韓国経済の破綻とIMF

 11月21日、韓国政府は「為替市場での困難を解消し金融の安定化を図るため」として、国際通貨基金(IMF)に200億ドルの緊急支援を要請しました。外貨の決済に行き詰まった国家が経済の破産宣言をしてIMFに救済を申請し、その管理下に入ったわけです。

 IMFとの間で行われた金融支援に伴う付帯条件の協議は、12月3日にようやく合意に達しましたが、成長率の上限を設定されるなど、韓国政府にとって経済主権の剥奪を意味する極めて屈辱的なものとなりました。

 韓国経済が破綻に至った根本的な原因は何なのか、そしてIMFの支援を受けその管理下に入ることはどのような状況を意味するのか、以下に考察してみたいと思います。

1.経済破綻の原因

2.財閥経営の実態

3.IMFの実体と米・日の思惑

4.経済再建の道は?


1.経済破綻の原因

 今年の1月、韓宝グループが倒産したのを始め、三美(鉄鋼)、大農(食品)、真露(酒造)、起亜(自動車)、サンバンウル(衣料)、テイル(精密機器)と多様な業種にわたって大企業が、事実上の倒産状態(巨額の不渡りを出したが、銀行が一定の期間不渡りの処理を猶予している状態)に陥りました。今年度10月までに倒産状態に陥った上場企業だけでも28社に達し、これは93年からの4年間に発生した件数(26件)を上回るものです。全企業を対象にした調査では、10月の倒産企業は1435、1日に57の会社(営業日数を基準)が倒れています。

 韓国の巨大企業は典型的な財閥企業であり、その経営体制は多くの問題点を含んでいます。所有と経営の分離が行われておらず、財閥オーナーを中心とする一族が経営の実験を掌握しています。

 彼らは政権当局に巨額の献金を行うことで特恵的な融資を受け、「タコ足経営」と呼ばれる多角経営であらゆる分野に進出しては中小企業の育成を阻害してきました。そして、技術開発をおろそかにしてきたことから国際競争力が低下し、営業実績は悪化するばかりです。にも拘わらず多額の資金を借り入れては企業の拡大を続け、あるいは不動産投機に没頭していたのです(95年からの2年間で上位30企業が首都圏に保有する土地が312万坪も増加)。挙げ句の果ては返済に窮し、巨額の不渡りを出して倒産するコースをたどっています。

 上述した倒産企業のなかで、起亜は第6位、真露は第19位にランクされる財閥グループです。本業ではそれなりの実績を上げていたのを、銀行から巨額の融資を受け、特殊鋼や流通業といった専門外の業種にまで経営を拡大していったことが、グループ解体を引き起こす原因となりました。

 財閥企業に対し、金融機関が厳しいチェックを行っていないことも大きな問題です。しかし、韓国の経済において銀行は充分な監査権限を与えられておらず、「官治金融」と呼ばれるように韓国銀行(中央銀行)を始めとする各銀行は、人事などあらゆる面で政府の統制を受け、独立性が保障されていません。

 典型的な例が10月16日に不渡り猶予協約の適用を受け、事実上の倒産状態に陥ったテイル精密のケースです。この企業は昨年1年間に、ノン・バンクの金融会社を始め専門外の業種を9社も買収しています。取引き銀行は当然、こうした無分別な買収に歯止めをかけるべきだったのですが、テイル精密には現政権の高位層と深いパイプがあったので、各銀行は一枚の支給保証書だけを根拠に巨額の融資を行ったそうです(10月18日付『東亜日報』)。

 経営の悪化した財閥企業を整理せずに放置したことは、必然的に金融機関の深刻な経営悪化となって表れました。11月24日付『ビジネス・ウィーク』誌は、倒産、あるいは法定管理を申請している7つの財閥企業に銀行が貸与した融資額が520億ドルにも達し、これは貸与資金全体の17%を占めると報道しています。日本やアメリカでも「金融危機」が懸念されていますが、それでも銀行の不良貸与比率が3%を超えることはなかったと言いますから、韓国の金融危機状況がいかに深刻なのか推測して余りあるでしょう。

