アドラステア
 Adrastea: 
15番目の小衛星で、1979年ジュイットにより発見された。大きさは24X16kmで、木星からの平均距離12万8980kmである。

アナンケ
 Ananke: 
12番目の衛星で、1951年にニコルソンにより発見された。直径は30kmで、木星からの平均距離は2120万kmである。

アブレーション
(または摩耗) ablation: 
蒸発または摩擦のような過程による表面の浸食のこと。例えば、流星が惑星の大気圏に入る時、流星の表面と大気の気体分子との間に摩 擦が生じて摩擦現象が起きる。また、宇宙船が大気圏に突入する時、その構造体が空気の加熱により徐々に溶融、蒸発することもいう。

アポロ−ソユーズ共同計
 Apollo-Soyuz Test Project: 
1975年7月に行われたアメリカと旧ソ連による宇宙船の共同飛行計画。地球周回軌道(高度225km)上で、アポロ宇宙船の司令船・機械船に、ソ連のソユーズ宇宙船が太平洋上でドッキングし、互いに相手の宇宙船を訪問し合った。この他共同実験も幾つか行われた。

アポロ計画
 Apollo-Program: 
アメリカの宇宙計画。1961年5月、ケネディ第35代大統領の宣言により開始された。この計画は七つの段階に分けられ、1〜6段階の無人飛行で技術的要素を含むテストが行われた。1969年7月16日、アームストロング、コリンズ、オルドリンの3飛行士はアポロ11号に乗り込み、サターン5型ロケットで月に 向かい、7月20日、アームストロングは月面に人類最初の第一歩を印した。「これは一人 の人間にとっては単なる一歩だが、人類にとっては偉大な第一歩である」は、彼が月面に着地した時の言葉である。 11号に続いて、 コンラッド、ビーン、ゴードンが12号に、シェパード、ミッチェル、ルーサが14号に、スコット、アーウイン、ウオードンが15号に、ヤング、デューク、マティーンが16号に、そしてサーナン、シュミット、エバンスが最後の17号に搭乗して月面に着陸した。 アポロ計画で1972年12月に終了するまでに合計400kg近い月面の岩石、土壌が収集され、膨大な量の写真が月面と軌道上から撮影された。また、宇宙線、太陽風の検出を含むさまざまな実験や観測が月面で行われた。 アポロ宇宙船は、一人乗りの司令船 (Command Module)、機械船(Service Module)および二人乗りの月着陸船(Lunar Module)からなっていた。

アマルテア
 Amalthea: 
5番目の小衛星で、1892年にバーナードにより発見された。ボイジャー1号によって得られた画像によると、この衛星は赤い色をしておりじゃが芋のような形をしていることが分った。表面はクレーターで凹凸が激しく、最大の窪みであるパンは、直径90kmある。赤い色は、衛星イオから吹かれてきた硫黄化合物のためと考えられている。大きさは370X150kmで、木星からの平均距離は18万1300kmである。

アルギル・ベイスン
 Argyre Basin: 
火星の南半球にある円形の衝突ベイスンで、直径は1000km以上ある。このベイスンは、火星の地殻物質が押し上げられてできたマッシーフ(断層地殻)で囲まれている。

アルファ・ケンタウリ
 Alpha Centauri: 
ケンタウルス座(Centarus)の最も明るい星で、全天第3位。太陽に近い明るい星で、4.34光年の距離にある。周期が80年の軌道を持つ実視連星(望遠鏡で見たときに両方の成分星が二つの光の像に分離できるもの)である。

アルベド
 albedo: 
太陽系の天体で、太陽光の入射光に対する反射光の強さ。アルベドは0(完全吸収)と、1(完全反射)の間の分数かパーセントで表わされる。

アレシボ・メッセージ
 Arecibo Message: 
1974年、アレシボ天文台の電波望遠鏡を使い銀河系のハローの中にある球状星団 M13に向けて、地球からの電波のメッセージが送られた。このメッセージは、1679個のオンオフ(2進法)信号の文字列で、数学的な考え方をする宇宙人ならこれから「絵」を描けるはずとの考えに立っている。1679は23X73を掛けた数字で、この信号を23X73の長方形に並べると絵が現れるしくみになっている。この絵には、地球人の数の体系、生命の基礎構造、人間とアレシボ望遠鏡の大まかな形、太陽系における地球の位置が示されている。

アレシボ天文台
 Arecibo-Observatory: 
プエルト・リコにある口径305mの世界最大の電波望遠鏡(固定パラボラ・アンテナ)がある天文台。アメリカのコーネル大学国立天文学電離層センターが管理運用している。1963年に完成した。集光面積は世界中の電波望遠鏡をすべて合わせたものより優れており、惑星のレーダー観測、パルサーの観測などに用いられている。

