オーブの夕暮れ





               
キラとアスランはオーブ侵攻戦跡モニュメントの碑の前から
オーブの海と街を一望していた。

ここからだとすっかりオーブは復興したように見えたが人々の傷跡は深く世界
はようやく平和への道を歩み始めたばかりだ。



「ここからはじまったような気がするな。」

そういったアスランにキラは違うよと微笑んだ。

「始まりはもっともっと昔だったと思う。きっと僕たちも知らない世界から始まっていたんだ。」

「キラは運命だというのか?」

「そうかもしれないけど。でも、運命だと割り切ってしまいたくはないんだ。
僕たちは誰もがそこから飛び立てる翼をもってると信じたいんだ。」

そういってキラは高い空を見上げた。

「キラ・・?」



キラが見つめる先をアスランが追うとそこからザク(?)とおぼしき緑の機体が姿を現した。

その機体は戦場でみるモビルスーツのように鬼気迫ったものはない。
機体は悠々とまぶしいほどに大空を自由に舞っていた。


「アスランあれカガリだよ。」

「まさか・・?」

すごい速度で迫ってきたザクが二人の前で激しい逆噴射の音をたてて
砂の上に舞い降りた。
相変わらずすごい操縦だと二人は顔を見合わせて苦笑した。

ハッチが開くとキラの予想したとおり見慣れたオレンジのヘルメットが
顔をあらわした。

「迎えに来てやったぞ!」

「カガリどうしてここが・・?」

カガリは顔を少し赤く染め「それわだな・・・」と口ごもったあとコホン
と咳きばらいした。


「そんな事よりお前ら水臭いぞ。私も誘ってくれればよかったのに・・。」

ザクの機体が下がりアームが降りてくる。

「ほら 二人とも乗っていけ!」

有無を言わせないカガリにアスランはもう1度苦笑した。
大体ザクに3人乗るのは無理があるのだ。

「ひょっとしてカガリの操縦で・・?」

「当たり前だろ失敬だな。これでも私の操縦はだな・・・」

頬を膨らますカガリにキラも苦笑した。

「それじゃあ僕はお邪魔みたいだから。アスラン、きみは
せっかくだからカガリと一緒に帰ったほうがいいよ。」

「ええっ?えええ?キラっ!?」

キラがアスランの背を押すとカガリが悪いなと笑った。

「キラ!!邪魔というのはうそだろう?本当は・・。」

アスランが最後まで言う前にアームが上がっていく。
ハッチが閉じザクが急発進したのを見てキラは可笑しくなって笑った。

きっと今頃アスランはコックピットで大騒ぎしてるだろう。



・・飛び立ったザクは水しぶきを上げ夕日に染まっていた。

オーブすべてが夕日に染まるように・・・。




『ここからすべてが始まった。』

アスランが言った事を思い出しキラは願う。


この光がここから世界に広がりますようにと。








カガリが好きです。ガンダム種・運命の真の主人公は彼女じゃないかって思うぐらい(笑)
彼女のお話またかけるといいなあ〜。






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