回折
 diffraction:
光線が障害物の縁付近を通過する時に、幾何学的な影の部分に回り込んで分散する現象。回折が起こると、回折模様と呼ばれる明るい部分と暗い部分からなるパターンができる。

開口合成
 aperture synthesis: 多数の小さなアンテナの連携による観測で、非常に大きな口径のアンテナで得られるものと同じ解像力を得ることができる、電波天文学で使われている技術。

カオス
 chaos:
惑星表面の、高低の不規則な丘や谷が入り交じった地形を表す用語。

核融合
nuclear-fusion
小さな原子を持つ元素がより大きな原子を持つ元素を形成するために大量のエネルギーを放出しながら融合する原子核反応。

カシオペア座
 Cassiopea:
天空の北極の近くにあり、よく目立つW字型の5個の明るい 星が並んでいる星座。150年頃プトレマイオスによりまとめられた48星座の一つで、古 代エチオピア王国のカシオペア王妃の姿を表わす。1572年に、ティコ・ブラーエ(1546〜1601)が観測した強い電波源を持つ超新星(カシオペヤ座A)が現れたところ。

ガスプラ
 Gaspra:
小惑星951番。1991年、探査機ガリレオが撮った画像で発見された。大小のクレーターによって覆われ、大きさは20X12X11kmで、組成は主として金属の豊富なケイ素からなっていると考えられている。

カズマ
 chasma:
惑星表面の急峻な崖から成る谷を表す用語。

ガス状巨星
 gaseous giants:
木星、土星、天王星および海王星の木星型惑星のことで、表面がガス状態の層で覆われている。

カッシーニの間隙
 Cassini Division:
土星のA環とB環との間のはっきり見える隙間。その幅は2600kmもある。1712年、イタリア生まれのフランスの天文学者ジョバンニ・D.カッシニ(1677〜1756)により発見された。

カッシーニ計画
 Cassini-Mission:
土星とその衛星タイタンを探査するNASAとESA(欧州宇宙機関)の共同計画で、1996年に打ち上げられた。土星到着予定は、2004年の予定である。カッシニの本体は、土星を観測するオービターとなり、欧州宇宙機関の小型探査機ホイヘンスを切り離して、パラシュートでタイタンに降下させる。この計画は初めての土星系の探査で、4年間行われる予定である。このミッションの名前は、天文学者ジョバンニ・D・カッシニに因んだものである。

活動領域
 active region:
 太陽の外層で、太陽活動が起こっている領域のことで、一般的には黒点周辺をいう。この領域では、その表面下の大気層から強い磁力線が生ずる。

カテナ
 catena:
惑星表面にあるクレーターの列を表わす用語。

荷電粒子
electric charge
電子、陽子、イオン。

ガリレオ
 Galileo:
NASAが打ち上げた初めての木星系探査機。1989年10月、軌道上のスペースシャトル・アトランティスから発射された。時の政府による度重なる計画の修正命令、打ち上げるスペースシャトルの開発の遅れ、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故などにより、1983年の打ち上げ予定が大幅に遅れ、1971年に計画が考案されてから打ち上げまで、実に20年近い年月を費やした。また、燃料に原子力電池(RTG)を使用するため、旧ソ連のチェルノブィリ原子力発電所の事故などが影響し、環境問題グループから打ち上げに対する抗議を再三受けた。 打ち上げ後も、ロケットのパワー不足から直接木星に向かうことが不可能になったため、金星と地球のスウィングバイによる加速航行に変更された。 数多くのトラブルに巻き込まれながらも、ガリレオは、木星に到着するまでにも輝かしい成果をあげている。先ず1991年3月12日、小惑星ガスプラ(Gaspra)を接近通過し、クレーターに覆われた画像を送ってきた。更に1993年8月28日、小惑星アイダ(Ida)の約4000kmのところを通過し、この直径56kmのじゃが芋の形をした小惑星を、小さな岩の塊である直径1.6kmの衛星ダクティル(Dactyle)が回っていることを発見した。そして1994年7月にはシューメーカー・レビー第9彗星が木星の大気に突入する華麗なショーも見物することができた。 1995年12月7日、木星に到着し、この巨大ガス状惑星の大気を調査するプローブを発射し、史上初の測定結果を地球に送ってきた。引き続いて、ガリレオ衛星のイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストを数回接近飛行して画像を地球に送ってきた。このようにガリレオは、数々の成果をあげながら順調に飛行し、1999年に再度イオに向けて急降下し、この衛星を接近通過してミッションを完了する予定である。この探査機の名前が、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei:1564〜1642)に因んでいることは言うまでもない。

