『雪の降る聖夜』
僕と彼女はバスに乗って目的の場所へ向かっていた。
ふと彼女は何かに気づいたように僕を見た。
「この音…」
僕は耳をすました。
シャンシャン…。
そんな擬音がぴったりと当てはまるような音が聞こえる。
僕と彼女はすぐにバスを降りた。
音はもう聞こえなかった。
がっかりした彼女の肩をそっと引き寄せた。
その時走り去ったバスの方からまたあの音が聞こえた。
シャンシャン…。
僕はそっちを見た。
その音の正体を見た。
それから今度は彼女の肩を強く引き寄せた。
「ん、どうしたの?」
「しばらくこうしていよう」
彼女は拒まなかった。
雪の降り積もる聖夜だった。