秋の星座   




アンドロメダ座
学名:
Andromeda
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M31(楕円銀河・アンドロメダ大星雲)/NGC205(楕円銀河・M31の伴銀河)/M32(楕円銀河・M31の伴銀河)/NGC891(楕円銀河)/ガンマ星(青とオレンジの2重星)
  • 神話の主な登場人物:アンドロメダ/カシオペア/ケフェウス/ポセイドン/ペルセウス
  • 日本で観測できる時期:8月〜2月の約8カ月間
  • 見ごろの季節:秋(11月下旬に20時正中)

      アンドロメダ座は、私たちのおとなりの銀河、アンドロメダ大星雲があることで有名な星座です。秋の中天にかかるペガサス座の四辺形と頭を接し、東の方へとAの字に似た姿を伸ばしています。アンドロメダ銀河は星座の腰のあたりにあり、また左足の端にはオレンジと青の美しい2重星(ガンマ星)があることでも知られています。

    見つけ方のポイント
     まず秋の夜空の天頂付近に2等星と3等星が作る四辺形を見つけましょう。「ペガサスの大四辺形」と呼ばれるペガサス座の一部ですが、その東端の2等星を頭に2列にペルセウス座の方へ伸びていくのが、アンドロメダ座です。私たちのお隣の銀河として有名なアンドロメダ大星雲は、細長い三角形をした星座の腰のあたりにあります。星雲の位置があらかた分かったら、少し目線をずらして眺めてみましょう。瞳は端の方が光を感じやすいため、星雲の形がよりよく見えます。

    神話の内容について
     アンドロメダは古代エチオピアの王女でとても美しく、母のカシオペアは海の妖精たちより美しいと自慢するほどでした。そのために海の妖精の一人を妻に迎えている海神ポセイドンの怒りを買い、エチオピアは恐ろしいクジラの化け物に襲われ、破滅に瀕します。怒りを静めるためには娘アンドロメダを生け贄に差し出せとの神託が下り、アンドロメダはクジラが襲う海の岩に縛りつけられます。しかしあわやクジラに襲われるというところで通りがかりの英雄ペルセウスに救われたのでした。その後ペルセウスとアンドロメダは結婚し、エチオピア王国には繁栄が訪れたということです。


























うお座(魚座)
学名Pisces
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:NGC628、M74=Sc型銀河/アル・レシャ(アルファ星)/フム・アル・サマカー(ベータ星)
  • 神話の主な登場人物:アフロディーテ(ヴィーナス)/エロス(キューピッド)/テュフォン(タイフォン)/ゼウス(ジュピター、ユピテル)
  • 日本で観測できる時期:7月〜翌年3月
  • 見ごろの季節:秋(東京では11月中旬の午後9時ごろに南中)

      うお座は、黄道12宮の起点の星座として、また現在は春分点がこの星座に移動している意味から重要視されている星座です。大きい星座ですが、明るい星がなく、最も明るい星でも4等星の明るさしかありません。8個程度の星が大きいVの字型に並び、東西に分かれた2匹の魚がひもで結ばれている形をしています。バビロニアの古い星座では、人魚と尾が魚の姿になったツバメが1本のひもで結ばれた形でしたが、紀元前3〜4世紀のギリシャでは、すでに現在の姿が詩にうたわれています。

    見つけ方のポイント
     ペガサス座の四辺形とくじら座との間に見えます。大きいけれども暗いので、黄道星座の中では、比較的見つけにくい星座です。

    神話の内容について
     ギリシャ神話では、美の女神アフロディーテと、その子エロスがユーフラテス川の岸辺を歩いていると、突然、テュフォンという怪物が現れたため、ふたりは魚の姿となって川へ飛び込み、その場を逃れました。  テュフォンとは、地の神ガイアと天空の神ウラヌスの子孫であるタイタン族のひとりで、首が百もあり、目と口からは火を吐き、黒い舌を持った口は牛や犬、ライオンの吠え声を出し、神々の口まねもうまく、手足の先は蛇という姿の怪物です。このテュフォンに脅されて半魚の羊となって逃げたのが、牧神パンの化身のやぎ座であり、また大神ゼウスがテュフォンに追われたときに化けた羊が、おひつじ座であるとも伝えられています。ゼウスはテュフォンに戦いを挑み、雷を使って退治したと言われています。

























おひつじ座(牡羊座)

学名Aries
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:NGC976=Sc型渦状銀河/NGC821=E2型楕円銀河/NGC1156=不規則銀河/ハマル(アルファ星)/シェラタン(ベータ星)/メサルチム(ガンマ星)/ボテイン(デルタ星)
  • 神話の主な登場人物:ゼウス(ジュピター、ユピテル)/アタマス/ネペレ/プリクソス/ヘレー/イノー/ヘルメス(マーキュリー、メルクリウス)/アイエテス/アレス/イアソン
  • 日本で観測できる時期:8月〜翌年4月
  • 見ごろの季節:冬(東京では12月中旬の午後9時ごろに南中)

