フラスコの中の真実 8



     

     
夜は部屋に入ってきたらんを招き寄せると自分の横に座らせた。

「夜、もう空は寝たの?」

「まあな。」

「僕も今日はもう寝るね。何だか疲れちゃったし。
それにまた夢の中でナオに会えるかもしれないでしょう?」

そのまま布団に入ろうとしたらんを夜が呼び止めた。

「まあ、待てって。」

夜はらんを両手で抱え込むとらんを捕らえた。

「あっ・・。」

優しいキスの雨が顔中に注がれらんは首を竦めた。

「夜、くすぐったいよ。」

すると夜は今度はらんの唇に深く口づけた。

「ん・・んん・・・。」

夜の舌がらんの舌を捕らえてはチュっと音をたてて吸う。
らんはこのキスが好きだった。
逃げても逃げても捕らえられて夜に翻弄されてしまうキス。
そのまどろっこしいほどのキスはすぐにらんを熱くする。

まるで体全部が早く夜と繋がりたいって言ってるみたいに騒ぎだして
しまうのだ。
らんは夢中で夜の与えてくれる快楽に酔った。

唇が解放された時にはらんの目はすでにとろんとしていた。
けれど夜の指が思わぬところに伸びてらんは我に返った。

ナオがこんな状況なのにそんな事してる場合じゃないんだ。

「よるぅ、ごめんね。僕今日はそんな気分じゃないの。」

らんはそう訴えたが夜の指は上着を捲ってすでにらんの小さな
突起を捕らえていた。

「ダメだって!!」

強く拒否して夜の手から逃れようとらんが身をよじった時、
夜が強引にらんの腕を押さえ込んだ。

「ヤ・・よるぅ・・。」

体をバタバタさせると夜は手だけじゃなく体全部を使ってらんの
体を押さえ込む。

「あっ。」

密着した下半身から夜がすでに自分に欲情してることがわかって
らんは体中が熱くなった。

夜は強引にらんを押し倒すとわざとチュッ、チュッと音を立てて執拗にらんの胸を吸った。
一生懸命声を抑えていたらんも夜の攻めにとうとう我慢出来ず声を漏らした。

「ううっん、あああっ・・よる・・もう メ。」

夜はらんを蹂躙するだけで何も言ってはくれなかった。
らんはなんだか悲しい気持ちになった。

夜はただ自分の欲望を満たすためだけに僕を
抱こうとしてるんじゃないかって思えて。

それでも普段から夜に慣らされた体はすっかり反応してらんは自分でも気づかぬうちに
淫らに腰を振っていた。



ようやくらんの胸から顔からあげた夜は片手でらんの腕をベットに
縫い付けたまま器用に自分のベルトのバックルに手を掛けた。

カチャカチャっと言う音がしてらんは次に夜にされることを
期待する自分が恥ずかしくなってベットに顔を埋めた。
この時になってようやく夜が口を開いた。

「どうした、らん、そんなにオレとしたくねえ?」

夜は意地悪だ。わかってるくせにそんな事を聞くなんて。
らんが返事をしないでいると夜はらんに腰を押し付けた。

「っんあ!」

お互いのものが触れあってらんの腰を大きく突き上げていた。
それだけで押し入られたような気がしてらんは夜の肩にしがみついた。

体の奥からつき上がってくるような欲情。夜が欲しい。夜が欲しいよぉ。

「お願い、夜、夜が欲しいの。」

らんの声は泣き声のように震えてた。

「ああ。かわいいな、らんは、」

今までの強引さと打って変わって夜は満足そう笑うとらんと一つになるために
らんの腰を高く持ち上げた。











オレが目を覚めたのは夜中も夜中だった
おそらく夜に無理やり寝かされてたのが長くて早く目が覚めちまったんだろな。

けど・・なんか腰の辺りがダリいよな。
それに、この甘く くすぐってえような感触は・・・。

思いあたるこのいつもの感覚にオレはふっとため息を漏らした。

「たく、あいつら、藤守がこんな時だってのにのん気なもんだよな。」

しかもこの感じじゃついさっきまでヤッテたってかんじだ。

オレはもう1度ため息をついて傍で寝てる藤守(おそらくはらんなんだろうけど)
の髪に触れた。




「なっ藤守・・・もう目え覚ませよ。いくら寝るのが好きなお前でも、
そろそろ起きてもいい頃だろ。」

オレは藤守の髪を撫でながら溢れてくる想いを口にしていた。


「藤守、オレお前に会いてえ、今すぐお前に会いてえよ。
藤守に会いたい病でダメになっちまうかも。」



いつの間にかオレの声は泣き声になっていてオレはそれを堪えるように鼻を
すすりながら藤守の手を握っていた。

そして泣きながら冗談のように言ってやった。

「藤守、ひょっとしてオレがキスしたら起きるなんてオチじゃねえよな?」

なぜかオレは昔藤守と読んだお話を思い出してた。

王子さまがお姫さまにキスすると目が覚めるってアレだ。
お姫様なんていうと藤守怒るかもしれねえけどやっぱオレと藤守じゃ
オレが王子様で藤守がお姫様だろ。

オレは藤守に覆いかぶさるとゆっくりと唇を重ねた。
この想いが藤守に届くように・・・。


その瞬間、何の前触れもなくらんの目がパチッと開いてオレは慌てた。


「ええあああその、らんこれはその別に悪気があったわけじゃなくてだな・・。」

一生懸命言い訳するオレをらんは不思議そうにみてる。


「くぅちゃん・・?」







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8話ちと短かったですね;。しかもなんでこんな所で次回にお持ち越しなんだ?(苦笑)
フラスコ9話で1部は完結となります。やっとゴールが見えてきた〜