あとがき こがねのえん

ネタバレを多分に含むため、読後をお勧めします。

前一
前置き、その一。
翔がここへこうして来ることになったきっかけとその時の経緯について。
裕子の喋り方がころころと変わるのは、心境によって変化しているからです。
裕子に関して言えば、口調や行動はやや粗暴ながら気遣いのできる優しい姉を描いたつもりです。

前二
前置き、その二。
麻衣と拓海がどういう状況を踏まえてこの物語に登場しているのかについて。
ちなみに祖母が出てきたのは、一家が昔からその土地に住んでいたことを示すためです。
このサイトではいくらか喪失に関する物語を扱っていますが、亡くなられてからの経緯を書いたものは初めてです。
本編の拓海の一人称と麻衣に対する保護者的立場はこの過程があったからこそ。

一章
導入部分。出会い、きっかけ。
ありそうでなさそうなシチュエーション。多少の無理は承知しているつもりです。
バス停が苗字という辺りは、まさに田舎の中の田舎。
それ以外に指標がないくらい、地名がつけられなかったくらい、人が少なく広い場所だということです。
翔が目覚めた時に発した標準語は、後一の浪人生のくだりに繋がる布石であり、麻衣が気付くために必要な唯一のヒントです。

二章
幕間。繋ぎ。
姉弟の掛け合いを面白く書いたつもり。
裏設定では、実はノックはしておらず何やら集中していたことをいいことに言い訳に使っただけということにしてあります。
翔に対してはわざと喧嘩を吹っかけて楽しんでいる節あり。
踊らされている辺り、翔が裕子には敵わないのは目に見えています。

三章
本編の本編。書きたかった場所。納涼祭。
前半は姉貴に対する翔の情けなさにやきもき、後半は拓海のファインプレーにほっこりでお楽しみ下さいという具合。
麦藁帽子、りんご飴、金魚、携帯電話といろいろ道具が活躍します。
思春期の姉弟関係はこんな感じじゃないかなと思いながら書いた話です。どの程度当たっているのか、分かりませんが……。

後一
後日談。補足。追記。
書きたいことは三章までで消化されてしまったのですが、いくらか回収できていないものを回収するためと、それからどうなったのかを示すため。
見所はやっぱり拓海と麻衣のやりとり。ここにある小説でこれだけ人が動くのも珍しいです。
あとは、裕子と翔の関係と、麻衣と拓海の関係の対比とか。
とかく本編の前後の話はとりわけ姉弟関係に重点を置いています。

全体
これを書き始めたきっかけは、"金魚"、"関西弁"、"歳の差カップルの出会い"の三つのキーワード、それからある人がいたからです。
後半のモチベーションは"関西弁"だけでしたが。
"金魚"はお題小説のキーワード、"関西弁"はただ単に書きたかったから、"歳の差カップルの出会い"はネタに困っていた時に提供して貰ったもの。
うちのサイトで歳の差カップルを露骨に表した話はこれが初めてですが、身長差とか立場の違いはなかなか面白い題材です。
機会さえあれば、いや正確に言えばアイディアさえあればまたそういう話を書いてみたいと思います。
あと、テーマが姉弟関係になったのは、書いていてそういう流れになったから。書いていても面白いです。
ちなみに、翔と裕子は元々ここに住んでいて標準語圏へ引っ越したので関西弁が喋れるが地は標準語、麻衣と拓海はずっとここに住んでいるので関西弁が地という設定になっています。
登場人物
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タイトル
小説
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