       おひつじ座は黄道12宮のひとつで、くじら座とアンドロメダ座の間にある小さな星座です。あまり目立たない星座でありながら、古くから重要視されたのは、2000年前に春分点のある星座だったためです。4等より明るい星は4つあり、そのうちベータ星はふたつのほぼ同じ星同士の二重星ですが、連星(各恒星が相互に引力を及ぼし合い共通重心の周りに公転運動する重星)ではなく、見かけの二重星です。

    見つけ方のポイント
     うお座の東、ペルセウス座の南側に見える星座で、2等星、3等星、4等星がひとつずつ細長い三角形を形作っているのが分かります。

    神話の内容について
     初期のギリシャ神話によれば、「大神ゼウスが、巨人族に追われて逃げたとき、姿を変えた羊である」と言われています。
     また、別のギリシャ神話では、テッサリアの王アタマスと前妻ネペレのふたりの子供、プリクソスとその妹ヘレーが継母イノーにむごくあしらわれているのを見て、ヘルメスが哀れに思い、金の毛の生えた羊をよこし、ふたりをその背に乗せてイノーの元から逃がしたとも言われています。羊は空中を飛んでいきましたが、その途中、ヘレーは運悪く羊から落ち、ヨーロッパとアジアの境界の海に溺れてしまいました。一方、金毛の羊はプリクソスを乗せて遠くまで空を飛び、無事にコルキス島に降りることができました。そして、その土地の王アイエテスに金毛の羊の革を献上しました。珍しい革を得たアイエテス王は、夜でも眠ることのない竜を番人にし、その革を軍神アレスの森にかけておいたのです。
     その後、テッサリアの王子イアソンを隊長とする探検隊が、快速船アルゴ号でこの金毛の羊を取り戻す旅に出ます。

























カシオペア座
学名:
Cassiopeia
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M52(NGC7654)=散開星団/M103(NGC581)=散開星団/シェダル(アルファ星)/カーフ(ベータ星)/ルクバー(ガンマ星)
  • 神話の主な登場人物:カシオペア/ペルセウス/ケフェウス/アンドロメダ/ネーレイデス/ポセイドン
  • 日本で観測できる時期:一年中
  • 見ごろの季節:一年中

      北極星の周囲を一年中回る「周極星」のひとつです。5つの2、3等星がW型に並び、古代から有名な星座でした。日本でも「山形星」や「いかり星」と呼ばれます。変光星が約370個もあり、星団や重星も多いため、小望遠鏡でも面白い観測対象となります。

    見つけ方のポイント
     ケフェウス座の東、ペルセウス座の南にあります。北極星を挟んで、北斗七星のほぼ反対側に目を移せば見つかります。

    神話の内容について
     カシオペアはエチオピア王ケフェウスの妻です。彼女は「我が娘アンドロメダは、海の精女ネーレイデスより美しい」と言ったため、ポセイドンの怒りをかい、王国は洪水と怪物くじらに襲われます。海神を鎮めるため、アンドロメダ姫は生け贄となりますが、ペルセウスの活躍でくじらは倒され、姫は救われたのでした。

























きょしちょう座(巨嘴鳥座)
学名:Tucana
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:小マゼラン雲(銀河)/NGC104(球状星団)
  • 神話の主な登場人物:-
  • 日本で観測できる時期:日本からはほとんど見えない
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は11月中旬)

      南米のジャングルなどに住む、くちばしの大きな鳥「巨嘴鳥(きょしちょう)」を星座になぞらえたものです。1603年にドイツ人天文学者バイエルによって作られました。この星座には、我らが銀河系のお供の銀河のひとつ「小マゼラン雲」があり、肉眼でも小さな雲に見えます。また、望遠鏡を向けると、小マゼラン雲より少し離れた場所に、大きく美しい球状星団NGC104を見ることができ、観測には楽しい星座です。

    見つけ方のポイント
     南半球で春(日本の秋)に南の空を見てみましょう。小マゼラン雲から、つる座にかけてWの字のようなくねくねとした星の並びが見つかります。それがきょしちょう座で、小マゼラン雲に近い方がきょしちょうの足、つる座に近い方がきょしちょうのくちばしに当たります。

    神話の内容について
     南アメリカなどのジャングルに住む、くちばしの大きな鳥「巨嘴鳥(きょしちょう)」を表した星座です。神話とは関係ありません。1603年に、ドイツの天文学者ヨハン・バイエルが発表した星図「ウラノメトリア」で発表された星座で、彼が作ったものとされています。

























くじゃく座(孔雀座)
学名:Pavo
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:ピーコック(アルファ星)/NGC6752(球状星団)
  • 神話の主な登場人物:-
  • 日本で観測できる時期:日本ではほとんど見えない
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は9月上旬)

