢がいくつもの仮面をかぶっている気がしてよくわからなくなった。

「けどそうやって人格が交代しちまうのはいろんな理由があるから・・だろ?」

「ああ、大概は子供の頃受けたトラウマ、虐待、性的暴行によるものが多いようだ。」

そう言った相沢の表情は重かった。
だからオレは聞けなくなっちまったんだ。

自分の記憶と同じように自分の事はしりてえって思う。
けど相沢はこれ以上は話ちゃくれねえだろう。

重い話になるのかもしれねえがオレはそんなに、弱じゃねえっ。


相沢はふっと長い息をつくといたずらっぽくオレの頬を撫でた。

「真一郎、愛してる・・。」

誤魔化された事はわかっていても
耳元でそうささやかれると流石に照れくさいものがあった。

「なんだよ。突然、」

「今すぐお前を抱きたい。」

くすぐるように体を優しく抱かれてオレは冗談じゃねえとばかりに
相沢を押しのけた。

「エロオヤジが、さっきあんなヤッたろ、」

「あれはもう一つの人格だ。私はやっていない。」

よくもまあ抜け抜けとこの口が言ったものだと
オレは相沢の頬を抓ってやった。

「もう一滴だって出ねえって、さっき5回はイかされたからな。」

「イッたのは6回だ、」

自身たっぷりに言われてオレは負けじと声を上げた。

「5回だ、」

「6回だと言っているだろう、」

「5回」

「そんなにいうならモニターで確認してみるか?」

「なっ、まさかアレを録ったっていうのか・・・。」

勝ち誇ったようにニヤリと笑う相沢にオレはこいつならやりかねねえと思った。

「てめえ、・・。」

絶対にテープは抹殺してやる!!

「なんならもう1度水都にしてやってもいいんだぞ、」

それは流石に勘弁して欲しいと思った。
だからオレは相沢の体重を感じながら降参とばかりに手をあげた。

「ああ、もうわかったって・・けど今度はもちっと・・。」

最後まで言う前に相沢はオレの口をふさいだ。
唇が解放されると同時に「優しくする・・・。」と言われオレは先ほど
言えなかった事を伝える為に自ら相沢に口付けた。


「愛している。」と、






                                                  おわり

ブログのあとがきにも書きましたが、お話の中では5回も6回もやっていませんでした(笑)
話になかった所でヤッたって事で(あはは;)

思いっきり書いたらすっきりしました(爆)本編残る2章がんばります。