海 王 星 の 衛 星

 

 海王星には以前からトリトンとネーレイドの二つの衛星があることはわかっていたが、1989年に探査機ボイジャー2号が新たに6個の衛星を発見した。これ等の新しい衛星のうち、ナイアッド、タラッサ、デスピナ、ガラテアは環の中を回っている。また、デスピナとガラテアは羊飼い衛星の振る舞いをしている。2000年以後、観測技術の進歩でガス状の外惑星について新しい衛星が次々と発見されるようになった。海王星はこの埒外であったが、2002年8月に新たな3個の衛星が発見された。新しい衛星の直径は30〜40kmで、形は不規則、いずれも海王星とは逆方向に自転しているので、海王星に捉えられた小惑星と考えられている。これ等の星には、S/2002N1〜N3の符号がつけられた。


名前 直径 海王星からの平均距離

ナイアッド

58km

48,227km

タラッサ

80km

50,074km

デスピナ

148km

52,526km

ガラテア

158km

61,953km

ラリッサ

208x178km

73,548km

プロテウス

436x416x402km

117,647km

トリトン

2,704km

354,300km

ネーレイド

340km

551,500km

トリトン
 直径2700kmの海王星最大の衛星である。1846年、ウイリアム・ラッセル(1799〜1880)により発見された。海王星発見のわずか17日後のことであった。トリトンは5.9日で母惑星をまわっており、その自転方向とは逆向きにまわる太陽系唯一の巨大衛星である。また、海王星の赤道面から23度も傾く珍しい軌道面を持っている。これ等のことから、トリトンは海王星にとらえられた天体であると考えられるようになった。

 1998年8月25日、探査機ボイジャー2号がトリトンから4000kmまで接近して観測した結果、先ず従来3500kmと考えらていた直径は、2700kmであることがわかった。表面の温度は38K(ケルビン:1K=−273.16℃)で、太陽系の中で最も冷たい天体であることもわかった。

 マントルの下に、衛星の質量の2/3を占める岩石の固い核が存在する。また、メタンを僅かに含む薄い大気がある。トリトンの赤道付近にはプリューム噴火を含む複雑な火山活動が進行中であることを示す地表を示していることから、トリトンの表面は天文学的には若いと考えられている。トリトンには、ちょうどカンタロープ・メロンの皮に似た表面が広がっている。
海王星からの平均距離は、35万400kmである。


プロテウス
 直径200kmの小さくて表面の暗い海王星の天体である。非常に暗いため、受け取る太陽光のわずか6%を反射するに過ぎない。クレーターが非常に多いのは、太古の時代に微惑星による絨毯爆撃を繰返し受けたためと考えられている。