ある日のこと、いーちゃんからメールが来た。

 『あーちゃん、元気?』
 『って昨日メールしたね。キャハハ』
 あーちゃん 「相変わらずだなぁ・・・」
 『ところでさ〜、あーちゃん、ボーカルしてみない?』
 『ん? してくれるって! やった〜』
 あーちゃん 「こら〜っ、勝手に決めるな〜」
 『じゃあ、今度の日曜13時、駅で待ち合わせねっ!』
 あーちゃん 「お〜い、まだやるって言ってないのに」
        「人の都合も聞かないで・・・」

 あーちゃんの返信メール
 『いーちゃん、まだやるって言ってないのに・・・』
 『私でいいの?』
 いーちゃん 「お〜、冗談で書いたら、ほんとにノッテきた〜」
        「さすがは、カラオケ王、あーちゃんだ!!」

 そう、あーちゃんは暇さえあればカラオケに行くほど好きであった。
 ところで、いーちゃんはバンド経験があるのだろうか・・・
 実はいーちゃん、ギターリストである。
 人は見かけによらないものである。
 (いーちゃんの姿は、作者の私ですら知らないけど・・・ニュアンス、ニュアンス)

 そして日曜。

 あーちゃん 「お待たせ〜」
 いーちゃん 「私も今来たとこ。ギリギリセーフ」
 あーちゃん 「遅刻しなかっただけ、ヨシとしとくか」
 いーちゃん 「相変わらず、きっびし〜。キャハハ」
 あーちゃん 「ところで、メンバーの人は?」
 いーちゃん 「スタジオで合流」
 あーちゃん 「じゃあ、急がないと」
 いーちゃん 「よ〜し、いくぜ!ベイベー」
 あーちゃん 「ベイベーって・・・」
 いーちゃん 「いいじゃん。ロックだし」
 あーちゃん 「いいけどさ〜。私はそんなノリ出来ないよ」
 いーちゃん 「大丈夫! すぐ慣れるって」
 あーちゃん 「させる気?」
 いーちゃん 「もっちろ〜ん」
 あーちゃん 「・・・」

 スタジオに着いた二人。
 あーちゃんは、さっきの言葉が気になりドッキドキ。

 いーちゃん 「お待たせ〜」
 めーちゃん 「私たちも今集まったとこ」
 あーちゃん 「はじめまして」
 めーちゃん 「はじめまして。噂のあーちゃんね。よろしく〜」
 あーちゃん 「よろしくお願いします」
 いーちゃん 「みんな同い年なんだから、気遣いは無用よ! あーちゃん」
 あーちゃん 「そうなの? 大人の女性って感じだから、つい」
 いーちゃん 「老けて見えたとか? キャハハ」
 あーちゃん 「そうじゃなくて・・・いーちゃんが・・・」
 いーちゃん 「何? 私が何なのよ〜」
 あーちゃん 「子供」
 いーちゃん 「キャハハ、私は子供だって・・・ってお〜い」
 めーちゃん 「子供相手はそれくらいにしましょ。あーちゃん」
 あーちゃん 「そうね。ハハハ」
 いーちゃん 「ハハハじゃないよ。も〜」
 めーちゃん 「いーちゃん、他のメンバーも紹介しないと」
 いーちゃん 「そうだ、そうだ。紹介するね」
        「私がギターのいーちゃん!」
 めーちゃん 「あんたはいいから」
 いーちゃん 「ちぇっ。じゃあ次は、ベースのめーちゃん」
 めーちゃん 「私もいいから」
 いーちゃん 「も〜、ジャマしないで。テンション下がるじゃない」
 めーちゃん 「それくらいが丁度いいよ」
 いーちゃん 「私って、いっつも、こんなんじゃん」
 めーちゃん 「ごめん。わかったから次」
 いーちゃん 「じゃあ次は、ドラムのみーちゃん」
 みーちゃん 「みーちゃんです。よろしく〜」
 あーちゃん 「よろしく〜」
 いーちゃん 「最後は、キーボードのもーちゃん」
 もーちゃん 「もーちゃんです。よろしく〜」
 あーちゃん 「よろしく〜」
 いーちゃん 「私たち、5年前までガールズバンドをしてたんだけど」
        「ボーカルのひーちゃんが転勤で海外に行っちゃって」
        「で、私がやるって言ったら、子供は引っ込んどけって言われて・・・」
 あーちゃん 「なるほど」
 いーちゃん 「なるほどってどういう意味よ〜」
 あーちゃん 「そのまんま」
 いーちゃん 「ひっど〜い」
 めーちゃん 「噂どおりのいいコンビだ!」
 あーちゃん 「いーちゃん! また余計なこと言ってるんでしょ」
 いーちゃん 「言ってない、言ってない、いいママだって言ってるだけ」
 あーちゃん 「まあいいわ。きっとメンバーのみなさんはわかってると思うから」
 めーちゃん 「あーちゃん、もちろん! いーちゃんと一緒だと苦労するでしょ」
 あーちゃん 「する、する」
 めーちゃん 「ハハハ、やっぱりね」
 いーちゃん 「も〜、さっさと始めよっ!」

 こうして、1ヵ月後に行われるライブに向けて、練習が始まった。
 ライブといっても市民会館で行われる自由参加の催しである。


 (つづく)