アロマトウム・カオス
 Aromatum chaos: 
火星のカオス地形の好例で、液体の水の浸食により形成されたと考えられるチャンネル(流路)の跡が見られる。

暗黒星雲
 dark nubula: 
背後にある明るい天体からの光を吸収する暗い星間雲。星の形成の初期の段階は、暗黒星雲の中で起こるといわれている。暗黒星雲は塵やガスを含み、温度は低く単純な分子が形成されている。暗黒星雲に関する知識は、赤外線や電波の観測により得られた。

暗黒物質
 dark-matter: 
宇宙に存在するとされているが、未発見の物質。ダークマターの量は星などの見える天体の総和の10倍以上あると推定されている。

アンドロメダ銀河
(M31) Andromeda-Galaxy:
アンドロメダ姫の腰の辺りに見える非常に大きな渦巻銀河で、肉眼でもぼんやりとした斑点として見える。地球から230万光年の距離にあり、総質量は太陽の約3000億倍ある。4000億の星からなる知られている限り、局部銀河群の中で最大の銀河である。太陽系が存在する天の川銀河は、アンドロメダ銀河に似ていると考えられているが、その質量は半分ほどしかない。アンドロメダ銀河は、肉眼で見ることができる最も遠い天体であり、そのまわりには幾つかの矮小銀河が伴銀河として存在する。

アンドロメダ座
 Andromeda:
ギリシャの天文学者プトレマイオス(100〜170頃)により、150年頃にまとめられた48星座の中の北点の星座。アンドロメダは古代エチオピアのカシオペア王女の娘で、海の怪物の生け贄に捧げられた。三つの明るい星、アルファ星(シラー)、ペータ星(シラク)、ガンマ星(アウマク)は、アンドロメダの頭、腰、脚を表す。アンドロメダは、その中にアンドロメダ銀河を抱える非常に大きな星座である。

イオン
 ion:
陰電気又は陽電気を帯びた粒子。

イオンの尾
 ion-tail:
彗星が太陽に接近すると伸びる2種類の尾の一つで、プラズマの尾ともいわれている。電離した原子や分子で構成され、太陽風磁場によって引きずりだされてできた青っぽい色の尾である。もう一つは、塵の微粒子が太陽の光の圧力で押されてできる太くカーブしたダスト(塵)の尾である。

隕石
meteorite
宇宙空間から落下してきて、他のより大きな天体に衝突する、物質のかけら。

インパクト・ベースン
 impact basin:
隕石の落下によりできた盆地のような穴の地形、即ち大隕石孔のことである。

インブリウム・ベースン
 Imbrium Basin:
月面で最大、最新の円形衝突地形。この地形 の形成後、溶岩で埋め立てられた暗い地域は、直径が1300kmの「雨の海」として知られている。

インフレーション宇宙
 inflationary universe:
宇宙のビッグバン・モデルに関するもので、宇宙史の初期の一時期、時空の真空にそれまで蓄えられていた莫大なエネルギーの解放により加速度的な膨張があったとする説。

宇宙
 cosmos:
存在する全ての物質のエネルギーを含む空間の広大なひろがり。

宇宙化学
 astrochemistry:
星間物質である原子、分子やちりとの間の化学反応を調べる学問で、星や惑星の形成の研究も含む。

宇宙科学研究所
 ISAS(Institute of Space and Astronautical Science):
日本の科学目的の宇宙開発を行う文部省直轄の研究所。その濫觴は、東京大学の一グループが1950年代にロケットと宇宙科学の研究を始めた時点まで溯るが、宇宙科学研究所としての正式な発足は1981年である。 1970年2月に日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。更に、K型、S型などの観測ロケットの他、Mu(ミュー)ロケットを使って科学研究用の人工衛星を打ち上げており、1986年には、ハレー彗星探査の「さきがけ」、「すいせい」を地球重力の外へ脱出させることに成功した。 1998年7月4日、日本初の火星探査機プラネットB(後に「のぞみ」と命名された)を打ち上げた。この探査機は、火星の大気と太陽風の相互作用の調査を行う探査機で、日本の本格的な惑星探査の先駆けとなる。(のぞみは地球スウィングバイの際の不具合によって、火星到着が大幅に遅れ、2004年1月となった。) 宇宙科学研究所の今後のプロジェクトとしては、1999年の月面探査「ルナーA」、2002年の「ミューゼスC」(小惑星のサンプル・リターン計画)および「ルナーA」、2003年の宇宙開発事業団との共同で行う月探査「セレーネ」、赤外線天文衛星「アストロF」(2003年)、太陽観測衛星「ソーラーB」(2004年)がある。

宇宙通信網
 Deep Space Network:
惑星間飛行をしている探査機の制御や指令のための通信用ネットワーク。アメリカのジェット推進研究所(JPL)が開発した。略称はDSN。