 政府、金融機関、財閥企業が一体となって行ってきた散漫な経済運営に危機感を抱いた投機性の外国資本は、焦げ付きを恐れて次々と撤収を始めました。特に7月中旬、基幹産業ともいえる起亜グループが倒産した局面で、韓国政府は銀行を通じて特別融資をすることも、あるいは、企業を第三者に引き渡して再建させることもせず、右往左往するばかりで100日間にわたって何等の対策を立てることができませんでした。韓国に進出している某国の金融関係者は、この時に受けた印象をこう語っています。

 「韓国政府には危機を認識する能力も、問題を解決する能力も皆無であると思われた。口では市場経済を言うものの、実質的には官僚による経済支配を続けようとするのだ。こうした構造が存続する限り、韓国経済に未来はないと判断した。」

 韓国の外債は9月末で1,200億ドル。そのうち満期が1年以内の短期債務が、660億ドル(55%)を占めています。こうした短期債務の「取り付けラッシュ」によって、韓国の外貨保有高は200億ドルを割る水準(これも帳簿上の額であり、実際に確保している外貨はかなり下回る)にまで至り、遂に11月21日、緊急支援としてIMFに200億ドルを要請したわけです。

 総合株価が 374.26 と 10 年ぶりの最安値 97/12/03

2.財閥経営の実態

 今年7月、韓国銀行が発表した財閥企業の経営実績を見ると、「財閥」という名にそぐわない極めて劣悪な経営実績しか挙げていないことがわかります。

 企業の営業実績(収益性)は、売り上げ総額に対していくらの経常利益があったかという比率で評価されます。韓国の上位49財閥グループの経常利益率は、昨年度に0.2%でした。これは1,000ウォンの品物を売ったときに、わずか2ウォンの利益しか残らないという数字です。他の表現を使えば、1,000台のテレビを売っても利益分は2台に過ぎないのです。昨年度に韓国の全企業を対象にして算出した経常利益率、1.0%の5分の1にしかならない水準です。

 政府や金融機関から特別な保護や優遇を受けていない一般企業に比べて、財閥企業の収益性がこれ程までに低いのはなぜでしょうか。それは、上述したような過度の銀行融資に依存する負債経営に原因があるのです。

 昨年末現在で、上位49企業の負債は自己資本平均値の397.2%、つまり4倍にもなります。金融費用のかからない自己資本に対し、高い金利を支払う外部資本(負債)が4倍にもなるために、財閥企業は営業利益の他に金融費用や、外換差損(為替変動による差額)といった営業外収支のマイナスを考慮しなければなりません。

 昨年度、上位49企業の営業利益率は5.1%でしたが、営業外利益率が−4.9%であり、トータルすると経常利益率が+0.2%になるわけです。財閥企業はおしなべて自己資本が脆弱であり、外部からの融資に依存せざるを得ません。こうした財務構造の根本的な弱点のために、財閥はグループ内の一部企業が不渡りを出したり倒産すると、いとも簡単にグループ全体の崩壊へと進んでしまいます。

 ところが、こうした財務構造の脆弱性は、一年間の営業決算(短期純益)がここ数年間で赤字となっていることから、改善されるどころか更に悪化しているのです。

 短期純益の赤字は経常利益率をマイナスに落とす要因となり、ひいては負債の返済はおろか、自己資本を更に浸食することになります。ここ数年、短期純益に赤字を出すグループが増大しています。昨年には、上位30大企業のうち14企業が赤字決算でした。14企業の赤字総額は1兆3.884億ウォンで、これは残り16企業の総純益(黒字)額、1兆7,374億ウォンの80%に該当する規模です。

 深刻なのは、この収支決算を上位51企業(倒産した韓宝と建栄を含め)にまで拡大すると、赤字総額が黒字総額を上回るという事実です。ところで、昨年の1年間に上位30企業には約340兆ウォンという巨額が投資されました。上述したように、これら財閥企業の年間収益は1兆7,374億−1兆3,884億=3,490億ウォンです。3,490億340兆=0.001。これは、1、000ウォンを投資してわずか1ウォンの利益を上げたという最悪の資本効率を表しています。昨年の市中金利は11.9%でした。1,000ウォンの投資は、少なくとも119ウォンの利益を挙げないことには「商売にならない」計算なのです。

