立山バックカントリースキー2016416日〜18日)

 立山アルペンルート全線開通の日に合わせて、このはな山の会のYピーと2人で、立山バックカントリースキーに出かけた。15日の午後11時に大阪をマイカーで出発し、16日の午前5時前には立山鉄道の立山駅前に到着、仮眠して、始発に並ぶ、さすがにバックカントリースキーヤ―やボーダーで溢れていて、640分の始発から4便目でケーブルカーに乗れた。中国人と思われる団体客も多く、すごい混み様だった。

 室堂には午前8時半ごろに到着、翌日の悪天が予想されていたので、荷物をターミナルにデポして、精力的に動くことにした。まず、浄土山のピークをめざした。室堂から直接、西側を回り込むように登る。雪が硬い、山頂直下の急登はとてもシールは無理そうなので、ブーツアイゼンに変えて登る。久しぶりのアイゼン登行、急登で足首が上手く曲がらない。傾斜も思ったより急で、しかも1枚バーン、今回はピッケルを持参しなかったために、スリップしたらどうなるか恐怖を感じながら山頂直下のブッシュに逃げ込む、なんとか山頂に出た。天気は上々で素晴らしい展望が開けていた。そこから南の頂きをめざす、途中で左右が切れている鞍部への下りはスキーを脱いで渡る。ちょっとしたスキー縦走気分だった。やぐらの立つ、南の頂きで休憩し、どこを滑るか相談する。夏道をやや御山谷側を一の越の少し下まで滑ることにした。まったくシュプールのない尾根から谷に快適な滑りを楽しむ、途中の落ち込みを右に逃げたが、まずまずの滑走ができた。そこから、一の越まで標高差50mほどを登り返し、一の越に出た。

 一の越から雄山山頂へはありの行列だった。雪は少なくも見えたので、自分はアイゼンなしで登る。それほど硬くなかったので、キックステップでなんとか山頂に出れた。標高差300mほどだったが一気に登ると息が上がった。社の前は、数十人のスキーヤーやボーダーがいた。ガイドツアーの一団が、急傾斜の東面に次々とドロップする。滑り出しは急過ぎてみえないが、みんな楽しそうにドロップしていく。スキーの腕前も問われると思った。自分たちは、社務所の下をまわり、山崎カールへのドロップをすることにした。スタートはそれほど広くない急なルンゼ、うすら雪がかぶっている下はアイスバーンで硬い!急傾斜が300mくらいはある。ここでのスリップは許さない、まずは、横滑りで少し高度を下げる、スリップの恐怖からターンができない。キックステップで向きを変えようとしたら、バランスを崩し、転倒しかけたが持ち直し、横滑りで少し下り、ルンゼの傾斜が少し緩くなるところをみつけ、最初のターンをした。少し傾斜の緩そうな面に斜滑降で移動し、そこからは思い切ってしっかりと体重移動した連続ターンでローソク岩をめざした。そこで一旦とまり、さらにカールの底にドロップ、このへんから傾斜も緩み、雪も少し軟くなり、快適なターンを楽しむ。バランスをとるために開脚気味で踏ん張りながらのパラレルターンをした。今の力量ではこのあたりか、それでも、楽しい滑走ができた。カールの底から室堂にデポした荷物を取りに帰るために室堂山荘方面にトラバースをしていく。ターンをせずに、高度を下げず浄土山の斜面に入り、歩くことなく室堂にバスターミナルに帰ることができた。

 宿泊のための荷物などを詰め直し、雷鳥沢ヒュッテをめざす、ボーダーのYピーは夏道を歩くという、スキーヤーの自分は、できるだけ滑って、アップダウンを避けたいと思い、適当に方向を決め滑っていった。ところがミクリガ池で夏道とわかれ、谷から滑り込もうと思ったが、意外に地形が複雑で、やはり登り返しも少しした。結局、夏道にがらみに戻ったりしながら、雷鳥荘への登りを避け、雷鳥沢野営場に滑り込んだ。すると宿泊先のヒュッテが丘の中段に見上げられた。結局、スキーを担ぎ、疲れ切った身体を引きづりながら登り返して、ようやく午後428分にヒュッテに到着した。長い一日だった。Yピーは途中の小屋で休憩したりしていたらしく30分遅れでヒュッテ到着した。地獄谷からひいたアツアツの温泉に入り、ビールを堪能した。

 2日目は、予想通りに悪天になった。雨こそ降っていなかったが、激しく流れる黒雲に覆われ、強風が吹き、とても山に入る天気ではなかった。小屋の朝食から白ワインをいただき、古い『岳人』や漫画を読み、温泉に入り、昼食は宴会、昼寝、温泉、夕食は宴会とのんびりと過ごした。

