火 星 の 衛 星

フォボス

 火星の第一衛星(内側の軌道を回る衛星)で、長軸の直径は27kmと非常に小さい。1877年にA・ホール(1829〜1907)により、もう一つの衛星デイモス(ダイモスとも言う)とともに発見された。いずれもじゃが芋に似た形をしており、火星の引力にとらえられた小惑星と考えられている。1977年、火星探査機バイキング1号が500kmまで接近して撮影した画像によると、クレーターの多い岩石の表面をしていることがわかった。スティックニーは最大のクレーターで、火星の直径の1/3を占める。

 火星からの平均距離は9380kmで、火星より速く、7時間40分で一回転するので、一日のうちに3回昇ったり沈んだりする。フォボスは火星の重力で内側に引かれているので、約5万年後には火星に衝突するだろうといわれている。


デイモス

 火星の第二衛星(外側の軌道を回る衛星)で、長軸直径は16kmとフォボスより更に小さい。火星からの平均距離は2万3500kmで、30時間で火星を一周する。バイキング2号より得られた画像によると、デイモスは真っ黒い岩石でできていて、フォボス同様クレーターに覆われてはいるが、大きなクレーターは少なく、表面は滑らかで割れ目も少ないことがわかった。

 デイモスもフォボス同様炭素質コンドライト隕石(最もありふれた石質隕石で、特徴はコンドリュールという珪酸塩鉱物を含んでいることである)に似た組成をしていることから、火星に捕らえられた小惑星であるといわれている。