質 問 書

 2001年8月20日
 和歌山県知事 木村良樹 様

 わたしたちは、戦争と核に反対し、再び侵略と戦争に加担しないことを誓い、21世紀の子供たちに、平和な世界と安全な地球を手渡そうと、各地で様々な活動をしている市民です。
先日、米海軍の駆逐艦クッシングとミサイルフリゲート艦バンデグリフトの2隻が、今月27日和歌山港に入港する予定が明らかになった問題で、木村知事は「日米安保条約と地位協定に基づいて、通常の手続きに従って入港すると理解している。県としては淡々と受け入れていく」と新聞に報道されましたが、この件につきまして、質問をいたしますので、よろしく回答をお願い致します。

1) 今回の和歌山港への入港と同じ日に、兵庫県の姫路港に米海軍のミサイル巡洋艦が入港するにあたって、兵庫県は核兵器を積んでいないことを証明する「非核証明書」の提出を求めています。
今回の入港について、知事は「核を持ち込むといういうことになると国をひっくり返すくらいの大騒ぎになると思う。外務省からは核は持ち込まれていないと考えている、との回答を得ている」また「国として手続きは進んでいることなので、県として(非核証明書の提出を)やることはないと思う」と発言したと新聞報道されています。
 しかしながら、1963年4月に大平外相とライシャワーとが、核搭載米軍艦の日本寄港・通過を「事前協議外」と確認した事実も明るみに出されてきています。知事は「非核証明書」の提出のない中で、どうして核を搭載していないと判断できるのでしょうか。外務省と米国との手続きの中身、外務省から県への回答の中身などを知らせて下さい。
2)和歌山県知事は、和歌山県の港湾に、外国の艦舶が入港しようとするさい、事前に核兵器を搭載していないという証明書を提出させる条例の制定を、積極的にすすめようとしているか。
3)和歌山県知事は、函館市、小樽市、苫小牧市などで市民がすすめている、「非核・平和市民条例」(例文別紙)の制定をもとめる市民運動を、積極的に支持しようとしているか。
4)和歌山県知事は、和歌山県でのアメリカ合州国軍隊の兵員・武器・弾薬・車両などの輸送における港湾・空港の使用を含むいっさいの協力を拒否する準備があるか。
5)和歌山県知事は、アメリカ合州国軍が和歌山県の民間港を利用したり、アメリカ合州国軍が和歌山県の大地を軍事演習につかい、和歌山県内にアメリカ合州国軍の基地を設営することのないよう、アメリカ合州国軍の政府および関係諸機関に,和歌山県知事として、関係地方自治体の長とともに、直接、積極的に働きかける用意はあるか。
以上
          

入港予定日が切迫しているので、8月25日までに、回答してください。
                 戦争協力はゴメン!わかやま連絡会

                   


非核平和都市わかやま条例(案)

 かつて我が国は戦争によって国の発展を図り、侵略戦争に突き進み、アジアの二〇〇〇万人の人の命を奪い、自国の民衆にも多大な犠牲を強いた。戦争はどのような理屈をつけようと正義ではない。只多くの人の命と生活を奪うだけである。
 平和のうちに暮らすこと、それは何にもかえがたく、限りなく大切であることを私たちは知った。だから、わたしたちは深い反省と謝罪の気持ちを含めて戦争を放棄したことを憲法を通じて世界に宣言したと思っている。
 しかし世界の至る所に戦争の火種はくすぶり民族紛争も絶えない。しかしそれを正義と言う名の武力の論理では解決できないことを知っている。
 私たちの非暴力、非戦、非核平和の決意は、和歌山(県・市)民の決意であり、平和への願いであり、全世界の人々の決意と願いでもあることを信じてやまない。
 私たちは確かな平和のために真実の平和の実現と実行の為に力を尽くす。
その証としてここにこの「非核・平和都市・わかやま条例」を制定する。
第一条 和歌山(県・市)は、非核平和都市である。
第二条 和歌山(県・市)は、国の方針である非核三原則にもとづいて、入港する外国艦船すべてに対して核兵器不積載の「非核証明書」の提出を求める。
第三条 和歌山(県・市)は(県・市)の区域において、核兵器の製造、保有、貯蔵、配備、持ち込み、輸送通過、及び使用に協力しない。
第四条 和歌山(県・市)は、(県・市)が管理するすべての施設、用地、軍事目的など平和に反する目的のために使用しないものとし、また、市が行う業務についても平和に反する目的のために行わないものとする。
第五条 和歌山(県・市)は世界平和の願いと平和行政の推進のために以下の事業を行う。
(一)日本国憲法の平和主義、非核三原則、地方自治の本旨の普及のために関する事。 
(二)核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国内および諸外国の都市などとの交流、連携など国際平和に関する事。
(三)教育基本法の理念に基づき、学校教育、社会教育を通じて過去の歴史を直視して 再び過ちを繰り返さない為の青少年の平和教育の普及と充実に関する事。
(四)核兵器廃絶と平和に関する講演会、学習会、展示会やイベントなどに関する事。
(五)核兵器廃絶と平和、及び過去の戦争に関する情報や資料の収集、保管および調査などに関する事。
(六)(県・市)民が自主的におこなうこれら、非核・平和、過去の歴史の検証などの活動を積極的に支援、協力する事。
(七)以上の各号に定めるもののほか、この条例に基づく必要な事業。
第六条 和歌山(県・市)は以上のような非核平和に関する条例を憲法に保障された地方自治の本旨と理念に基づき、その地域と住民の安全と福祉を保障する責任を負い、その権限をもっている事をここに確認する。