 3日目は、天気の回復を期待したが、強風がなかなかおさまらない。それでも下山のことを考え、昼食を30分早くしてもらい、630分に、午前7時半過ぎには出発した。予定は、雷鳥坂を登り、剣御前小屋、剣御前山の斜面から剣沢にドロップ、登り返し、雷鳥沢をドロップすることだった。昨日からの強風で雪面は硬く締まっていた。雷鳥坂の取り着きで、スキーをザックにくくり、ブーツアイゼンで登ることにした。シールより、アイゼンがよくきく、Yピーはアイゼンをきかせて、どんどん直登していく、自分には直登はしんどく、ジグザグしながら登っていった。だんだんと急傾斜になる、最後は、急な大斜面の上部をトラバースする、反対側も厳しく切り立っている。スリップは許さない緊張もするが、雪のないガレ場に出て、安心した時、御前の稜線には突風が吹いていてまっすぐ歩くこともできなかった。とりあえず、御前小屋の前のトイレの影で休憩した。しかし、強風が吹き、寒い、ダウンなどを着るがそれでも寒い、雪も堅そうなので、天気待ちをすることにしたが寒くて辛い。外人の一団など次々とスキーヤー・ボーダーが上がってきた。

 1時間天気待ちをするも、太陽すら見え隠れするくらいで、とても雪面が緩む感じもないので、動き出す。剣御前のピークに向かおうと登りはじめるものの突風に吹き飛ばされそうになり、リスクを負うより、すなおにコルから剣沢を一段滑ることにする。やはり雪面が硬い、アイスバーンのような斜面を慎重に滑り、最初の棚で休憩することにした。

眼前には、真近くなった剣岳が全容を見せてくれている。雪をまとった源次郎尾根、八峰などに魅了される。写真をたくさん撮り、御前小屋に登り返した。コルは強風で、太陽も隠れてしまっている。それでも雪が緩むまで待った。1時間ほど我慢したが、寒さと下山の心配もあり、御前11時半にドロップにかかる。コルから急なガレ場を少しだけ下ると雪渓に入れる、そこからのドロップをYピーが提案する。しかし、凄い急傾斜の1枚バーンで、きょうの硬い雪面ではリスクが大きく感じながらも付いていく。Yピーが這松の先端でボードをつけ、雪面に出ていく、案の定硬いのかエッジを効かせてずらしながら高度を下げている。自分は、雪面を触った感じでは、スリップのリスクを考えるととても滑る気になれず、アイゼンで傾斜が緩むところまで下ることにする。スキーを担いで、下ることにカッコ悪さを感じるものの怪我はしたくなかった。

 アイゼン歩行では危険を感じないものの急傾斜の中で、スキー板を装着することが難しく感じ、3分の1も下降してしまっただろうか?(標高で150m)ルンゼの幅が広がり、若干傾斜が緩くなったと思われるところまで下りたところで、アイゼンで棚をつくり、板をおろして、スキー履くことにした。滑り出したもの雪面が硬く、慎重にターンをする。だんだんと沢が広がり、傾斜が緩むも、雪面ががたがたに硬く、エッジを立てて、踏ん張って滑るだけで楽しむことができなかった。苦労して登って、強風下で待ちに待ったあとの滑降だったが、正直に楽しかったとは言えなかった。「これが山スキーという感じだね」と2人で納得した。

 ヒュッテに戻り、ビールを飲んで、荷づくりをして、室堂に向かう。下山ではあるが、登りとなる。「夏道をブーツで登る」というYピーに、「シールでブル道を登る」と言って、2人でどちらが早いか競争することにした。結果はほぼ同時に室堂にターミナルに着いた。そこは、月曜日でありながら中国人系の団体観光客であふれていて、まっすぐに歩けない、バス、ケーブルも数本待たされ、午後5時前にようやく立山駅に降り立つことができた。温泉にも入らずに、大阪に車を飛ばし、午後10時半過ぎに自宅に帰ることができた。

 「春スキーをやった」という達成感はあった。同時に、あらゆる雪面でも対応できるスキー技術の必要性も感じた。

416日 室堂9:20−浄土山10:52−南頂き11:27−一の越12:20−雄山13:29 14:10−室堂14:45 15:40−雷鳥沢ヒュッテ16:28

418日 雷鳥沢ヒュッテ7:18−剣御前小屋9:05 10:00−剣沢へドロップ−10:30−登り返し−剣御前小屋11:00 11:40−雷鳥沢−雷鳥沢ヒュッテ12:50 13:50−室堂14:55