暖冬と言われている近年の冬でも、
 やはり寒いと感じるわけで、
 不況と言われ続けていると、
 やはり懐も寒いと感じる。
 いや、そんな生易しくはない。
 現実は凍え続けている。
 銀行へ行くと、それは実感となって襲ってくる。

 収入が入るまで、まだ5日もある、ある日のこと、
 銀行のキャッシュコーナーへ行った。
 機械の前に立つと、いつものセリフを言われる。
 「いらっしゃいませ〜」
 おや?、とある芸人のような口調。
 「おきゃくさま〜、今日はいいボタンありますよ〜」
 「もう、おきゃくさまにピッタリ!」
 「ぜひ、おためしを〜」
 じゃあ、試してみるか。(いい度胸だ!)
 1つだけ色の違うボタンがあるので押してみる。
 「おきゃくさま〜、カードにします?、通帳にします?」
 「それとも、あ・た・し?」
 意味がわからない・・・
 とりあえずカードを入れ、残高を確認。
 一、十、百、うん???
 決して目がかすんでいるわけではない。
 若干の乱視ではあるものの、
 老眼でなければ、視力が悪いわけでもない。
 もう一度よ〜く見てみる。
 一、十、百、うん???
 ない。ありえないぐらい、ない。
 次のボタン操作を迷っていると、
 この機械、とんでもないことを言い出した。
 「ア〜ラヘン、カラヤン、スッカラビ〜ン」
 なんてことを・・・
 おや?、なにやらボタンが光ってる。
 もうこうなりゃ、やけくそだ。押しちゃえ。
 「ポチっとな」
 この機械、そんなことまで言うように仕込んでるのか。
 次の瞬間、またまたとんでもないことを言い出した。
 「残高無いなら、金をくれ!」
 こっちが言いたいわ〜
 また光るボタンが・・・
 ええぃ、押しちゃえ。
 「ポチっとな」
 もうええって。
 次の瞬間、
 「おきゃくさま〜、運がいいですね〜、今日はサービス・サービスっ!」
 「あなたがほしいのは、銀に輝く桜?、一番大きく輝く・・・」
 あっ、なんて言えばいいか詰まってるぞ〜。おもしろ〜
 「それとも、あ・た・し?」
 まだ言うか〜。
 しかも、方や100円、方や500円って言いたかったのかぁ??
 じゃあ500円。
 「あなたの将来は・・・・・・・・・」
 なんやねん! 気になるやん。
 「ところでA・K・Sってご存知ですか?」
 急に話を変えるって、よほど悪いのか?
 しかもそんなの聞いたことないぞ。
 「ア〜ラヘン、カラヤン、スッカラビ〜ン」
  A   ・   K  ・  S
 将来もこうなるって言いたかったのか〜
 もうええ。『取消』ボタンじゃ〜
 「カードをお取りください」
 「もう一度最初からやり直してください」
 「って何度やっても無理ですね〜」
 ほっとけ! かえろっ
 立ち去ろうとすると、
 「毎度ありがとうございました」
 「A・K・Sから脱皮されましたら、またお越しください」
 おれは昆虫かっ・・・おぼえとけ〜

 しかし、コツコツ頑張るしかないよな〜
 おおぅ、冷たい風が・・・
 体も懐も、心まで寒ぅなったわ〜


 (さいごに)
 こんな馬鹿げた機械は無いにしても、
 さむ〜い思いをしてる人は多いのでしょうね。
 一攫千金か、コツコツ努力するかは人それぞれですが、
 みなさんもA・K・Sにならないよう頑張りましょう!

 このお話は、実話をもとに制作したものである。