      インドなどにいる美しい羽根を持つ鳥、クジャクをなぞらえた星座です。17世紀のはじめにドイツ人のバイエルによって紹介されました。ちょうどクジャクの頭に当たる場所に、一番明るい2等星の「ピーコック」があります。このピーコックは英語でクジャクの意味です。日本では沖縄や奄美大島でさえ星座の一部が見えるだけですので、南半球へ行って見た方がよいでしょう。

    見つけ方のポイント
     全体を見るためには南半球へ行く必要があります。南半球の春ごろ(日本では秋)に南の空を見てみましょう。みなみのさんかく座の頂点が指す方向(ケンタウルス座とは反対の方向)に目を移していくと、明るい2等星ピーコックが見つかります。この星がクジャクの頭にあたります。くじゃく座はこの頭から胴体、長い尾羽と「く」の字形に曲がるように星が並ぶ星座です。ただ、ピーコックの他はあまり明るい星はありません。

    2.神話の内容について
     インドなどにいる鳥のクジャクを星座になぞらえたもので、神話とは関係ありません。1603年にドイツの天文学者ヨハン・バイエルが星図「ウラノメトリア」を発表したときに星座に加えられたのが最初とされます。しかし、それ以前から船乗りたちには知られていたともいわれています。


























くじら座(鯨座)
学名:Cetus
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:メンカル(アルファ星)/デネブ・カイトス(ベータ星)/カファルジドマー(ガンマ星)/バテン・カイトス(ゼータ星)/シェマリー(イオタ星)/ミラ(赤色長周期変光星)
  • 神話の主な登場人物:ペルセウス/アンドロメダ/ポセイドン
  • 見ごろの季節:秋から初冬(12月中旬の午後8時に南中)

      うお座の南側、天の赤道付近に位置する大きな星座です。明るい星が少ないですが、2〜10等級まで変光する長周期変光星ミラなどで、有名です。腹の部分にあるタウ星は、11.9光年と近く太陽に似ているため、アメリカの宇宙人探索計画「オズマ計画」の対象に選ばれました。

    見つけ方のポイント
     おうし座の東側にあり、アルデバランから東へ目を移すと、くじらの頭部にあたる四角形が見つかります。

    神話の内容について
     海の王ポセイドンの怒りにふれ、洪水に見舞われたエチオピアを襲うくじらの化け物です。生け贄として海辺の岩に縛られたアンドロメダ姫を食おうとしますが、ペルセウスに退治されます。

























ケフェウス座
学名:
Cepheus
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:IC1396(散光星雲)/デルタ星(セファイド型変光星)/ガーネットスター(ミュー星:)
  • 神話の主な登場人物:ケフェウス/アンドロメダ/ペルセウス/カシオペア/ポセイドン
  • 日本で観測できる時期:一年中
  • 見ごろの季節:秋(10月中旬に20時正中)

      ケフェウス座は、カシオペア座の近くにあり一年中北の空を回る周極星のひとつです。北極星に向かう先のとがった五角形をしており、目立って明るい星はありませんが、見つけることは容易です。望遠鏡で見ると5角形の底辺の真ん中あたりにガーネットスターと呼ばれる非常に赤いことで有名な巨星を見ることができます。また、この星座のデルタ星は、セファイド型変光星と呼ばれ、変光する周期と明るさが一致するので、遠い星雲からの距離を測定するのに利用されます。

    見つけ方のポイント
     周極星のひとつで、りゅう座とカシオペア座にはさまれています。北極星の近くで、先端のとがった五角形を見つけてみましょう。カシオペア座が昇っていたら、W字の開いた側から北極星に向かって、やや右向きに目線を向けていくと見つけることができます。

    神話の内容について
     ケフェウスは古代エチオピア王です。彼の妻のカシオペアは、娘アンドロメダの美貌が自慢で、ある日海の妖精たちより美しいと口走ったため海神ポセイドンの怒りを買ってしまいました。次の日からエチオピアは恐ろしいクジラの化け物に襲われ、怒りを静めるためには娘アンドロメダを生け贄に差し出せとの神託が下ります。アンドロメダは海の岩に縛られ、津波とともに化け物クジラが襲ってきますが、あわやというところで通りがかった英雄ペルセウスに救われ、ペルセウスとアンドロメダは結婚し、幸福が訪れたのでした。

























けんびきょう座(顕微鏡座)
学名:Microscopium
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:―
  • 神話の主な登場人物:―
  • 日本で観測できる時期:9月〜10月の約2カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は9月下旬)

      18世紀中頃に作られた星座で、そのころ医学用に使われはじめた「顕微鏡」の形を表している、といわれます。しかし実際には、星座の形から顕微鏡を想像することは難しいでしょう。南半球の星座で、秋の南の空低く地平線すれすれに現われます。小さい星座で、しかも構成する星々が5等星以下なので、見つけるのは大変だと思われます。

