鋸岳紅葉ツアー2013112日)

 大阪労山このはな山の会の山行として、メンバー5人で南アルプス鋸岳の縦走を計画した。「積雪期でもなく、夏でもない、この季節に?」という感じもあったが、山裾の紅葉がきっと素晴らしいと思ったことと、戸台から丹渓山荘までの道は、高校山岳部時代、毎年3月に通った道で懐かしさもあり、参加した。

 大阪を夜10時に出発し、戸台の川原の駐車場で仮眠し、630分前に出発した。この季節を考え、念のためにピッケル、アイゼン、ザイルの冬装備にテント泊、食料とザックは重たい、戸台からの道は、林道はすぐに川の増水のためか崩壊し、跡形もない、河原歩きが続く、白岩の堰堤が見えてきた、右岸を歩いていたが、柵も見えるので、そのまま進む、それを越えると30年前にはなかった新しい堰堤があらわれた、左岸のまますすむ、誰かがつけた道標もあったが、コンクリートの壁、段差は2メートルからある、木が立てかけられていたので、それを足掛かりに空身で登り、重いザックを引き上げる、その上は1メート以上の段差が6段くらい続く、順番に空身で上がり、ザックを引き上げる、「かなり消耗した感じだ」、「歩く人が少ないとは言え、登山道を確保してほしいものだ」とぼやいた(実は、右岸には手すり付きの階段が確保されていた)

 それでも紅葉は、予想どおりに美しい、標高も低いためか川原から山腹、山上までが見事に、黄色、オレンジ、赤、所々緑とパッチワークのように彩り、山全体が燃えている感じだった。「やはり紅葉は南アルプスだな」と感じた。

 角衛沢出合、熊穴沢出合と順調にすすむが、「藪沢を横切る徒渉ポイントがない」、台風のためか、水量が多く、どうしても渡るポイントがみつからない、旧道の渡渉ポイントはひざくらいまでつかりそう、「この季節に裸足はつらい」、結局、一番幅は狭いところに足場の石を積み上げることにする、それでも届かないので倒木をわたす、1本、2本、3本にし、ロープで束ねる、完全に土木工事だ、30分以上工作して、臨時の橋をつくり、こわごわと渡ることができた。そこからはむかしの道が残っていた、かつて南アルプススーパー林道ができるまでは北沢峠に向かうメインの道だっただけに幅もあり、たくさんの人が歩いた道だったことがわかる。するとまもなく懐かしい丹渓山荘の前の林に出た、見上げると小屋はつぶれてはいない、見た感じは昔とかわっていないように思われ、30年前の記憶がよみがえり感慨深かった。アクシデントもあり、予定より1時間遅い11時着だった。

 そこから「七丈ノ滝尾根コース」で6合石室をめざす、廃道となっているのは覚悟していたが、ピンクの道標こそついているが、道はほとんど跡形もない、沢登りのように赤河原の出合まで登っていく、重たいザックではなかなか苦労がいる、1230分やっと尾根の取り付き点に着いた。GPSで取り付き点を確認し、尾根に取り付くが道らしきものがまったくなく、目の前には切り立った岩、細い尾根しかない、少し登ってGPSで確認すると旧道から外れて隣の尾根に取り付いていたようなので、いったん下り、再度、隣の尾根をトラバースしながら道跡を探すも見つからない、空身でリーダーが少し登る、道らしきものをみつけるが、あまりの急登過ぎて、重装備のザックで無理、道に迷い、すでに明るいうちに石室に着くのは困難な時間になったために、登るのを断念し、丹渓山荘まで戻ることにした。

 いったん緊張が切れるとザックはますます重たく、1時間半ほどの下山も長く感じた、それでも紅葉の素晴らしさに癒された。小屋は、扉が一枚なく、窓もないところもあるものの原形をとどめていた、一晩、お借りすることにした。持ち上げたワイン、お酒を飲み、楽しい宴会となったが、夜行明けのためか飲みながら寝てしまう始末で、日程があるもののみんなの気持ちは下山にむかったようだった。

 翌朝、曇りで、天気予報も下り坂、夜半には暴風雪も予想されていたので、さっさと下山することにした。渡渉は少し下がったところで自分が強引に飛び渡った、後続のメンバーは石で足場をつくって渡る、最後に、ひとりだけ身長が足らずか、不安のために、裸足で渡った、かわいそうなことをしたが下山だったので堪忍してもらった。堰堤は右岸の快適な道でスルー、あっという間に駐車場に着き、「持参した食料を食べなければ」と親子丼をいただく、仙流荘でお風呂に入り、高遠城の新そば祭りを見物し、新そばをいただいた、最後は、観光旅行となった鋸岳紅葉ツアーだった。「次回は、夏の日の長い時に、軽量化してリベンジしよう」というのがメンバーの感想だった。



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