ペンギンパレードを君は見たか
仙道と流川は夕方までマンツーをして、
帰り道マクドで夕飯を買ったにも関わらずそれに手を付ける前に仙道の家でセックスをした。
それからシャワーを浴びて、やっとポテトに手を付けたものだからポテトは芯の芯まで冷えていた。
これは失敗だった、お互い思っていた。
ベッドでなくフローリングでセックスをするのは初めてで、なんだかもうとことん盛り上がってしまったのがいけなかった。
下になった流川は背骨が床にすれて痛かったけれど止まれなかったし、仙道だってそうだ。
でも、ポテトが冷えて不味くて食べられなくなるのはいけないと思った。
代わりにハンバーガー、これもまた冷えているけれど、を二人もそもそ食べながら、ソファに並んで腰掛けてテレビを見ていた。
『---水族館でキングペンギンが同性同士で相次いでペアを作り、飼育員を悩ませています。
同性ペアを引き離し、雌雄間でのカップリングを試みていますが、専門家は「飼育下で性別が偏ったことが原因ではないか」とみているとコメント。
同園は同性ペアの雄と雌各1羽を別室に隔離したところ、現在は交尾するなど変化の兆しをみせ始めているようです。』
笑うようなニュースでなかったけれど、
動物の同性愛という奇妙で非自然的かと思われる現象に微かに嘲笑してしまう。
雄と雌のバランスが悪かっただけで同性に、それが動物の本能みたいなものなんだろうか。
もしかしたら俺たちもそうなのかもね。
仙道は流川をそういった意味を込めて見た。
流川は何も気付かず、何の恐れもなしにテレビを見ていたから仙道は少し悪戯心で、俺たちもこうなのかな、と言ってみた。
ちょうどテレビは同性ペアだったペンギンが異性ペンギンといる場面だった。
流川はよく咀嚼して仙道の悪戯心が分かり、女とヤったら分かるんじゃねーの、と言ってその場を去ろうとしたが。
がし、と腕を引き止められ、引き寄せられ、後ろから抱きしめられる。
単純な流川を見て、重い気持ちが重い、と仙道は苦笑いするしかなかった。
「ずっと一緒にいれたらいいね。」なんて、ふざけた台詞を俳優みたいに囁いたりした。
流川も抵抗しなかった。
その夜、仙道は二列に並んだペンギンたちがアパート前の道路をえんえんと歩いてゆく夢を見た。
---
カモメも同性ペアがいるそうで。