Next 隣の

Being next to me(俺の隣で)

「でさ、由衣ってああ見えて実は甘えたがりなんだよ。学校にいるときは生徒会長だって、こうピシッって感じでキメちゃってるけど、俺といるときはデレデレしてんの。お前もあの生徒会長!ってツラしてるあいつが、あんな風に振舞うだなんて想像できないだろ? まあ想像されたって俺が困るんだけどな、ははは。
この間だって駅前でデートの待ち合わせしてて、あいつがなかなか来ないなぁって思ってたら、後ろから肩を叩かれて、振り向いたら、あいつがほっぺたにぷにってやってんの。それで一人でひっかかったーってけたけた笑ってんの。もう、そんなことで楽しそうにしてるあいつを見てたら、俺も楽しくなって、二人して笑ってんの。もう笑いすぎてお腹が痛くって、笑い死にするんじゃないかって思ったわ。久し振りにあんなに笑ったよ。最近じゃテレビでお笑い番組見たってそうそう笑わないくらいだっていうのにな。
二人でいたらそんな些細なことでさえそうやって楽しくって俺はこいつとずっと一緒にいてやるんだって思えるの。こうやって笑ってるあいつの笑顔を少しでも守れたらって。そばにいてやれたらって。俺みたいにチャラチャラして何したって中途半端になってるようなやつが、由衣を守る、こいつのそばにいてやるってことだけは、他のことと違って、最後までちゃんとやり遂げたいって思ってる。自分で言うのも何だけど、こういうのって何かすごくないか? この俺が他の何でもなくってこれだけは最後までやり遂げたいって思ってるんだぜ。
お前だって、司法試験に受かって弁護士になって、多くの人を守りたいって普段から言ってるだろ? 俺も同じ、俺はあいつの笑顔を守ってやりたいの。ずっとそばにいてやりたいの。そりゃお前の夢に比べたら人一人守ってやるってだけの小さいことかもしれない。だけどな、きっと掛けてる思いはお前くらい、いやお前以上だっていう自信がある。
そりゃお前の抱いてる夢は俺も尊敬してる。俺にはそうやって強く思って頑張ってこれるようなことなかったしな。お前がずっとその目標に向かって頑張ってるってことは、俺も小さい頃からずっと見てきたからよく知ってる。自慢じゃないが、お前がそうやって思ってるってことは、俺が一番よく知ってるからと思ってるからよ。
それでも、俺があいつを想うってのは、お前の弁護士になるって夢にも負けないと思う。俺たちが出会ったのはほんの数年前だけど、俺はもう、由衣を守るしかない、こいつは運命の人だって、会ったときにビビッって来たんだよ。一目惚れってやつかな。今までこうやって誰かのことを想ったりしたことなんてなかったから正直どうやったらいいのか分からなかったんだけど、お前がいてくれたおかげでこうやってあいつと付き合えてると思ってる。そういう意味じゃ、お前には感謝してもしきれないと思ってるんだぜ。
俺が将来由衣と結婚式を挙げるってときには、お前は俺とあいつをくっつけてくれたキューピット役だって紹介するよ。お前がいてくれたからこそ、俺はこいつと結婚できたんだって、親戚中に言うからよ。お前はスピーチの場で俺とあいつの馴れ初めを話してくれ。俺の腐れ縁の友人が彼女を俺の元に運んできてくれたんだってことは、俺の数少ない自慢なんだ。お前にこそ結婚式でスピーチして欲しいんだよ。お前はまだそう言うのは気が早いって言うかもしれないけどさ」
「由衣ちゃんなら俺の隣で寝てるぜ」

A :
「ちょっ、おまっ、それ一体どういう事だよ!」
なんであいつがお前のところにいるんだよ!? お前だって、俺たちのこと応援していてくれたはずだろ!? 俺、あいつもお前も、信じてたのに、よ……。こんなのって、嘘だろ……? なあ、そうだと言ってくれよ? 今日は四月一日。そうだよな? な?

B :
「そりゃ、お前の“可愛くない”妹だからな」
だけど、俺の前じゃ可愛いんだぜ。お前は知らないだろうがな。兄貴の前であんな態度、普通取らないもんな。あいつのそういうとこ、知らないお前は損だよな。兄貴である不運を呪うがいいさ。ああ、でも結婚したらお前が俺の義兄貴(あにき)なのか……。だからどうってもんでもないんだけどな。そうか、義兄貴か……。

C :
「なんだよ、結局お前もやってんのか? 興味ねーって俺に譲ったくせにまた買い直したのかよ」
由衣は俺の嫁! だがお前の嫁でもあったのか!いいよな、由衣。可愛いよなぁ。少しプレイしてツマラナイって俺にくれたから、あいつがデレるところまでお前がやってるとは思わなかったぜ。いやあ、由衣、可愛い、可愛いよ、由衣。

D :
「そういやお前の彼女の名前も由衣だったな……」
お前と彼女の名前が被るとはややこしいな。だがこれは俺の彼女の由衣の話だからな。お前の彼女さんのことはお前が幸せにしてやれよ! そして結婚式には是非呼んでくれ!

E :
「それはお前の六法全書のことだろ? あいつに会う前からそうだったけど、どうしてそんな名前つけちまったんだよ、お前……」
ものに名前をつける人はいるけどよ、六法全書に名前をつけるとはお前も変わり者だよな! お前は昔っからそうだったよな。自転車に付け、パソコンに付け、バイクに付け。まさか六法全書につけるとは俺も思わなかったぜ。

F :
「ははは、冗談はよしてくれよ。由衣は今合宿で北海道行ってるんだぜ?」
嘘だろ? どうしてお前のところにいるんだよ? もしかして、いや、あいつが嘘付いてるとか、そんなこと、ない、よな……? 確かサークルの合宿だって言ってたし、サークルの人に連絡をとれば……、いや、俺が知ってる同じサークルのやつってあいつだけだろ? あいつに嘘吐かれたら、俺には何も分からないんじゃないか……?

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