    見つけ方のポイント
     秋南の空低く現われる星座です。見つけるには9月頃の南の空を眺め、やぎ座の3角形から少し南(下方向)へ目を移していくと、うつぶせになって少し形がくずれたコの字の星の並びが見つかります。それがけんびきょう座ですが、構成する星々が5等星以下と暗いので、見つけるのは難しいでしょう。

    神話の内容について
     18世紀のフランスの天文学者ラカーユが作った星座で、当時医学用に使われはじめた「顕微鏡」の形をかたどったものです。神話とは関係ありません。ラカーユは、17〜18世紀にかけて発明されポピュラーになった器具の名前を星座名として取り入れましたが、星の並びが必ずしも器具の形と合っているとはいえません。けんびきょう座もその形から顕微鏡をイメージするのは、ちょっと無理があります。

























こうま座(小馬座)
学名:Equuleus
北半球
  • 日本で観測できる時期:7月〜12月の約6カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月下旬)

      全天でも2番目に小さな星座で、秋の夜ペガスス座の西に現われます。一番明るい星でも4等星でしかも1個しかなく、暗く見つけにくい星座ですが、歴史は古くギリシャ時代から知られていました。細長い台形をした形が子馬の首を表しているとされます。ペガスス座より先に昇ってくるのでラテン語で「初めの子馬」などと呼ばれていました。

    見つけ方のポイント
     こうま座は、秋の南の空のペガスス座のそばに位置しています。ちょうど、ペガサスの首の上にもうひとつ首が乗る格好です。見つけるときは、ペガスス座の四辺形の右下から伸びる、ペガススの首の先(わし座の方向)を見てみましょう。小さく暗い台形があり、それがこうま座です。しかし暗い星座なので、見つけるのは難しいでしょう。

    神話の内容について
     古くからある星座ですが、神話についてははっきりした話は伝わっていません。 この星座の名前を付けたのは紀元前2世紀頃のギリシャの天文学者、ヒッパルコスだといわれます。ペガスス座より先に昇ってくるので、「エクウス・プリオル」、すなわち初めの子馬と呼ばれていました。

























さんかく座(三角座)
学名:Triangulum
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M33(渦巻き星雲)/カプト・トリアングリー(アルファ星)
  • 神話の主な登場人物:−
  • 日本で観測できる時期:9月〜3月の約7カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は12月中旬)

      古くからある星座で、秋の夜、天頂付近に細長い2等辺3角形を見つけることができます。形が整っているので、小さい割に見つけやすいのが特徴です。また3角形の頂点からややアンドロメダ座寄りに、渦巻き星雲M33を見ることができます。大きく明るい星雲ですので、小望遠鏡でもきれいな渦巻きを見ることができるでしょう。

    見つけ方のポイント
     秋の頃、天頂付近からやや東寄りの空、アンドロメダ座のちょうど腰の脇あたりに、3個の星が小さく細長い3角形を作っているのが見つかります。それがさんかく座です。小さく、さほど明るくもない星座ですが、形がまとまっているのでよく目立ちます。見つけやすいでしょう。

    神話の内容について
     神話とは関係なく、そのものずばり三角定規を表した星座です。しかし、歴史は古く紀元前1200年頃の古代ギリシャ、ヒッパルコスの時代には知られていました。ギリシャ文字のΔ(デルタ)に似ているため、「デルトトン」と呼ばれたこともあります。

























ちょうこくしつ座(彫刻室座)
学名:Sculptor
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:NGC253(渦巻き星雲)/NGC288(球状星団)
  • 神話の主な登場人物:―
  • 日本で観測できる時期:10月〜1月の約4カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は11月下旬)

      ちょっと変わった名前ですが、彫刻をするためのアトリエである「彫刻室」と名づけられた星座です。実際にはとがった四角形のような形をしていて、星座から彫刻室を想像するのはほとんど不可能でしょう。くじら座の南にありますが、4等星と5等星でできているので暗くて見つけにくいと思います。ただ、望遠鏡での観測ではくじら座との境に、球状星団NGC288や渦巻き星雲NGC253を観測することができます。

    見つけ方のポイント
     秋の終わりの南の空に昇る星座です。みなみのうお座の1等星フォーマルハウトのすぐ東を見ると、4角形の一辺に3角形を足したような、とがった4角の形をした星の集まりが見つかります。それがちょうこくしつ座です。ただし、4等星、5等星が多い暗い星座ですので見つけにくいでしょう。

    神話の内容について
     18世紀にフランスの天文学者ラカーユによって作られた星座で、神話とは関係ありません。彫刻をする部屋、「彫刻室」と名づけられました。星図では、三脚の台の上に胸像が乗っており、ノミなどの彫刻用具がその周りに置かれていますが、星座の形とはあまり関係がありません。名づけられた当初は「彫刻家のアトリエ」とされていました。

























