『肝試し』



「ねぇ、恐いよぉ」

頼りない恋人の声が背中から聞こえる。
「大丈夫だから、は、速く行こ!」

そんな自分の声も頼りなかった。
それもそのはずで自分たちのいるここは夜中の『墓地』なのだ。
友達に『肝試しをすればきっとお互いの愛が深まるよ』などと言われてやってきたらこの始末。
もう目も当ててられなかった。
恋人は目に涙を溜めて今にも泣き出しそうだ。

「ほら、立って戻るよ」
そして、二人は走り出した。
仲間たちの待つ方へ。

ただ、ただ、走った。
暗闇から逃げ出すように。
最後の曲がり角まできた。
その時、何かが茂みから飛び出した。
とうとう恋人は泣き出してしまった。
飛び出てきたのは当然仲間たちだった。


「あなた男でしょうが、情けないわね!」
私たちが最後に過ごした夏だった。