ガリレオ衛星
 Galilean Satellites:
木星の衛星イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの四大衛星のことで、1610年にガリレオが望遠鏡の観測で発見した。

カルデラ
 caldera:
大型火山のクレーターで、通常直径2km以上の開口部がある。崩落や爆発噴火、またはその両方により作られるてこみ入った構造になることが多い。

カルメ
 Carme:
11番目の衛星で、1938年ニコルソンにより発見された。直径44kmで、木星からの平均距離は2260万kmである。

カロリス・ベイスン
(盆地) Caloris Basin:
直径が1300kmの大きなくぼみで、水星の最も代表的な地形である。小惑星大の天体の衝突によりできた跡で、衝突地点の周囲に同心円の多重リング状の山ができている。この衝突の衝撃波が水星の内部と表面を伝わって、反対側の部分に集まりその表面を歪ませた。カロリス・ベイスンの丁度反対側にある低い山々は、この作用により生じた。

ガンマ線

非常に高周波の貫通性の短波電磁放射。

ガンマ線天文学
 gamma-ray astronomy:
天体から放射されるガンマ線を受けて、その天体の性質を研究する天文学の分野。ガンマ線は非常に高エネルギーの光子を除いては、ほとんど地球大気の高い高度で吸収されてしまうので、地上での観測が困難である。そのため、実際の観測は科学衛星によって行われている。

輝度
 brightness:
源の放射強度。天体の輝度は等級(magnitude) で測定され、通常輝度と同義語に使われている。

軌道
an orbit
惑星、衛星などがたどる特定の径路。

輝度温度
 brightness temperature:
電波源から放射される放射総量の尺度。

逆行する

自分と同じような天体の方向と、反対の方向に動く。

球状星団
 globular cluster:
何十万あるいは何百万という星が詰まって、ほぼ球状になっている星団。オメガ星団は最も明るい球状星団である。

局部銀河群
 local Group:
我々の天の川銀河が属している銀河の小集団。直径約500万光年の領域の中に30ほどの銀河が散らばっている。主な構成員は我々の天の川銀河の他に、最大の質量と大きさを持つアンドロメダ銀河、さんかく座の銀河M33およびマゼラン雲である。局部銀河群の中には、小さな楕円銀河や不規則銀河、孤立した球状銀河に似ている矮小楕円銀河なども含まれる。我々の局部銀河群は、直径2000万光年の中に数千の銀河が群れているおとめ座銀河団を中心とする局部超銀河団の一員である。

巨星
 giant star:
明るさは太陽の10〜1000倍の間、半径は10〜100倍の間に入る星の総称。星は中心核の中で核融合反応により水素燃料を消費し尽くすと、新しいエネルギーバランスへの調整のため、外層を徐々に膨張させて巨星になってゆく。

キロパーセク

1000パーセク。1パーセク=3,26光年。

銀河
 galaxy:
引力で互いに結びついている恒星の大集団で、それぞれ他の集団と区別される異なった個性を持っている。 銀河はいくつかのタイプに分けられる。1)渦巻銀河は円盤形をしており、中心領域に膨らみ(バルジ:bulge)を持っている。そこから渦状腕が外側に巻きついているように見える。アンドロメダ銀河M31は、これに分類される。渦巻銀河には棒渦巻銀河がある。この銀河では、中心の膨らみから両側に星の集団が棒状に伸びている。我々の銀河系は、この棒状渦巻銀河に属している。渦巻銀河の渦状腕には、非常に明るい星と多量の星間物質が集中している。星空で目につく多くの銀河はこのタイプである。 最も数が多いのが2)楕円銀河で、最も小さい銀河と最も大きい銀河はこのタイプに属している。この楕円銀河は最も古い星で構成されており、星間物質はほとんど残っていず、新しい星は生まれてこないこと。おとめ座銀河団の中心的存在であるNGC4472とNGC4482はこれに分類される。 渦巻銀河と楕円銀河の中間に3)レンズ状銀河がある。形は円盤状だが、星間ガスがほとんどないため渦巻構造が見えない。渦状でもなく楕円でもない無秩序に見える銀河に 4)不規則銀河がある。このタイプの銀河は、知られている全ての銀河の1/4を占めている。大マゼラン雲はこれに分類される。