つる座(鶴座)
学名:Grus
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:アル・ナイル(アルファ星)/アル・ダナブ(ガンマ星)
  • 神話の主な登場人物:−
  • 日本で観測できる時期:10月〜11月の約2カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月下旬)

      鳥の「鶴」を表した星座です。南の星座で、日本では10月頃に南の空低く、星座の一部が地平線上に現われます。2等星が2個、3等星が1個あり、明るい星座なのですが、九州より北では地平線すれすれにしか見えないので、きれいに見るためには沖縄などに行ったほうが良いでしょう。

    見つけ方のポイント
     つる座は、10月の夜9時頃に、南の空低くに見えます。見つけるときは、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトから、ずっと南(下)の方へ目を移してみましょう。2等星を交点においた、ちょっと曲がった十字が見つかります。それがつる座です。南半球では見つかりやすい星座ですが、日本では地平線すれすれに半分しか姿を現さないので、見つけにくいでしょう。

    神話の内容について
     神話とは関係がなく、鳥の鶴を模したものです。 1603年に、ドイツの天文学者ヨハン・バイエルが発表した星図に描かれたのが最初だといわれています。しかし、バイエルより1世紀ほど前に、オランダの船乗りテオドルスが紹介したのが最初だという説もあります。 また、この星座とは直接関係ありませんが、古代エジプトでは鶴は天文学者のシンボルだったそうです。

























とかげ座(蜥蜴座)
学名:Lacerta
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:―
  • 神話の主な登場人物:―
  • 日本で観測できる時期:7月〜2月の約8カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月下旬)

      秋の北の空に昇る星座で、ケフェウス座の東に位置する小さな星座です。17世紀末にヘヴェリウスという学者が作った星座で、は虫類のとかげをかたどっています。4等星以下の暗い星座ですが、星の並びがジグザグで分かりやすく、比較的見つけやすい星座だといえます。

    見つけ方のポイント
     秋の北の空に現われる星座です。ケフェウス座の五角形の底辺を、ペガスス座の秋の大四辺形の方に伸ばすと、その途中に8個の星がジグザグに並んでいるのが見つかります。それがとかげ座で、明るい星はないものの、形に特徴があるので、比較的見つけやすいと思います。

    神話の内容について
     1690年にに、ポーランドの天文学者ヨハンネス・ヘヴェリウスが創設した星座のひとつです。最初ヘヴェリウスは、「いもり座」と呼んでいました。

























はちぶんぎ座(八分儀座)
学名:Octans
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:-
  • 神話の主な登場人物:-
  • 日本で観測できる時期:日本では見ることができません
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月上旬)

      星と星の間の角距離を測る器具「八分儀」をなぞらえた星座です。18世紀半ばにフランスの天文学者ラカーユによって作られました。はちぶんぎ座には、天の南極があることで有名です。天の南極は星空の南の中心点で、そこを中心に星々が天をめぐります。ただ、天の北極には中心となる北極星がありますが、天の南極にはそれらしい星がありません。星座自体も暗いので、ちょっと淋しいのが残念です。

    見つけ方のポイント
     よく見るためには南半球へ行った方が良いでしょう。天の南極にあるので、一年中見ることができます。南の空を見るとケンタウルス座の2個の1等星と、小マゼラン雲の間あたりに、3角形の星の並びが見つかります。それがはちぶんぎ座ですが、暗い星ばかりなので見つけるのは難しいかもしれません。

    神話の内容について
     はちぶんぎ(八分儀)とは、星と星の間の角距離(空の星と星の間の距離を角度で表したもの)を測る昔の測定器具です。神話とは関係ありません。 はちぶんぎ座は、18世紀半ばにイギリスのJ・ハドレーが発明した、反射鏡を使う新しい八分儀を記念して、1752年にフランスの天文学者ラカーユが設けた星座です。

























ペガスス座
学名:Pegasus
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M15(球状星団)/マルカブ(アルファ星)/シェアト(ベータ星)/アルゲニブ(ガンマ星)/エニフ(エプシロン星)/バーハム(シータ星)
  • 神話の主な登場人物:ペルセウス/ダナエ/メデューサ/アンドロメダ/ペガスス
  • 日本で観測できる時期:7月〜2月の約8カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月下旬)

      ペガスス座は天馬ペガサスの前半身をかたどった星座で、秋を代表する星座のひとつです。特に、アンドロメダ座の星と一緒に作る「秋の大四辺形」はよく目立ち、秋の星座を探す良い目印となります。四辺形の各辺や対角線をあちこちに伸ばしてみましょう。みなみのうお座のフォーマルハウトや、はくちょう座のデネブ、うお座、おひつじ座が次々に見つかります。また、望遠鏡で見ると、球状星団M15を見ることができます。

