とある日の出来事。
 仕事で京都へ行くため、電車に乗り、座わってたときのことである。
 野洲駅で、小さな子供を抱えたお母さんが、私のもとに来たので、
 『これは譲らないかん!』と思い、
 私 「どうぞ!」
 お母さん「ありがとうございます」
 私 「いえいえ」
 と言って、私はドアのほうへ行った。
 外を眺めてたら・・・
 (ぼ〜っと・・・ウトウト・・・)

 「せっかく譲って頂いたのにすみません・・・」
 私がビックリしたような顔で振り返ると、
 席を譲ったお母さん。
 お母さん 「子供がグズってしまって・・・」
 私 「あっ・・・そうでしたか〜」
 お母さん 「ほんとごめんなさいね」
 (なんて礼儀正しい人)
 と思っていたら、
 子供が、持ってたチョコレート『アポロ』を私に差し出して、
 子供 「パパ、あげる〜」
 (パ、パパ〜・・・と思いつつ)
 私 「あっ、ありがとう〜」
 お母さん 「ごめんなさいね・・・」
 私 「いえいえ」
 子供 「パパちょうだい」
 私 「は〜い」
 お母さん再び「ごめんなさい・・・(子供に)パパはおしごと」
 子供 「おしっこ?」
 お母さん 「ううん、お・し・ご・と」
 すると、子供が私に
 子供 「おしっこいくの」(『お〜い』とはツッコめず)
 私 「ううん、おしごといくの〜」(さすがに『おしっこ』とは・・・)
 お母さん 「(子供に)パパおしごといく〜って」
 (お母さんまで・・・まっ、お母さんも調子合わせなしかたないかぁ・・・)
 と思いつつ、私はしばらく『パパ』のままの状態で草津駅に着いた。

 駅に着いた。
 お母さんが
 「すみません。ありがとうございました」
 子供が
 「ばいばい」
 と言い残し、親子は降りていった。
 私も「ばいばい」
 少し『ホッ』とつき、音楽聴こうと取り出していると、
 ドアが閉まり、再び外を見たら、
 『こっち見て、て〜ふってる〜、どうすんねん』
 と思いつつも、私も軽く手を振りかえし・・・
 何ごとも無かったかのようにドアにもたれながら、
 内心はむっちゃ恥ずかしさを抑えていた。
 だって・・・『見知らぬあかの他人』やし〜(笑
 でも、まっ、いいか。


 このお話は、実話である。