NEAR・ミッション
打ち上げ時期
軌道上の重量
1996年2月17日
805kg


 地球近傍小惑星エロスの探査は、「より速く、より良く、より安く」のモットーのもとに始められたNASAによるディスカバリー計画の第一弾である。第二弾は、あの大成功を収めたマーズ・パスファインダー・ミッションである。

 NEAR(Near Earth Asteroid Rendezvous)ミッションの目的は、小惑星エロスの大きさ、形状、質量、密度、組成、地表と内部の構造及び磁場を詳細に探査することである。探査機には、マルチスペクトル撮像カメラ、近赤外線分光計、X線・ガンマ線分光計、磁力計、レーザー距離測定器、電波科学機器及び重力計が搭載されている。

 探査機NEARは、1999年1月に小惑星433エロスに遭遇し、軌道を周回しながら約1年間エロスを詳細に探査する予定であった。しかし、軌道修正に誤差動が生じたため、1998年12月、計画はフライバイに変更された。この結果、エロスとの遭遇は予定より1年余り遅れた2000年2月に延期された。

 エロスとの遭遇に先立ち、探査機NEARは小惑星253マチルドを接近飛行することになった。マチルドは大きさが約59x47kmのCタイプに属する小惑星である。1997年6月27日、探査機NEARはマチルドから2400kmの距離を接近通過しながらこの小天体を観測した。1998年1月、探査機NEARは地球フライバイを終えて小惑星エロスに向かった。

 2000年2月14日、探査機ニアは、奇しくもバレンタインデーに小惑星433エロスとのランデブーに成功した。 小惑星の軌道に到着した最初の探査機となった。1996年2月、探査機ニアは、“Faster, Better, Cheaper”をモットーに、新たに策定されたNASAのディスカバリー計画のさきがけとなるミッションとして打ち上げられ、4年間におよぶ飛行の後に目的地のエロスに到達した。以来、主に地表から20キロ〜40キロの範囲の軌道を周回し、時には地表すれすれ(3キロ)の低空周回をしながら、エロスの形状、比較的クレーターの少ない起伏に富んだ地表、地表を覆うレゴリス(こまかい砂)のような物質、地表を特徴づける溝や尾根の地形そして巨石が立ち並ぶクレーターなど、計画をはるかに上回る16万枚以上の画像を撮影した。

 一年間の活動でミッションの目標が十分に達成されたことと燃料が残り少なくなってきたため、ミッション活動の締めくくりとして、探査機はエロスの表面に軟着陸に挑むことになった。米東部標準時の2月12日午前10時31分(日本時間2月12日零時31分)、探査機は高度35キロの周回軌道を離脱して降下を始めた。