銀河系
 Galaxy:
galaxyの頭文字が大文字のGで始まるときは、夜空で天の川として見られる我々の天の川銀河を意味する。銀河系は2000億個の恒星が集まった巨大な回転円盤である。我々の太陽系もその一つにすぎない。この円盤は多量の星間物質(ガス)や磁場、宇宙線で満たされている。回転によって円盤には渦巻構造が発生し、それに伴う銀河衝撃波で星間物質が圧縮されて、星が形成される。
 渦状腕では、超新星爆発や銀河衝撃波で供給されたエネルギーにより星間物質や磁場が、宇宙線と一緒に吹き上がっている。このように円盤は熱いガスに満ちている。

銀河団
 galaxy-cluster:
引力の相互作用によって互いに繋がっている銀河の集団。

銀河中心
 galactic center:
我々の銀河系の中心領域のことで、ここでは非常に高温の ガスが存在する。しかし、星間物質が非常に高い密度で集中しているので、光学的には見ることはできない。電波や赤外線の観測で、局所的でコンパクトな電波源である。射手座Aは銀河の中心とされており、銀河座標の原点として使われている。

クェーサー

電波とX線を含み、多量の放射能を放出する、遠くにあるエネルギー源。

クリュセ平原
 Chryse Planitina:
火星の北半球にある円形の平原で、おそらく衝突ベイスンであると考えられている。1976年7月に火星探査機バイキング1号が着陸した地点である。
クレーター crater: 惑星面にある円形の凹地。浅いカップのような形状で中央部は周囲より低く、盛り上がった縁を持つ。惑星や衛星表面のクレーターの大部分は、隕石の衝突によって形成された。

グロビュール
 globule:
星の密集している所、または明るい星雲を背景にして見える暗く不透明なガスや塵から成る球形をした小暗黒星雲。グロビュールは、星の形成過程の初期の段階を表すと考えられている。

ケープ・カナベラル
 Cape Canaveral:
アメリカのフロリダ州のケネディ宇宙センター がある場所で、アメリカのスペースシャトルやロケットのほとんどはここから打ち上げられる。

月面移動車
 LRV:
Lunar Roving Vehicleのことでバッテリーで動く。アポロ計画の15〜17号で月面に降ろされた。

ケネディ宇宙センター
 KSC:
Kennedy Space Centerのこと。NASAの主要なロケット打ち上げ基地。フロリダ州のケープカナベラルにある。スペースシャトルが打ち上げられる唯一の場所であり、過去の有人宇宙船は全てここから飛び立っていった。故ケネディ大統領に因んで命名された。

ケプラーの法則
 Kepler's laws:
ティコ・ブラーエ(1564〜1601)が行った惑星の位置の精密な観測を基礎にして、ケプラー(15712〜1630)が経験的に導き出した惑星に関する三つの法則。
1)惑星は太陽を焦点とする楕円軌道を描く。
2)太陽から惑星に至る直線は、等時間に等面積を描く。
3)惑星の公転周期の二乗は、太陽からの平均距離の三乗に比例する。
これ等三つの法則の物理的意味は、ニュートン(1643〜1727)の万有引力の法則 (Newton's Universal Law of Gravity)によって初めて明らかにされた。

ケルベロス
 Cerberus:
小惑星1865番。直径は1.6kmである。1971年、地球に接近したコホーテク彗星の観測で発見された小惑星である。この名前は、冥王星の衛星カーロン(ギリシャ神話の三途の川ステュクスの渡し守の意味)の番犬の名前からとられ た。

ケレース
 Ceres:
1801年、ピアッツイ(1746〜1826)により発見された最初の小惑星。直径は913kmで小惑星としては非常に大きい。その質量は、小惑星帯に存在する全小惑星の1/3を占める。

検出器
 detector: 
観測しようとする電磁波や粒子を感知する装置。

ケンタウロス座
 Centaurus:
大きな南天の星座で、天の川の中にあり、多くの星が存在する。150年頃プトレマイオスによりまとめられた48星座の一つ星団である。太陽系に最も近い4.3光年の距離にあるプロクシマ・ケンタウリ(Proxima Centauri)や最も美しく明るい球状星団オメガ星団(Omega Centauri)などがある。

