和泉葛城山 2002.1.6

自宅車で830出発―阪和道/貝塚―蕎原(そぶら)915―B登山道―春日橋930−林道終点1030−山頂1100(散策/昼食)1145―A登山道―蕎原1245−ほの字の里(温泉)―帰宅

 前日、急に山へ行きたくなり、5日に計画していたがメンバーがそろわなく中止にした和泉葛城山への山行を単独行で行うことにした。2・3日前にはすごい冷え込みがあり、場合によれば積雪もあるかもしれない、なしろ、はじめて行く山である。山域的にもはじめてで勝手がわかないので、下見の気持ちで行くことにした。

 前日に決めたので、朝、冷蔵庫から魚肉ソーセージ2本、チーズ2個、コーンスープの缶詰、みかん、クラッカーとあるものを適当に積め込んで出発する。道路の凍結も心配して少しおそめのスタートだったが、高速を使うとなんと1時間かからずに、取り付き点についてしまった。現地の案内看板を参考に、登りは春日橋経由で本谷からの谷筋から登る登山道Bコースを、帰りは尾根沿いの登山道Aコースをとることにした。車もちょうどいい位置に広い退避スペースがあったのでそこにとめておき出発した。

 上着は毛糸のシャツに、ベスト、さらに薄手のスキーウェアーを着て、下はテニス用の防寒ナイロンパンツ、毛糸の帽子をかぶって歩きはじめるが、林道を30分ほど歩くともう汗ばみはじめたのでスキーウェアーと帽子を脱いだ、親切にどこまでも舗装された林道が続いたが、渓流の流れと杉・ひのきの見事な植林を眺めながらすすめば、それほどしんどいこともなくすすんだ。10メートルほどの落差のある滝を左に過ぎるとやっと登山道らしくなり、自然林が目につくようになった。谷筋から尾根の背に大きくトラバースしながら登っていくとやっと自然林の方が多くなる。ほんの少し登るだけで、山上が白くなっていることがわかった。気温が随分とちがうのだろうか。それでも足元は、落葉したブナなどの広葉樹がサクサクと音がするくらいに乾燥している。気持ちのいい尾根道をいきはじめると、突然、霧氷の世界に飛び込んだ。

 山は、冬枯れして、サクサクと落ち葉も乾燥してしまっているのは、水蒸気がすべて寒さのために枝や葉に、霧氷として凍りついてしまったためではないかと思うくらい見事な霧氷だった。道は、晩秋の延長のまま静かに冬枯れしているのに、木々は白い花が咲き誇っているような幻想的な風景が続いた。天然記念物指定ブナ林の保全林の入り口に立った。まさしく入り口であった。保全林とまわりの植林された林との間には柵がもうけられていた。それは見事な境界線でもあった。不思議なことに霧氷はブナなどの自然林側のみ美しく広がり、杉林には氷はついていなかった。霧氷は、木々の吐き出した息が凍ってしまうものなのか、単なる風向きや斜面の向きだけなのか、この不思議な境界線は山頂でも、自然林の北側でもみられたからひょっとすると植生と関係があるのかもしれない。いずれにしても保護されている自然林には見事なブナなどの巨木があった。案内板によれば、幹の直径30センチ以上のものは180本確認されているとのこと、ただ、大正時代の記録では1800本とあったと書いてあった。この自然林、さらにその周囲が今大阪トラスト協会によるブナ林の再生、100年かけて森をつくる計画である。自分もかつてカンパしてところをはじめてみた。ブナの種子を集めるネットや植林されたばかりの小さなブナを保護するネットなどもみることができたが、復活には途方もない時間がかかるようである。森の時間というものを考えさせられる。

 素晴らしい森はすぐに抜けてしまい尾根からの道と合流し、山頂の葛城神社の石段、自然林への遊歩道の4つ辻にでてしまった。急な石段を登りきると社があり、そこが標高858メートルの和泉葛城山山頂でもある。紀州側には八大龍王を祭る竜王神社は、泉州側には葛城神社の社が背中あわせになっている。その奥には、ブナ林や遠く関西空港や紀泉アルプスを見渡すための巨大なコンリート製の展望台、ドライブウェーが続き、カメラをぶらさげたドライブ客と遭遇し、がっかり、山頂まで2人の登山者しか合わなかった静かな山がうそのように感じた。少しめげながらも、車道を回り込み、自然林の遊歩道から戻ることにした。長い木道があり整備されていたが、そこにわずかであったが、落ちた霧氷が凍結して滑って歩きにくかった。それでも自然林の中ほどに進むと、さっきの冬枯れしたブナ林に幻想的に霧氷がつく素晴らしい森となった。観察用のデッキもあったが寒そうなので、遊歩道沿いの木陰でEPIを取りだし、スープを温めることにした。ところが、あまりの寒さに気化がすすまず、トロ火より火力がでない、そこでやもうおえず、軍手をして缶を直接バーナーの上にかざしてあたためはじめた。できれば熱い飲み物がほしかったから、ところが景色にみとれていると何か臭うので、手もとをみるとなんと軍手の小指が燃えているではないか、あわてて地面にこすり付けて消したもの小指の部分が焼けてなくなり、指が黄色くなっていた。しかし、不思議なことにちっとも熱さを感じなかったのである。あまりの寒さのためだろうか。それでもくじけずに再度直火であたため続け、ようやくプクプクといいだしたスープを入れると少し暖まってきた。チーズに,クラッカー、ソーセージをほおばると、そくさくと出発した。まもなく、石段の分岐に、あとは尾根の沿いの道で下山することにした。すぐに観察デッキがあった。その真下にブナの種子採集ネットが張ってあった。寒いので、すぐにまた歩きだした。まもなく植林された林となった。登山道ではあったが、道幅も広く登山道の中では高速道路並だと思った。1度、舗装された林道に出たあと、また、登山道に戻る、一時間も行かないうちにふもとのそばらの集落が真下に見え、一気に下っていくとそばらの集落の一番奥の民家裏に飛び出した。山頂から一時間、12時45分であった。車までもどり、そばらの集落の入り口にある「ほの字の里」という温泉施設に寄った。まだ新しいし、市の第三セクターの運営でもあるらしい、少しまたされたがその間に生ビールとおでんを、600円の温泉はあまり広くなかったけど露天のジャクジーがよかった。登り2時間,下り1時間、温泉つきで、守口から1時間で楽しめた山行となった。霧氷という大きな成果があった。ブナ林の規模がちょっと小さいけど、冬のハイキングコースとしては合格点かな?次も、やぱり霧氷の見れる季節に訪れてみたい。