針の木谷マヤクボ沢200855日)

扇沢4:50−マヤクボ沢コル11:20−針の木山頂12:00−コル13:00−扇沢14:10

 3日目となり、さすがに天気も下り坂だったが、午前中は持ちそうな感じだった。針の木岳をめざし、林道を登りはじめるが雪崩のデブリの連続で歩きにくい、スキーを履き登りはじめるものの夏道はほとんどデブリに埋もれており、大沢小屋がみえるところまで行くが進むことが困難となり、少し戻り、沢を下り、谷を渡って右岸に出ることにした。右岸の斜面の少し上にはトラバース気味のシュプールがあり、それに乗ると楽に登ることができた。それでも針の木谷の「のど」と言われるあたりはデブリだらけで、シールで登り続けることも大変だった、がまんできずに、スキーを脱ぎ、ツボ足で登るスキーヤーもいたが、粘り強くスキーで登り続けた。しかし、自分の体調が悪く、前日の飲みすぎと薄着で寝たためか下痢に風邪気味で、どうしても足がスムーズに上がらず、たびたびHさんに待ってもらいながら我慢の登りが続いた。そのために思っている以上に時間がかかった。やっとマヤクボ沢の出合までたどり着くが、マヤクボ沢はまるで雪壁のように思えるほど急な沢だった。「まわりこんで登るから」というHさんについて登っていく、右際をジグザクを細かくきりながら高度をあげる、最後は雪壁の上部をトラバース気味に乗り越すとそこは平らな雪原となり、さらにマヤクボ沢のコル、山頂が見渡せる広い谷底にでた。天気予報どおり下り坂で、谷底からはガスがあがりかけ、1時間もすれば雨が降りそうな感じだった。山頂アタックはあきらめた方がいいかもしれないと思ったが、ここまで上がったからには一応コルまで上がることにした。

 出発して6時間をかけてやっとのことでマヤクボ沢コルに立つことができた。ここでも頂上アタックを悩んだが、Hさんが「行きましょう」と強く誘ってくれたので頂上をめざすことにした。雪は例年よりも多く、夏道も所々埋もれ、岩稜を登るが浮石も多く悪かった、慎重に登るために時間もかかり、コルから40分をかけて雪に埋もれた針の木山頂に立つことができた。雨も少しぱらついたが視界もあり、上々の登頂だった。コルに戻り、スキー滑降の準備ができたのは午後1時だった、実に7時間かかったのだ、ここからマヤクボ沢を滑る、下からは雪壁とみえたところも左右が広くとれるので、斜滑降を取り混ぜながらターンも楽しみながら、2700mから滑降を楽しむ、大きなスケールの中での山スキーの素晴しさを堪能した。出合まで一気にすべり少し休憩し、デブリの多かったところは右岸の斜面をトラバースでかわし、そのあとの緩斜面は軽快に滑ることができた。ブッシュに苦しめながらも標高差1200mを1時間あまりで扇沢まで滑り下りることができた。

 予定どおり、大町温泉により汗を流し、大町でとんかつを食べて、快速、特急しなの、のぞみ号を乗り継ぎ、大阪に帰ることができた。

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