    見つけ方のポイント
     ペガスス座は秋に天高く昇る星座で、見つけるには、2等星2個と3等星1個、それにアンドロメダ座の1星で作る「秋の大四辺形」を探すとよいでしょう。見つけるときは、北の空にあるカシオペア座から東向き(北極星の反対側)に目を移していくと、四辺形が見つかるでしょう。四辺形はペガススの胴体を表し、四辺形から首と2本の前足が伸びています。

    神話の内容について
     ペガススは羽根を持った白い馬で、空を自由に駆けることができる天馬です。 ギリシャのアルゴス王国の国王は、娘ダナエの子供に殺されるだろうという神の預言を受けます。恐れた王はダナエを塔に閉じ込めますが、彼女は大神ゼウスの子を身ごもります。その子がペルセウスです。王は母子を海に流しますが、2人は島にたどりつきました。しかしその島を治める王から、ペルセウスはメデューサの首をとってくるように命じられます。メデューサは髪の毛が蛇で、その顔を見たものは石になってしまうという怪物です。ペルセウスはメデューサを直接見なくても済むよう、鏡のように磨いた楯を持って近づき、昼寝をしていたメデューサの首をはねました。そのとき、メデューサの首から流れた血の中から生まれたのが天馬ペガススです。ペルセウスはペガススに乗ってアンドロメダ姫を助けるなど数々の冒険をし、やがてエチオピア王となりました。

























ペルセウス座
学名:Perseus
北半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M30(二重星団)/ミルファク(アルファ星)/アルゴル(脈動型変光星)/ペルセウス座IIIアソシエーション/カリフォルニア星雲
  • 神話の主な登場人物:ダナエ/ペルセウス/ゼウス/メデューサ/ペガサス/アンドロメダ/マルドゥク
  • 日本で観測できる時期:7月中旬〜3月の約8カ月間
  • 見ごろの季節:冬(1月上旬に20時正中)

      天の北東、カシオペア座の下のほうにある「人」の字のような形の星座です。ペルセウスはギリシャ神話の英雄で、古代バビロニア時代には最高神マルドゥクの姿として崇められていました。ペルセウス座の付近は、カシオペア座との境界に2重星団などがあるので、望遠鏡でも楽しめます。また、8月頃にはこの星座の方向から数多くの流星が出現する「ペルセウス座流星群」でも有名です。

    見つけ方のポイント
     W字型をしたカシオペア座の下方に並ぶ「人」の字型の星座です。弓なりの縦棒に横向きの棒が2本繋がった姿は、横向きにするとギリシャ文字のパイに似ています。カシオペア座と、おうし座のプレアデス星団を結んだちょうど真ん中あたりにあります。

    神話の内容について
     ギリシャの一地方アルゴスの国王は、一人娘ダナエの子によって殺されるとの神託を受けます。驚いた王は塔に娘を幽閉しますが、ダナエは大神ゼウスに見初められペルセウスを産んでしまいました。親子は島へと流されますが、成長してからのペルセウスは、島の王の命令で、髪の毛がヘビで、睨んだものをすべて石に変えるメデューサという怪物の首を切り倒して退治します。メデューサの首からは翼の生えた天馬ペガサスが生まれ、ペルセウスは意気揚々とペガサスに乗って島へと帰ります。その帰途、海辺の岩に繋がれた王女アンドロメダを襲う化け物クジラをメデューサの首を使って退治し、島に帰った2人は結婚して末永く幸せに暮らしました。
     また、古代バビロニア時代には、最高神マルドゥクの姿として崇め奉られていました。

























ほうおう座(鳳凰座)
学名:Phoenix
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:ナイル・アル・ザウラク(アルファ星)
  • 神話の主な登場人物:-
  • 日本で観測できる時期:10月〜1月の約4カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は12月上旬)

      西洋では500年に一度炎の中に飛び込んで一度死んで復活する不死鳥「フェニックス」と呼ばれています。また日本では、中国神話にもとづき、聖人が国をきちんと治めているときに現われるめでたい鳥「ほうおう」と呼ばれる星座です。星座自体は17世紀のはじめ、ドイツの天文学者バイエルによって設けられました。残念ながら、日本では南の空の地平線すれすれにしか昇らないので、見るのは難しいでしょう。

    見つけ方のポイント
     よく見たい場合は日本より南の土地へ行くのがよいでしょう。南の土地なら、秋(南半球なら春)の南の空で、エリダヌス座の1等星アケルナーを見つけ、アケルナーから少し北の方向、くじら座の方へ目を移していくと3等星と4等星で作るひし形が見つかります。それがほうおう座で、ひし形の一角からはさらにL字形に星が並びます。

    神話の内容について
     1603年にドイツの天文学者ヨハン・バイエルによって発表された星図「ウラノメトリア」で描かれたのが最初だといわれます。 ほうおう座は欧米では「フェニックス(PHOENIX)」、つまり「不死鳥」と呼ばれています。不死鳥は火の鳥とも呼ばれるエジプトの神話的な鳥で、500年生きた後自分から祭壇の火の中に飛び込んで死に、またよみがえると言われます。エジプトではこの鳥を不死の象徴としていました。 また、日本のほうおうは「鳳凰」と書き、中国神話に出てくる鳥を表しています。中国では聖人が正しく政治を行っていれば現われる霊鳥とされていました。

