 上位51企業に対象を拡大すると、これすらマイナスの数字となるわけですから、昨年上位51の財閥企業に投資された360兆ウォンという天文学的な資本金は、1ウォンの利益も挙げず、損失だけをもたらしたということになります。

 360兆ウォン(1ドル1,000ウォンで換算しても3,600億ドル)。“ドブに捨てる”には余りにも巨大な額です。

3.IMFの実体と米・日の思惑

 ‘IMFは、貧しい者たちの食べ物を残らず持ち去る借金取り’。これは『インサージ』というロック・グループが、インターネットのホーム・ページで紹介した「私たちはなぜ憤怒するのか」という歌の一節です。

 9月23日、香港でIMFと世界銀行の年次総会が開催された際、これに反対するデモを計画していた市民団体も、「IMFは東南アジア諸国に融資をするが、不当な前提条件を要求する。結局はこの地域の貧困を深化させるだけだ」と述べています(9月22日付『東亜日報』)。

IMFは、経済的に苦しい国を援助するための慈善団体ではありません。IMFは元来、ドル中心の世界経済秩序を維持する目的で、アメリカが主導して創設した機構です。IMFの活動はアメリカの影響下にあり、アメリカの利益が貫徹されるように行われてきました。

IMFの会員国(181ヶ国)は株式会社と同じように資本金(クォーター)を供出し、その額によって株主権(投票権)を行使します。IMFの総クォーターは1,976億ドルであり、米・日・独・英・仏の上位5ヶ国が40%近くを占めています。アメリカの持ち分は18.25%、日本とドイツはそれに次いで各々5.67%の持ち分です。

 そして、IMF理事会の議事決定事項のうち、持ち分や協定の変更などの重要事項に関しては、総持ち分の85%以上の賛成が必要となっています。つまりアメリカは、IMF理事国のなかで拒否権を行使できる唯一の立場にあり、事実上IMFを支配している国家と言えるのです。ちなみに、韓国の持ち分は0.55%であり、これはポーランド(0.68%)やリビア(0.56%)よりも低い水準でしかありません。

 今回、韓国政府とIMF間における融資条件の協議に際しても、アメリカが背後で絶対的な権限を駆使していることを国民は思い知らされました。

 12月2日午前8時半から、大統領官邸では金泳三大統領の主宰で非常国務会議を招集し、IMFとの合意内容を承認することになっていました。ところが、直前(8時20分ごろ)になって「待った」がかかりました。林昌烈・経済担当副総理がカムドシュ・IMF総裁に国際電話をかけて、実務レベルでの合意案に対する「最終裁可」を得ようとしたところ、金融市場の開放幅の更なる拡大など新たな条件を要求されたのです。国務会議は急きょ延期され、金大統領はじめ閣僚たちはすごすごと退散するしかありませんでした(12月3日付『東亜日報』)。

 国務会議を延期させた強力な指示は、実はクアラルンプールから発信されていました。現地で開催中のアセアン諸国+6ヶ国の財務長官会議に参席していたガイスナー・米財務次官補が、IMF理事会と頻繁に通話しながら、韓国政府に更なる譲歩を強いるように要求していたのです。日本政府もまた、経済官僚をソウルに派遣してIMFの交渉に介入し、100億ドルの融資をエサに日本製品の輸入制限を撤廃するよう圧力を加えていました。

 アメリカ政府との協議内容を携えたカムドシュ総裁は、翌12月3日に訪韓しました。韓国政府との最終交渉に臨んだ彼は、大統領選挙に立候補している3人の主要候補(李会昌、金大中、李仁済)に対して、当選すればIMFとの合意内容を遵守する旨の覚書に署名するよう要求し、それを貫徹しました。

 当日の夜8時頃、合意文発表の記者会見が行われましたが、カムドシュ総裁は記者たちの質問には応じないという一方的な条件を付け、数分後には退場して東京へ向け慌ただしく出国しました。

