光岳(2591)

727()大阪13:00−下栗村民宿・みやした16:30

728()下栗村・民宿みやした4:25−芝沢5:15−易老渡5:30−面平8:00−易老岳11:00−光小屋13:45

729()光小屋5:15−光岳5:37−光小屋6:00 6:15−易老岳8:00−易老渡10:30−芝沢11:40−遠山郷かぐらの湯

百名山:98座目の山旅は、日本のチロルと言われる南信州遠山郷・下栗村の民宿の前泊からはじまった。飯田で中央道を降り、喬木村を通り、さらに山道を行く、長いトンネルができたおかげで、1時間あまりで遠山郷に入れるが、少し前までは秘境と言える山奥だ、しかも、川沿いの国道から舗装こそされているが、急峻な斜面を林道のような細く、くねくねした道を登っていく、こんなところに本当に集落があるのかと不安になる、山のかなり上の方にきたなと思ったころ、突然、民家があった。そこは、傾斜38度の急な斜面にわずかな畑、つづら折れの道の所々に民家が、ぽつぽつとあった。標高1000m、東斜面にあり、晴れていれば南アルプスが見えるらしいがあいにくの雨模様だった。
 次の日のことを考え、林道の終点である芝沢の臨時駐車場まで下見に行く。急な崖のふちをカーブ、アップダウンの続く悪路、落石もあり、よく通行止めになるのがわかった。それでも芝沢に、大きな臨時駐車場がつくられており、これで入山できることを確認し、民宿・みやしたに戻った。

 昔から今も生活している民家だった。宿は老夫婦でされているようだった(あとで娘さんらしい方が仕事から帰ってきた)、泊まり客はオートバイでツーリングに来た方がひとり、あとは自分だけだった。夕飯は、村の郷土料理、二度いもを串団子のようにごまみそをつけたもの、大根を冬の間に凍らして乾燥させたものを戻して煮物にしたものなどがおいしかった。野菜のてんぷら、岩魚の塩焼き、ジンギス(ジンギスカンをそう呼ぶらしい)、ボリュームのある夕飯だった。お風呂は、家庭用の浴槽がなぜか2つあった(一応、団体も泊まれるようにか)、星をみることができなかった窓からの景色はなかなかだった。

 翌朝は、早く出たいので、朝食をおにぎりにしてもらった、これでビールを1本飲んで6,500円は申し訳ないような感じだった。とても、いい感じのおかみさんだった。ご主人はずっと囲炉裏端に座っていた。少しだけはなしをしてもらった。「南アルプス」の著書もある日本共産党の前の委員長の不破哲三さんも泊まったということだった。

 日の出前に、車で出発し、予定どおり5時前に芝沢に到着、夜は雨が降りそうなので、テントは車において、光小屋泊まりに計画を変更する。易老渡をめざして林道を歩く、1時間10分ほどかかった。鉄製の橋を渡り、針葉樹林の中のつづら折れの急登がスタートする。道もあまりよくない、急斜面のために道が崩れかけているところもある。1時間ほど登るとやっと景色が変わってきて急斜面から尾根道になったと思われるあたりから広葉樹の林となった。緑が素晴らしくきれいだった。それでも急登が続く、さらに1時間歩き、やっと面平という少し傾斜のおちる易老岳への中間点に出た。このあたりからしらびその森となった。一息つけたのも一瞬で、またまた急登が続く、それほどではないのかも知れないが、前半でかなり体力を使わされた感じがあり、長く、辛い登りだった。入山口に「易老岳まで5時間」と書かれていたが、4時間半でやっと易老岳の頂上を踏むことができた。展望はないが、静かな頂上だった。先行していた方が一人、茶白小屋から光岳をピストンしてきた方の3人だけの頂上だった。

 まだ先は長い、主稜線に上がったものの南アルプスの縦走は、アップダウンがきつい、ここから1時間下り、また、2時間の登りが待っている。先をいそぐ、下りはいいペースで進めたが、登りになると足が重い、歩きはじめて6時間過ぎるとペースが上がらない、イザルガ岳の直下で、少しへばって休憩していると途中で抜いた山ガ―ル4人組に追いつかれた、若いからかなかなかの体力がある。聞いたら「毎週、山に行っています」と言っていた。静高平の清水はおいしかった。まわりはやっと高山植物やお花がみられるようになった。湿原のようなところに出る頃には、残念ながらガスが濃くなり景色を楽しむこともできなかった。イザルガ岳はこのコースの中で、数少ない展望のある頂上とガイドブックには書かれていたが、この天気なので、パスして光小屋をめざした。ガスの中に、小さいが、きれいな小屋に到着した。幸い空いているようで、ゆったりとしたスペースももらえた。さっそく、ビールを購入し、カップめんの塩やきそばをつくり、一杯やった。山頂は明日、展望があることを期待して、きょうは昼寝と決め込んだ。

 夕飯も、食堂でゆっくりと自炊させてもらった。天気は、予想どおり雨になった。小屋泊まりにしてよかった。

 翌朝、日の出前に起き、朝食をすませるも、天気は濃いガス、昨日と変わらない、それでも山頂に行かないわけにはならず、カッパを着て、山頂をめざす、展望がないと言われる山頂だが、ガスっているともうひとつ、少し先の展望台まで行くがまったく景色がない、これでは光石まで行く元気が出ず、下山することにした。小屋に戻ると茶白岳に向かう登山者は皆、出発していた。小屋のおかみさんにコーヒーを頼んで、ゆっくりとコーヒーを楽しんだあと、下山にむかった。

 下りとは言え長い、易老岳には登り返しもある、展望のない中をもくもくと歩く、三吉平では、霧の中で幻想的な景色に出合うことができた。しかし、それ以外はあまり楽しいこともなく、来た道を引き返した。易老岳からの急な下りは長く辛いものになった。小屋からは、5時間かけて下り、林道は1時間10分かかった。まる2日間、久しぶりによく歩いた山行になった。98座目の山旅は、遠山郷のかぐら温泉にゆっくりとつかり、おそばと五平もちを楽しんで、帰途に向かった。

 

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