みずがめ座(水瓶座)
学名Aquarius
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M2(NGC7089)/M72(NGC6981)/M73(NGC6994)/NGC7009(土星状星雲)/NGC7293(らせん星雲)/サダルメルク(アルファ星)/サダルスード(ベータ星)/サダクビア(ガンマ星)/スカト(デルタ星)/アル・バリ(エプシロン星)/ゼータ星/アンカ(シータ星)/ラムダ星
  • 神話の主な登場人物:ガニュメーデス/ゼウス
  • 日本で観測できる時期:5月〜1月の約9カ月間
  • 見ごろの季節:秋

      みずがめ座は、古くから黄道上に位置するシュメール時代につくられた星座です。バビロニア人たちは、この星座に最初は水がめから水を流している男性の姿を見ていたようです。しかし、星の形からこの姿を想像することはむずかしく、みずがめ座の成立には太陽がこのあたりを通過するとき、メソポタニア地方が雨期を迎えたことと関係があると考えられています。付近の水に関連する諸星座はみずがめ座の支配下にあるとされてきました。

    見つけ方のポイント
     4等星、5等星の暗い星によって構成されているので、探しにくい星座です。ペガサス座の頭近く、三ツ矢の形にならんでいるのが水がめをあらわしています。その水がめから南のうお座の1等星フォーマルハウトまで、二列の曲線を描いて点々と連なっている暗い星が水の流れです。三ツ矢の中心の星は、ほぼ天の赤道上にあります。みずがめ座を構成する土星状星雲と呼ばれているNGC7009や、惑星状星雲で最も大きく最も地球に近いところにあるNGC7293も有名です。

    神話の内容について
     神々の住むオリンポス神殿では、酒宴のとき、大神ゼウスと妃ヘーラの娘へーべがお酌をつとめていました。しかし、ヘーベがヘラクレスの妻となったので、その代役を探さなくてはならなくなりました。そんなある日、天上から下界を眺めていたゼウスは、トロイの王子ガニュメーデスを見つけ、ひと目で気にいってしまいました。ゼウスは、わしに姿を変えると、ガニュメーデスをつかんでオリンポスまで連れてきて、酒宴の席にはべらせました。その報酬として永遠の若さと美しさを与えられたガニュメーデスは光栄に思いましたが、自分がいなくなって嘆き悲しんでいる両親のことが心配でした。そのことを知ったゼウスは、ガニュメーデスの姿を星座にして空にあげ、彼の両親の悲しみを和らげようとしました。その星座がみずがめ座です。また、わし座のわしは、このときのゼウスの姿であるともいわれています。

























みなみのうお座(南の魚座)
学名:Piscis Austrinus
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:フォーマルハウト(アルファ星)
  • 神話の主な登場人物:トロヤ王/ガニメデ/ゼウス
  • 日本で観測できる時期:6月〜11月中旬の約6カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は10月下旬)

      みなみのうお座は、明るく目立つ星が少ない秋の南の空に、ただひとつ輝く一等星フォーマルハウトを持つ星座です。星座の形は隣あうみずがめ座からこぼれた水流と魚の姿をあらわし、フォーマルハウトは魚の口あたりに位置しています。うお座とどことなく似て小ぶりなため、うお座になぞらえられたのかもしれません。

    見つけ方のポイント
     やぎ座のすぐ東隣りにあり、明るい星の少ない秋の南天に、唯一の1等星フォーマルハウトが見つかります。逆三角形をした山羊座の西隣にある長い星座で、魚の形をした主部からジグザグの星の連なり(水流)が、みずがめ座の「三ツ矢」と呼ばれる星群にまで伸びています。フォーマルハウトはちょうど魚の口にあたります。

    神話の内容について
     ギリシャ神話では、みなみのうお座は、トロヤの少年ガニメデがかついだ水瓶の口から逃げた魚だと言われています。トロヤ王の息子ガニメデは、羊の番をしているときに大神ゼウスに美少年ぶりを見初められ、鷲に変じたゼウスにオリンポスの山々へ連れ去られました。その時持っていた水瓶からこぼれた魚が天に昇り、みなみのうお座になったということです。

























みなみのさんかく座(南三角座)
学名:Triangulum Australe
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:―
  • 神話の主な登場人物:―
  • 日本で観測できる時期:日本からは見えない
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は7月中旬)

      天の南極付近にある星座で、1個の2等星と2個の3等星が2等辺3角形を作っています。目立つ星座ですが、残念ながら日本では見えません。この星座が一般に知られるようになったのは、天文学者バイエルが17世紀のはじめに発表した星図に載せてからですが、南洋航海をする船乗りたちの間ではもっと昔から知られていたといわれています。