 IMFとの合意内容は次のようになっています。

1.外国人による株式投資限度を現行の26%から年内に50%、来年(1998年)には55%まで拡大。
2.外国人による国内金融機関の合併・買収を認める。
3.金融改革法案(韓国銀行の独立性保障と統合監督機関の設立が骨子)の年内処理。
4.短期債券市場の早期開放。
5.税収の拡大と支出の削減による財政黒字の達成。
6.輸入先多角制度(日本製品を対象にした輸入制限:1999年末に撤廃予定)を、来年早期に撤廃する。
7.来年度の経済成長率をGDP(国内総生産)の3%とする。
8.98、99年の物価上昇率を5%以内に、経常収支赤字はGDPの10%(約50億ドル)以内とする。

 上記の条件を付けてIMFは210億ドルの直接支援を約束しました。その他に世界銀行100億ドル、アジア開発銀行40億ドルの融資、日米など7ヶ国による220億ドル(日本は100億ドル)の支援ワクが設定されました。総額570億ドルに及ぶ支援は、94年メキシコへの支援額(500億ドル)を上回る史上最大の規模です。

 このほかにも、貿易関連の補助金と輸入制限措置を廃止したことは、上記項目の1.2.4.6.と相まって、外国資本(特に金融資本)に国内市場を全面開放したのに等しいものと言えます。

 これらの措置によって短期的には外資の流入効果を期待できるでしょうが、短期の金利差益を狙った投機性のホットマネーが大量に流出入することで、国内の金融市場は大混乱に陥る恐れもあります。

 また、IMFの管理下に置かれることは、経済的な信託統治に他ならないとの指摘もあります。しかし、その影響力は決して経済にのみとどまるものではなく、政治・文化的な領域にまで及ぶと見なければなりません。

 国家の予算と租税に関する問題は、重要な政治行為と言えます。税金をいくら集め、それをどのように使うのか、政府ではなくIMFに実質上の決定権があるとしたら、国民福祉のために使うべき税収を借金の返済に充てるように指示されても、それを拒否することはできないのです。

 あるいは、次期政権の下で南北関係が好転し、大規模な対北支援が必要とされる状況になったとしても、韓国政府の独自的な判断では実行できないのです。統一問題すらIMFの干渉を受けざるを得ないことに、嘆きを越えて限りない怒りを覚えます。これはもう、政治的主権の放棄とも言うべき状況です。

 そして、輸入制限措置の廃止により、世界市場を制圧しているアメリカの文化産業が何の規制も受けることなく押し寄せてくるでしょう。基盤の弱い国内の映像部門は、ほとんどハリウッドに従属するしかないだろうし、これまでは遮断してきた日本の映画、テレビ番組、アニメなどが一挙に入り込んでくれば、植民地支配の過去清算も不充分な状態で、極めて好ましからぬ影響を及ぼすものと思われます。

(写真はIMFとの合意文書に署名する林・副総理(中)と李・韓銀総裁(右))

4.経済再建の道は?

−財閥経営体制の解体−

 今日の経済破綻は、主に財閥企業の返済能力を超えた借り入れと、それによる金融機関の経営悪化が原因であったと言えます。財閥体制の解体はあまりにも当然の、そして最優先されるべき処方です。

ところが、目前に迫った大統領選挙で、李会昌・金大中・李仁済の3候補は誰一人、財閥の解体を主張していません。唯一、権永吉候補が財閥体制の解体と経済の民主化を公約に掲げているだけです。そして、皮肉なことにIMFのカムドシュ総裁が12月1日、スペインの『エル・ファイス』誌との会見で「韓国の金融危機を解消するには財閥の解体が必要である」と述べているのです。

韓国政府もIMFの要求を入れ、短期的に財閥の借り入れ超過を是正し、長期的には財閥経営体制の解体を推進すると決定しました。しかし、IMFと合意した具体的な財閥解体方案は「技術的履行文書(Technical Note)」に収録し、一般には公表しない方針だと言います(12月3日付『東亜日報』)。

警戒すべきなのは、IMFがあたかも金融危機を治療する“名医”であるかのように美化する傾向です。IMFの出した処方箋は「金融改革」に名を借りた「金融市場の開放」であり、両者は明確に区分されるべきです。

96年に経済開発機構(OECD)に加入した際、韓国政府はアメリカの要求する金融分野での規制緩和を既に受け入れています。今回の金融危機も、為替市場の一次開放によって外国銀行がウォン投機に乗り出したことが引き金になりました。状況の変化に十分な対応を仕切れていない韓国政府と国内の金融機関が、IMFの要求する金融市場の全面開放にさらされた場合、危機は更に深化する恐れがあるのです。

