比良ヘク谷遡行2007623日)

森ノ宮640−坂下9002条12m滝1200−18m滝1230−植林小屋跡1330−子女郎池1515 1600−坂下1715

梅雨のど真ん中、沢登りを計画した。夏にむかってのトレーニングもかねてだが、例年、雨で中止も多い、今回もだめかと思いきや、天気予報はどんどん変わり、前日までの雨がすっきりやみ、青空の中での快適な遡行となった。今回は、男性4人、女性1人、女性以外は大阪労山の仲間で安心できるパーティーだった。

ヘク谷は、比良の入門コースとの紹介もあるが、ルート図には大きな滝の直登もあり、少々厳しさは覚悟していた。前日の雨で安曇川は増水しているようで、ヘク谷の出合では横切ることができない。少し300mくらい上流の浅瀬を求めて登っていくと、コンクリートの堰があり、その横にはしごがかかっていた。地元の人が川を横切るためのものなら、そこならと思い、うまく渡ることができた。ヘク谷に入ると退屈な川原はあまりなく、早くも少し暗い急峻な沢登りがはじまった。沢もかなり増水しているようで、最初の10m級の滝も、水流が強く、ルート図では【シャワークライミング】と書いてあったがとても無理そうで、右の泥壁を高巻きすることにした。安全のためザイルを張った。うまく沢に戻るこができた。核心部分である2条12m滝は、水が激しく噴出すようなすごい迫力だった。写真でみたものとあまりのちがいに直登はやめようか思案していたが、H氏がその水流の横をしぶきをあびながら左滝の右横から取り付き、7mくらい登ったところからザイルダウンしてくれた。さらに、本来なら「右の滝の上部をシャワークライミングで抜ける」ところだったが、「きょうはとても無理」、濡れてすべりやすい左滝の凹角を直上することにした。パーティーの若手の六ちゃんが無難にクリア、あとはザイルをたらしてくれた。ラストで自分も上がるが、やはりすべる、突っ張って登ろうとするが、ツルッとすべて落ちると思いザイルに目をやると弛んでいるではないか、それにビビってもう一度突っ張り数十センチずり落ちかけただけですんだ。登ってから「ザイルはちゃんと張っといて」と言ったら、「大丈夫だと思っていた」と言われた。
 さらに、10m級の滝は高巻きをしてやりすごし、18mの下で軽い昼食タイムをとる、コースタイムの2倍かかっていた。「水流の多さ、5人パーティーだし、こんなもん、日没までぬけれたらいいよな」と励まし合いとも、言い訳ともつかないことを言い合っていた。 その上でも、苦戦した樋上の小滝が連続しているのだが、水流でスタンスがみえないのか、入口から巻く、出口の3mのへつりも悪くザイルを出し、残置を使って支点をとってのへつりとなった。残置をつかみにいくのに、一段上のバンドに上がるところが濡れていてよくすべった。ここもH氏がリードしてくれた。怖くなかったのだろうか、自分は最初の一歩が1回すべり、2回すべり、3回目はなかなか足が出ない、醜態をしめしてしまったが、なんとか乗り越えた。
 あとも、結構長い源流を歩き、涸れ沢登りが続いた。やがて傾斜がゆるくなると、緑の森の中に踏み跡を追いかけながら、沢筋を最後まで外さずに遡行し、笹薮を抜けると静かな小女郎池に突然出た。沢のゴールとは思えない、穏やかな景色を楽しみながら、ワインで乾杯して、遡行は終了した。下山は、良く整備された坂谷経由坂下へのハイキング道を1時間20分で下りることができた。
 ヘク谷は、入門コースとの紹介があるが、結構、スケールのある沢だった。特に、雨のあとは要注意です。