    見つけ方のポイント
     さそり座からずっと南へ目を移していくと、鼓のような形をしたさいだん座が見え、さらにその南、天の南極近くに、きれいな2等辺3角形が見つかります。目立つ星座ですので、南の土地へ行けば簡単に見つかるでしょう。

    神話の内容について
     南洋航海をする船乗りたちには古くから知られていた星座です。名前の由来はその名前の通り「南にある三角」で、神話とは関係ありません。16世紀にオランダの船乗りのテオドルスが紹介したといわれますが、1603年にドイツの天文学者バイエルが発表した星図「ウラノメトリア」に掲載され、一般にも知られるようになりました。

























やぎ座(山羊座)
学名Capricornus
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:M30(NGC7099)/アルゲディ(アルファ星)/ダビー(ベータ星)/ナシラ(ガンマ星)/デネブ・アルゲディ(デルタ星)/ゼータ星
  • 神話の主な登場人物:パーン/テュフォン/ゼウス
  • 日本で観測できる時期:4月〜12月の約9カ月間
  • 見ごろの季節:秋

      やぎ座は、シュメール時代につくられた古い星座です。当時、冬至点がこの星座にあって、北半球から見た太陽の動きが、岩山などをよじ登る「やぎ」を連想させたのだろうと考えられています。やぎ座は、上半分がやぎで下半分が魚の姿をした「海山羊」です。紀元前1150年ごろにカッシート人がつくった石碑にこの海山羊の姿が刻まれています。

    見つけ方のポイント
     射手座のすぐ東隣りにあり、秋の星座グループではまっ先に姿を見せます。秋の夜空で唯一の1等星フォールマルハウト(みなみのうお座)と、射手座の南斗六星の、ほぼ中間にある逆三角形の大きな星座です。3等星を2個ふくむあまり明るくない星座ですが、星の並びはすぐにわかります。角の部分にあたるアルファ星は、肉眼でも二重星であることがわかります。また、ベータ星も、色の対比が美しい二重星であることが望遠鏡で確認できます。

    神話の内容について
     ギリシャ神話に牧羊神パーンが海山羊の姿をした山羊座になる話がありますが、やぎ座がつくられたのはギリシャ神話成立よりも古く、やぎの尾が魚になったのを無理やりに説明した話とされています。パーンは、上半分が人間、下半分がやぎの姿で、頭にはやぎの角があり顔は髭でおおわれた陽気な神です。ある日、神々がナイル川のほとりで宴会を開いていたところ、100の竜の頭をもつテュフォンという怪物が乱入しました。その姿に恐れをなした神々は先を争って逃げ出しました。宴会に参加していたパーンも、ナイル川に飛び込み、魚に変身して逃げようとしたのですが、あまりにもあわてたので、下半分は魚に変身できたものの上半分がやぎになってしまいました。この姿が非常におもしろかったので神々は大喜びし、大神ゼウスが記念に星座の形として伝えたのだそうです。

























ろ座
学名:fornax
南半球
  • 構成する主な星雲、星団、恒星:NGC1316(渦巻き銀河)/ろ座銀河群/ろ座星系 (球状銀河)
  • 日本で観測できる時期:11〜2月までの4カ月間
  • 見ごろの季節:秋(20時正中は1月中旬)

      エリダヌス座に囲まれるように位置する星座で,化学実験用の炉をかたどっています。18世紀のフランスの天文学者ラカーユによって作られたもので、彼の星座図には上にガラスの実験器具を乗せ、赤々と火が燃えるレンガ作りの炉が描かれています。ただしこの星座は、一番明るい星でも4等星で、しかも形がはっきりしないので、肉眼観察向きではありません。しかし星座の南東部には、NGC1316をはじめとするたくさんの銀河系が集まる「ろ座銀河群」をもち、中央部には、楕円形銀河「ろ座星系」があるため、天文学者の観測対象向きとは言えるでしょう。「ろ座星系」は、私たちの銀河系を含む「局部銀河群」の一員で、約75万光年の距離にあります。

    見つけ方のポイント
       秋の空の地平線すれすれに昇る星座です。くじら座の南にありますので、くじら座の前足のあたりから下(南方向)を見ていくと、横(東西)に伸びるジグザグの星の並びが見つかります。それがろ座ですが、暗い星座である上に形がはっきりしないので、見分けることは難しいでしょう。

    神話の内容について
       18世紀のフランスの天文学者N・L・ラカーユ(1713〜62年)が、1750年代に作った星座です。彼の発表した南天星図の中に書かれたもので、火をおこして金物を作ったり薬品を煮たりする「炉」をかたどったものだと言われています。神話とはまったく関係ありません。ラカーユは、アフリカ大陸の南端、現在の南アフリカ共和国のケープタウンに住み、南天の星の研究を行いました。




















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