2013年度 植物遺伝資源学 期末スト結果

 

 

期末テストの結果は以下のようになりました。

 

    平均95.19点 標準偏差30.11点でした。

 

その結果を踏まえた講義の評点は次表のとおりです。

 

 

 

各問題の解答案は以下の通りです。


 

植物遺伝資源学 198点満点  赤字は問題毎の平均±標準偏差

 

問題1 (6×3) 15.39±5.64

A : コムギ  B:  ササゲ   C:  ダイズ   D:  サトイモ   E:  トウモロコシ   F:  ジャガイモ  

 

問題2  (4×5)  12.61±6.96

Aの育種法: 系統育種法   Aの説明文: 3)

     Bの育種法: 集団育種法   Bの説明文: 4)

 

問題3 (3×5)  4.19±3.47

ア:  T-DNA   イ:   バイナリー   ウ: パーティクルガン    

 

問題4 (7点)  4.03±2.95

 植物遺伝資源は、ジーンバンクと呼ばれる施設で保存される。ジーバンクは公的機関や国際機関が担っており、栽培植物およびその祖先種を広く集めている。植物資源は種子で保存されることが多く、低湿度・低温で保存される場合が多い。近年は、DNAマーカーを使った変異評価もジーンバンクの事業として行われており、遺伝的変異情報を最大限包括しつつ選抜した遺伝資源セット(コアコレクション)が提供され、育種事業に利用されつつある。

(栽培種や祖先種を育種に使える資源として保存すること+3、種子などの保存機関であること+2 ジーンバンクというキーワード+2、など、書いていることが相応しければ点数を付けている)

 

 

問題5 16.23±7.99

1  (10)      

2  ( 10点、地図5)

 

問題6 (8項目×1)  5.94±2.47    

 

問題7  16.45±10.72

 問1(10)  AFが父親ホモ接合体か母親ホモ接合体かで、表現型値の高低が分かれるため、父親の対立遺伝子が表現型値を高めるとするのが妥当である。

2 (15)

系統3-Uの表現型は高くなることから隣接マーカーBCの間に、表現型値に影響を及ぼす遺伝子が存在すると考えることができる。

問題8 6.68±7.04

1 (10) ガンマ線照射種子の成長点は多細胞であり、変異はその中の1つの細胞の2つの対立遺伝子のうち一方だけに起きると考えられる。また、変異形質は劣性形質である確率が高い。そのため、変異体の選抜はM2世代の穂別系統で選抜する。

2 (20) 1)マップベースクローニング法により突然変異形質の原因遺伝子を単離する場合。変異形質がメンデル比の一遺伝子分離しかつ変異体(の原品種)とゲノム全域のDNA多型を持つ品種との交雑F2集団を用いることで、変異形質と連鎖する隣接DNAマーカーを探索する。最終的にはなるべく遺伝的背景を均一にして数千個体以上の分離集団を調べ、形質と密接連鎖するマーカーを探すことで原因遺伝子を絞り込む精密マッピングを行えばよい。

2)MutMap法。原品種と変異体との交配F2集団では、ほとんどの場合、変異形質は一遺伝子分離を示す。200個体程度の分離集団のうち、明瞭な変異を示す20個体程度をバルクとして高速シーケンサーで塩基配列断片情報を得る。原品種のゲノム配列を参照配列として、変異個体バルクの塩基配列断片と比較(アライメント)することで、原品種と変異個体間の塩基多型を調べることができ、かつ変異個体バルク集団で高頻度に検出される多型を変異形質と連鎖する原因多型候補として単離することができる。

 

 

問題9 (20) 5.36±6.70

 品種Aを母親にして品種Bを交雑したF1に品種Aを戻し交雑することでイモチ病抵抗性の強い良食味品種を作成することができる。その際、品種Aの戻し交雑を2回以上行い、なるべく多くの戻し交雑個体を選抜することで不良食味形質とイモチ病抵抗性形質が組換えた個体を得ることがきる(両形質は組換え1%なので200個体中1個の割合で所望の組換え体を得ることができるはずである)。食味形質の表現型決定は難しいが、連鎖するDNAマーカーを利用することで効率的な選抜が可能になる。

(戻し交雑育種に言及できていれば10点、DNAマーカー利用(つまりMAS)に言及できていれば5点、更に手順の注意点が述べられている場合に5点。想定外だった遺伝子組換え法は日本での実用性に欠けるので10点)

 

問題10 (5×6)  5.84±4.00

1. ジーン・ピラミディングは、通常MASを用いてのみ達成できる。例えば、病原に対する2つ以上の抵抗性を選んで長続きする病害抵抗性をつくるためにピラミディングが用いられる。

 

 2. ゲノムワイドまたはゲノミック・セレクションもMASを用い、一つ一つ用いると遺伝的効果の小さい多くの遺伝子座の望ましい対立遺伝子を容易に導入し評価できる。このアプローチでは、表現型値の決定と全ゲノムのマーカー探索に基づいて、検定集団の個別系統に対して育種価を予測できる。

 

3. 在来品種や野生種からの新規の対立遺伝子を導入することは、大抵は時間が掛り大変であるが、今では、植物ゲノムの染色体乗り換え挙動について良く分かるようになり新しい育種法が発展することによって導入は加速されるようになっている。

 

4. 遺伝子組換え作物が行政上の承認(regulatory acceptance)と消費者に受け入れてもらう(必要がある)という制約は、植物改変の別のアプローチを改良することで減らすことができる。

 

5. 近親交配種(イネやコムギのような自家受粉の種である場合が普通)の場合のヘテロシス(雑種強勢)では、20%から50%の収量増加が見込める。近親交配作物の収量を増加するためより広くヘテロシスを用いるための戦略は、交雑種子を得るためのコストを減らし効率を上げる方法の探索に集中することである。