ニューメキシコ州西部・Socorro - Quemado間 (US-60)


 ニューメキシコ州Las Crucesの宿を出て、朝早くにI-25 NORTHに乗ります。途中、お決まりの検問所があります。 
 Las Crucesからペトリファイド・フォレスト国立公園に向かうには、I-25のあとI-40またはUS-60に乗り換える2ルートがあります。インターステートより田舎のハイウェイのほうが楽しそうだし、距離はUS-60のほうが近いので、US-60のほうで行ってみることにしました。

 地図で見るかぎり、山道のような区間もあるので、時間がかかってしまうかもしれないと思いましたが、実際は直線区間の多い、快適なハイウェイでした。
 途中、まっすぐな道がずーっと先まで見渡せる部分があります。(Magdalena - Datil間)
 この手のまっすぐ道では、僕の場合真っ先に思い浮かべるのがネバダ州のNV-375です。このUS-60もNV-375同様、まっすぐな道の真ん中がくぼんでいる、つまり下り坂と登り坂の組み合わせとなっているため、ただまっすぐなだけでなく、ずっと先まで見通せるのです。

 NV-375では、「一望に出来るまっすぐ区間」の最長は、自分の車のトリップメーターで測って16マイルでしたが、US-60では少なくとも19マイルはありました。 
 まっすぐ区間の両端は潅木が多く生えていて、真ん中あたりは乾燥した草原になっているのも、NV-375によく似ています。



牛たちと電波望遠鏡の群れ(この道は州道です)

 まっすぐ区間の真ん中あたりに来ると、ずっと遠くに何やら白い物体がいくつも見えます。 
 NM-52との交差点のところに、「左折後4マイルに"NATIONAL RADIO ASTRONOMY OBSERVATORY"がある」という看板が出ています。

 白い物体を良く見ると電波望遠鏡で、大規模な観測施設のようです。
"VISITOR CENTER OPEN"とも書いてあるので、行ってみることにしました。

 
だだっ広い草原のなかに放牧された牛や羊、その向こうには真っ白な電波望遠鏡の群。面白い取り合わせです。

 ビジターセンターの展示を見ているうちに思い出したのですが、アメリカの草原の中にVLA(Very Large Array)という、電波望遠鏡を集積した観測施設があるのを昔何かで読んだことがありました。
 直径25メートルのおわん型の望遠鏡を27基、数十キロメートルの範囲に配置し、同じ観測対象に向け、それぞれの出力を合成すると、ひとつの直径27キロメートルという巨大な電波望遠鏡と同じ効果があるということなのです。



望遠鏡をバックに記念写真

 
 それを読んだ十数年後に、こうして偶然訪れる機会があるとは、幸運なことだと思いました。 
 なぜここにあるかというと、このあたりはアメリカ本土の中でも、特に広い、障害物のない平原だからだそうです。
 望遠鏡のうちの1基には、ごく近くまで寄れます。近くで見るととても大きく、かっこ良いです。
 僕らが見ているときに向きが変わり、ガーっと大きな音がしました。 

 それぞれの望遠鏡は、ほとんどみんな同じ方向を向いているのですが、1つか2つ、全然違う方向を向いていたのが面白かったです。