悪沢岳・赤石岳縦走(2011824日)

 前日に、椹島まで入山でき、芝生のキャンプ場にテント泊、風呂に入れて1000円は安い、売店で生ビールを買い、快適な夜を過ごした。千枚小屋から悪沢岳(荒川岳)、赤石岳をまわる23日の縦走を予定していたが、初日に荒川小屋まで足を伸ばし、聖岳までのロングコースを3日で抜けることも視野に入れての出発だった。

 午前3時過ぎに起床し、簡単に朝食、テントを撤収し、午前4時、真っ暗な中、ヘッドランで出発した。林道から沢を横切り、ゆるやかだが長い千枚岳への登りをゆっくりと進む、オオシラビソの素晴らしい森だ、百年前に伐採があったことなど信じられないほど豊かに回復していた。しかし、このルートは視界がない、一回だけ遠くに悪沢岳をみることができただけで森の中の登行が続く、順調なペースで(コースタイムより若干早く)千枚小屋に到着、このペースなら荒川小屋には3時前には着けると判断し、千枚岳へ、トリカブトの群生や峰薄雪草、高嶺松虫草、北アルプスには見慣れない白い花などが咲くお花畑を抜けて、山頂に、そこからは南アルプスの全容がみることができた(この一瞬がこの山行唯一の展望だった)。

 南アルプスの縦走はスケールを大きく感じる、となりの悪沢岳(荒川三山東岳)へはかなり遠く、高く感じる、1時間をかけて悪沢岳(東岳)に立つが、ガスが激しく流れ、となりの中岳すら見えたり、隠れたりと天気は明らかに下り坂だった。急な下りを一気降りると、また、大きな登り返しだ。これが南アルプスの縦走の醍醐味と思えば苦も楽しく(?)、朝から8時間を越えたからだにはやや堪えたが登りきると中岳避難小屋に着く、もう展望はなく、夕立の気配もしている、しかし、あと1時間ちょっとなので荒川小屋まで足を伸ばす、中岳の急斜面をトラバースしながら赤石岳との谷間にある小屋をめざす、雨がぱらついてきた、雨具をつけて小屋へ急ぐ、それほどぬれずに小屋に着くことができた。午前4時から午後2時半、1140分のコースタイムをテント泊の装備で10時間半で走破したのはちょっと頑張った感じ(体力はまだ大丈夫を確かめられた山行になった)、しかし、着くなり激しい雨となり、小屋での自炊泊とした。

小屋はそこそこ混んでいたが、「物置兼の自炊小屋があるからそちらを使って下さい」とのことだった。新築されたばかりの広い小屋を一人占めできて外は豪雨だったが快適な夜となった。

 嵐のような夜だった。登山道は大丈夫だろうか、あの椹島までのバス道は大丈夫かと心配するくらいの豪雨だった。予定では、聖岳をめざし、兎岳避難小屋まで8時間の予定だったが夜が明けても雨がぱらつき、雲行きもよくない、天気予報は「きょうは雨のち曇り、明日も雨」、これでは縦走の気分に慣れない、雨が止んだので、午前5時過ぎに出発する。しかし、1時間ちょっと歩くと再び雨が降り出す、3000mの稜線で風雨にさらされると体力の消耗と同時に心が折れる、雨具の下を半そでにしたせいか、寒くて堪らない、あまり休まずに赤石岳頂上をめざすが、思っているほどスピードがです、1時間半をかけてやっと赤石岳頂上に立つ、雨雲のしたで展望もあまりない、とてもアップダウンの激しいこの稜線を8時間も歩きになれず、椹島へ下山することにした。赤石岳の急斜面を下る、左にトラバースして尾根にのり、赤石小屋へ、雨は止まず降り続けているが稜線から標高を下げると風もなく、温度も上がったのか、からだはすこし楽になった。赤石小屋の若いスタッフは親切で「お茶入れますから中で休んで下さい」と言われた。雨具を脱いだら着る気がなくなりそうなので玄関先で熱いお茶をいただく、ありがたい。天候の回復を30分くらい待っていたが雨足が強くなってきたので、仕方なく下山を続ける。そこからはそれほど急でもなく歩きやすかったが、雨の中、単調な下りに大概厭きてしまう。午後1時にようやく椹島に着く、雨の中、9時間の行動となった。テントか、小屋で宿泊するつもりだったが、風呂に4時まで入れないと聞き、急遽、2時のバスで下山することにした。寸又峡温泉まで車を飛ばし、露天風呂、素晴らしい湯質の温泉を愉しんで、疲れたからだを癒した。わずか2日のハード山行となったが、縦走への体力は、確認できたことは成果だった。

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