−労働者へのしわ寄せ−

 IMFとの協議で韓国政府は、整理解雇制、勤労者派遣制などの早期導入を図り、企業の構造調整(リストラ)を助長する方針を確認しました。

 また、財界も経済破綻による危機感が国民の間に蔓延している状況を巧みに利用しています。全国経済人連合会が「経済再建のためには勤労基準法の廃止が必要」と主張し、韓国経営者総協会も「整理解雇の猶予期間短縮と条件の緩和」を要求しているのです。

 しかし、IMFの要求するように来年度の経済成長率を3%以下に抑えるなら、約120万名の失業者が発生するものと予測されます(12月2日付『ハンギョレ新聞』)。

 また、全体の賃金労働者のなかで、契約期間が1年未満の臨時職と、1カ月未満の日雇い職を合わせた割合が、今年の3/4半期には47.2%にも達しています。既に充分すぎるくらい、韓国労働者の雇用状況は不安定なのです。そして、企業は正規社員を雇用するよりは、人材派遣センターなどを通じてパート職(派遣労働者)を雇用し、賃金を正規職の70〜80%に抑制しているのが現状です。

 経済破綻の責任を労働者にも分担させるのは、事態の本質をすり替えることに他なりません。韓国銀行が11月26日に発表した「97年上半期の企業経営分析」は、そうした事情をよく表しています。97年上半期の賃金上昇率は9.6%であり、前年同期の13.0%に比べ大きく低下しています。その結果、販売価格に占める人件費の負担分は12.0%で、前年値12.9%よりも減少しました。

 一方、従業員一人当たりの売上高増加率は、11.1%から13.9%へと上昇し、一人当たりの付加価値増加率も3.4%から11.4%と飛躍的に向上しています。韓国の労働者は、生産性の向上に大きく寄与していると言えるのです。

−国民消費の抑制−

 「消費者保護院」が12月1日発表した『消費実態の分析』は、韓国民の消費パターンが勤倹・節約には程遠い、過度の浪費型であることを示しています。

 94年基準で400リットルの大型冷蔵庫の販売比率を見ると、日本が23.0%であるのに対し、韓国は55.9%にもなります。また、1000cc以下の小型自動車の販売比は、日本の22.6%に対し、韓国は3.9%に過ぎません。消費生活の高級・大型志向が目立ちます。あるいは、消費支出のなかで外食費の占める割合を比較すると、96年基準で日本の4.0%に対し、韓国は10.0%と倍以上になります。

 そして、85〜95年の10年間でエネルギー消費の年平均増加率は9.6%です。アメリカ(1.6%)、日本(2.8%)に比べると、その増加率はすさまじいと言えます。また、一人当たり国民所得1千ドルを基準にした水の消費量も52.8リットルと、日本(11.6リットル)、ドイツ(13.4リットル)に比べ極めて高い数字です。

 こうした過度の浪費性向は留学や海外旅行に際し、膨大な外貨を消費する傾向にもつながり、今年度10月末の時点で65億6千万ドルの貿易外赤字となっています。

−分断費用の削減−

 長期にわたる民族の分断は南北双方に、莫大な軍事支出をもたらし国民経済を疲弊させるに充分な負担を強要してきました。

 毎年、南北合わせて200億ドル近い軍事費(97年度:南170億ドル、北20億ドル)と、約200万名もの労働力(南70万、北110万の軍隊)を非生産的な軍事分野にそそぎ込む現状を解決しない限り、南も北も破綻した経済を再建させるのは不可能でしょう。韓国の国防大学院は、正規軍を10万名削減すれば約6兆ウォンの財政が確保できると計上しています。

南北の軍事・政治的な対立を緩和し、軍縮と平和へ向けた努力をねばり強く傾けて統一への道を切り開いていくなら、南北の経済交流と協力を通じた民族経済の再建は、決して実現不可能な夢物語ではありません。(柳成南)


参考資料
1.金ヨンギュ「30財閥グループの危機状況評価」、月刊『マル』9月号
2.「韓国経済の墜落」、『東亜日報』97年10月17、18、21日付

もどる 目次 つぎへ