綿向山の日制定
            

            滋賀県蒲生郡日野町は、住民に親しまれている綿向山を故郷の山として町の活性化に
           生かそうと、「綿向山の日」を制定しました。その記念すべき日は、標高1,110mに因んで
           11月10日です。


      以下全文です



      日野町告示第43号  

      「綿向山の日」を次のとおり制定する。             


                                   日野町長 奥 野  弘 三             

       綿向山は、標高1,110m、鈴鹿山系の一峰で、鈴鹿国定公園内にあり、歴史
     に古い神を祀る大衆の山であります。地元住民には、「おおだけさん」 と崇め親し
     まれ心の礎となっています。また、四季おりおりに美しい景色の移り変わりを見せ、
     日野川の最源流に位置し、人々に有形無形の自然の恵みを与え続けています。
       登山口には、天然記念物に指定されている「綿向山麓の接触変質地帯」があり、
     またワタムキアザミやワタムキボウシ、ブナの原生林など希少価値のある植物が分
     布しています。比較的登り易い山として最近町内外から登山者が増えています。稀
     に国の天然記念物である日本カモシカも見ることができます。
       貴重な自然が多く残され、町内各学校の校歌や町を代表するものに、その名が
     使用され親しまれている綿向山を、住民がこぞってふるさとの山を再認識し、自然
     を守り親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむために、また、町の
     象徴として、その存在を更に高揚するため「綿向山の日」を制定します。
     
  


        制定日  11月10日    

          綿向山の標高が、1,110mであるため。




     記念日の山に登ろう   

                                 著 者   石井 光 造 
             


      日付と高度が一致する山へ・・・・ 日付高度といっても、「それ、何?」という方
    ばかりだろう。  これは山の標高(単位=メートル)を日付に読みかえることで、
    たとえば標高1110mなら11月10日の山とみなすことである。・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   
     という書き下しで始まり  そしてこの本を書くきっかけになったのは、99年に登
    った滋賀県の綿向山(1110m)であった。   と書かれています。

        そして、表題の図書名「記念日の山に登ろうが、
        石井 光造 氏により 2000年10月3日に発行されました。

     
     この図書で紹介されている綿向山は、P186に次のように記されています。

           綿向山  1110m  
    
       この山は日本最初の日付高度の山といえる。地形図に標高記入はないが、
     山頂には、1110mの標柱に「11月10日は綿向山の日」とあり、地元の日野町
     のパンフレットにも同様に記載されていた。
       私が登ったのは竜王山からなので、竜王山からのコースを記した。竜王山か
     ら2本の送電線鉄塔の下を通り、なだらかに下って、小さな鞍部から登り返すと
     917mのピークに出る。この先の露岩はいい展望台だ。急に下りザレの斜面の
     急な岩稜を登ると、シャクナゲの群生するピークに出る。
       笹の光る頂上稜線を回り込むと、綿向山頂上。綿向神社とタイムカプセルを埋
      めた石積みのピラミッドがある。 展望は360度。とくに北側の雨乞岳と独特の岩
     峰の鎌ヶ岳が印象的だ。
       合目石が置かれた表参道を下る。七合目に行者堂がある。五合目小屋を過ぎ
     登山口に出る。天然記念物の変成岩を見て、新設のダムの先の林道から「西明
     寺」の道標に従い、御幸橋から西明寺の集落へ。

    

        著書には、1月から12月まで日付高度の山が掲載されております。著者の
      石井さんは、北海道から沖縄まで人に知られず静かに息づいているいい山に
      出合えたと。  記されております。みなさんも是非日付高度の山に挑戦されて
      みたらどうですか。 
                             
                  “記念日の山に登ろう” 出版:東京新聞出版局  

     
 図書紹介 みなみらんぼうの

   一歩 二歩 山歩

                    2000年7月10日 初版発行  発行者:中央公論新社

     みなみらんぼう 氏の プロフィール
 
       昭和46年「酔いどれ女の流れ唄」で作詞・作曲家としてデビュー。
       昭和51年に発表した「山口さんちのツトム君」はミリオンセラーを記録する。
       エッセイ「おばあちゃんと花」は中学一年生の検定教科書に採用される。
       旅も大好きで、アマゾン・タンザニア・中国・北インドなどの秘境地を訪れる
       一方、平成7年NHK趣味百科で「中高年のための登山学」に出演。平成
       8年には「ちょっと山へ行ってきます」を出版。自然をこよなく愛し、家族を愛し
       続けるさわやかな人間性の持ち主。



        綿 向 山 登 山 
     
      1997年(平成9年)11月17日
  ・7名が同行      

    同書に綿向山登山を次のように紹介
   されています。
     P149 第7章 ちょっと遠くの山へ
     全文紹介します。

    鈴鹿の名峰

 
滋賀県の日野町というところに、わずか七人の山岳会、鈴鹿モルゲンロート
 クラブがある。

  以前、町主催の講演会に招かれておじゃましたとき、会長の横山さんから
日野の 町には綿向山(1110m)という山があり、11月10日は“綿 向山の日”
として制定されています」という話を聞いた。うーん。全国に名山は多々あれど、
山の日が制定されて いるほど、愛され親しまれている山というのはほかに知ら
ない。初夏にはシャクナゲが咲き、ブナの原生林や金明水という名水もあり、ワタム
キアザミという大変珍しい花も見られるという。しかも展望が良く、晴れ渡った日
には何と北アルプスはおろか、南アルプスの山まで望めるという。そこまで聞い
て 「ほんとうですか?」と身を乗り出してしまった。
 昔は近くの神社に、綿向山から見た富士山の絵があったといい、横山さんたち
は何度も確認のために登って調べたが、結局富士は見えず、昔の人は南アルプ
スの塩見岳を、富士山と間違えたのではないか?という結論に達したという。
 11月17日、綿向山に登る機会を得たが、あいにくの雨。それでも横山さんをは
じめ、町の職員など七人がニコニコして集まってきた。「今日は本格的な雨です。
野山も潤ってホッとしているでしょう」と、山男どもはケロッとしている。
  登山道も良く整備され、表示板なども分かりやすいので、家族連れのハイキン
グなどにはもってこいの山であった。苦しい登りといえば、山頂手前の百十段の
階段くらいなもので、あっという間に1110mを極めてしまう。
 「晴れていれば振り返ると日野の町で、その向こうに琵琶湖がドーンと見えるん
ですが・・・」と横山さんが両手を広げる。ほんとうにいい人たちに案内していただ
いた。そんなわけで
「山は雨でも楽し、晴れていればなお楽し」の綿向山で
ありました。

   


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