玄武岩
 basalt:
細粒、緻密な火山性火成岩で、大部分は珪酸塩鉱物の輝石や斜長石からなり、暗灰色から黒色をしている。

 conjuction:
太陽系の二つの天体が地球を含んで一直線になり、地球から見てその二つが同じ場所、またはほとんど同じ場所に見えるようになることをいう。水星か金星のどちらかが地球と太陽に挟まれる形になった時の位置を内合(inferior conjunction)といい、二つの惑星のいずれかが地球から見て、丁度太陽の向こう側に位置するようになった状態を外合(superior conjunction)という。 注)appulseも同じく「合」と訳すが、これは、ある天体が他の天体に見かけ上接近し、接触しそうに見えるまで近づくことをいう。

光行差

恒星などの観測位置に生ずる見かけ上のずれの一種。地球が太陽を回る公転運動により生ずる差を年周光行差といい、地球の自転により生ずる差を日周光行差という。

光合成

植物が二酸化炭素と栄養分と日光を使って食物を作り出すプロセス。

高地
 lunar highland:
月面の海(mare)以外を表す用語。この地形は海よりも明るく、クレーターが多い。

降着
 accretion:
小さい物質粒子が相互に重力引力で引き合ったり偶然に衝突する結果、合体して次第に大きな物体を形成すること。

公転
より大きな天体のまわりをより小さな天体がまわること。 紅炎(太陽紅炎):太陽の端にとらえられたガス。太陽の表面から外へ向かって噴出するようにみえる。

光度
 luminosity:
星の放つ全エネルギーの尺度。

光年
 light year:
光が1年に進む距離。即ち9兆5000億キロメートル。

後方散乱
 backscattering:
放射や粒子が入射方向にたいして90度以上の角度で散乱されること。

国際宇宙ステーション
 International Space Station:
2004年に完成予定のアメリカ、ヨーロッパ、カナダ、ロシア、日本などの協力で建設される宇宙ステーション。この宇宙ステーションの基本の骨組みは、145mの梁から張り出した長さ15m、高さ3mの四つの与圧モジュールと長さ27m、幅10.5、最大出力75Wの巨大な太陽電池 である。このモジュールの一つは、8人の乗員を収容できるもので、残りは実験室である 。宇宙ステーションでは、極めて純度の高い薬品や半導体を作ることができ、ライフサイエンスや材料科学の実験が行われる予定である。 この他フリーダムと同じ軌道を離れて飛ぶ独立モジュールや、極軌道プラットホームも考えられている。この国際宇宙ステーションは、将来の火星探査機の発射基地となる可能性がある。1986年に打ち上げられた旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」の老朽化が進み、その引退が決定されたので、国際宇宙ステーションの完成が待たれている。

国際天文学連合
 IAU:
International Astronomical Unionの略称。天体やその地形の命名のような国際的な取り決めなど、天文学における国際的協力を促進するため、1919年に設立された。本部はパリにある。

黒色矮星
 black dwarf:
明るさを持たない完全に死んだ星。質量が太陽の1.4倍以下の星は、進化の終わりに近づくと白色矮星(white dwarf)になる。白色矮星は内部でエネルギーを生成しないので徐々に冷えていき、最後には、全く光を出さない星の死骸、黒色矮星になる。

黒点(太陽黒点)
太陽の表面に黒っぽい領域として現れる磁気嵐。黒点は周囲よりもおよそ摂氏で1500度温度が低い。ある時点における黒点の数は、11年ごとに繰り返す。 紫外線:非常に短い波長から成る目にみえない電磁放射。人間は、太陽から放出される紫外線により日焼けをおこす。

コスモノート

前ソ連又は現ロシアの宇宙飛行士。

ゴダード宇宙飛行センター
 Goddard Space Flight Center:
アメリカ・メリーランド州 にあるNASAの施設。1959年に設立され、天文学分野の基礎研究や人工衛星の設計、開発を行っている。近代ロケットの父ロバート・ハッチングス・ゴダード(1882〜1945)に因んで命名された。

ゴッサマー・リング
 Gossamer Ring:
木星の三つの環のうちの最も外側の環。

コマ
 coma:
彗星の核をとりまくぼんやりした雲。

コリス
 colles:
惑星表面の低い丘を表す用語。

コロナ

恒星の大気の最も外側の非常に厚い層。太陽のコロナは、皆既日食の間しかみることができない。

コロナホール
 corona-hole:
コロナの中で、例外的に密度と温度の低い広がった領域で、そこから太陽風が吹き出す。