宇宙飛行士
 astronaut, cosmonaut:
1961年、旧ソ連が打ち上げたガガーリン飛行士搭乗のボストーク1号により初めて有人宇宙飛行が行われた。翌1962年、アメリカのマーキュリー計画で飛行士ジョン・グレンが有人宇宙飛行に成功した。時代背景もあり、米ソ間の熾烈な技術開発競争により、尊い命の犠牲を乗り越えて有人宇宙飛行は飛躍的に進歩した。 当初は軍のパイロットから優秀な人材を厳選して宇宙飛行士としたが、その後、選考基準が変わり、医師や科学者などが選ばれ宇宙飛行士として活躍するようになった。NASAのスペースシャトルの宇宙飛行士の役割は、次の通り定められている。
1)スペースシャトルを操縦するパイロット宇宙飛行士、
2)スペースシャトル内での活動を総合的に統括するミッション・スペシャリスト、
3)実験装置の操作および地上のコントロールセンターとの交信を行うペイロード・スペシャリスト。
日本からも1992年に、毛利衛飛行士 がペイロード・スペシャリストとしてスペースシャトルに搭乗したのを皮切りに、向井千秋、若田光一、土井隆雄らが宇宙飛行士として活躍している。 アメリカではastronaut、ロシア(ソ連)ではcosmonautと呼ばれている。

宇宙論
 cosmology:
宇宙の起源、進化、性質および構造に関する天文学の分野。ビッグ・バン理論は、現在の主要な宇宙論をなしている。

エアロゾル
 aerosol:
大気中のもやのように、気体中に粒子が浮遊している状態。

衛星
satellite
より大きな天体の周りをまわる天体。月のように自然に存在するものとハブル宇宙望遠鏡やコンプトンガンマ線観測所のように人口のものがある。

エウロパ
 Europa:
木星の衛星の項を参照して下さい。

X線
X-rays
極めて短い波長を持つ透過性電磁放射。

エネルギー
energy
利用可能な熱又は動力。物理学では、物理的な組織が仕事をするための力を意味する。

エララ
 Elara:
7番目の衛星で、1905年にパーラインにより発見された。直径は80km程度で、木星からの平均距離は1173万7000kmである。

エロス
 Eros:
1898年にG.ウイットにより発見された小惑星433で、火星の内側に軌道を持つ小惑星としては最初に発見されたものである。直径は35kmである。1931年、地球に2300万kmのところまで近づいた。

エンケの間隙
 Encke Division:
土星の周りの明るいA環の中にある暗い間隙。ボイジャー2号の画像は、エンケの間隙の中に、狭くいくぶん波立つ小環を示している。

円錐曲線
 conic section:
円、楕円、放物線や双曲線などを表す総称。

遠心点
 apocenter:
引力の中心から最も遠い軌道上の点。対語は近心点(pericenter)である。

遠日点
 aphelion:
惑星、彗星などの天体が、太陽を回る軌道上で太陽から最も遠ざかる点。対語は近日点 (perihelion)である。

エンベロープ
 envelope:
一つまたはそれ以上の星や天体を包み込んでいるガス状領域。

黄道
 ecliptic:
太陽が天空を回る見かけの円周軌道。地球の軌道面。月がこの面を通過する時だけに、日食や月食が起こることからから、この名前がついた。

オールトの雲
orlt
太陽系をとりかこみ、最も近い恒星までの距離の半分位まで達していると考えられている巨大な雲。彗星はオールトの雲で生まれる。

オーロラ
 aurora:
極光。地球の両半球の高緯度の夜空で観測される発光現象で、光輝く色のパターンが急速に変化する。オーロラの光は、磁気圏尾部の磁力線のつなぎ替えによって加速された高速粒子が地球大気の酸素原子や窒素原子に衝突して発する緑や赤の輝線である。オーロラの発生する高度は、地上100kmのあたりである。オーロラが活動している間は、電離層で種々の現象が起こりうる。例えば、地球磁場の脈動、電離層における電流の発生、X線放射などである。

温室効果
 green house effect:
地球大気が太陽の熱エネルギーを捕捉して、温室のガラス天井や壁のような働きをすること。地球からの長波長の放射は地球大気の水蒸気、オゾン、炭酸ガスによって吸収され、再び地表面に向かって放射されるので、地表面は太陽の放射で受けるよりも多くの放射エネルギーを受けることになる。地球上の人間活動、特に、石炭、石油などの化石燃料の燃焼で炭酸ガスやいわゆる温室効果ガスを大気中に放出してその濃度を増加させ、地球全体の平均温度を上昇させている。太陽系では、金星が温室効果の影響を最大に被った惑星である。