つげ忠男

じゅんさん礼讃

 うらたさんの作品はどれも魅力的である。
 絵もストーリーも実にのびやかである。
 奔放であり、自在であり、幽かに無頼の影が閃いているようでもある。
 常に優しくたおやかに微笑みつつ、しかしときには後毛(おくれげ)をかきあげるような何気なさで、痛烈な一撃をくれたりする。
 のびやかだけれど、どこかはにかみを含んだ描線の絵と、キラリ底光りする冷徹なストーリーとの相克が実にスリリングで、読み手は気持ちの良い緊張感に捕らわれる。そういう作品を連発出来る力量を有しているのだろう。
 誰とも親しく付き合い、誰の色にも染まらない、本質的には一匹狼のような女性という気がしてならない。
 うらたさんの作品には一頁毎にいい風が吹いている。


2001年3月20日