さきがけ
投下時期
軌道上の重量
1985年1月8日
138.10kg

さきがけ」は、「すいせい」と共に文部省宇宙科学研究所が打ち上げたハレー彗星の探査機である。彗星の核の近くには接近しなかったが、 彗星の接近通過を行った世界で最初の探査機となった。 1985年1月8日、「さきがけ」は、日本の探査機としては初めて地球の重力を利用して加速するスウィングバイを行った。これは、日本の探査機による初の惑星スウィングバイでもある。

1986年3月11日、 彗星の太陽に面した側の約700万kmの距離を通過した。「さきがけ」は回転速度の異なる(毎分5回と0.2回)安定した回転機能を持つ探査機で、 姿勢と速度を制御するヒドラジンを原料とする一薬推進装置が装備されている。 更に、探査機の姿勢を決める恒星・太陽センサーと長期間の交信を司る、固定式のパラボラアンテナ、プラズマ波のスペクトル、太陽風に含まれるイオンおよび惑星間の磁場を測定する科学機器も搭載されている。

「さきがけ」は彗星のジェオテールを観測した。ジェオテールとは、彗星が太陽に近づくと伸びるガスの尾(または、プラズマの尾、もう1つは塵の尾と呼ばれる)「さきがけ」のミッションは、全て順調に推移し、地味ではあったが着実な成果をあげた。特に、太陽風のデータは、他の国の探査機がハレー彗星に接近してデータを得る際の基準データとして貴重な存在となった。