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紙版画「はみがきをするわたし」
梅染深雪(TOSSびわ湖会)
顔と手だけのパーツで勝負。
紙版画が初めての低学年におすすめのシナリオです。
1.顔と顔のパーツ(口をのぞく)を作る。(45分×2)
(1)画用紙の縁をちぎる。
指示1 画用紙の端をこのようにちぎっていきます。紙のばしリレーでやったように、なるべく細く長くちぎります。 ごえっつとちぎったら、あとで顔の部分がなくなってしまうよ。 |
1枚目の画用紙で、顔・耳・目・鼻・眉毛がとれると考えた。 顔と耳は手でちぎって、やわらかい線を出したかったので、画用紙の縁の直線をのぞくためにちぎらせた。この方法は、以前版画の講習会で教えていただいた。(いつどこで、誰に教わったのかは?)
(2)顔の部分をちぎる。
いきなり顔をちぎらせると、口の入らないような小さな顔になってしまうおそれがあるので、はじめに教師の作ってきた顔を見せ、大きさを示したあとえんぴつで顔の輪郭を描かせた。
それを、教師に見せに来させてOKをもらった子どもから、顔の部分を手でちぎって作らせた。
指示2 自分の顔よりひとまわり大きいぐらいの顔を画用紙に描きます。 描けたら先生に見せにいらっしゃい。「いいよ」と言われた人は、手で少しずつちぎっていきます。 |
ほぼ全員にOKを出したあと、机間巡視。大きく破いている子に、少しずつちぎっていくよう見本を示す。
(3)耳の部分をちぎる。
指示3 耳を2つ描きます。描けたら、手でちぎります。 |
耳は、多少個人差があってもあじのある部分と考え子どもに任せた。
(4)顔に耳をつける。
T「耳はどちらにつければよいでしょう。顔の上から、顔の裏から。」 黒板でやってみせる。
C「顔の裏から。」
T「そうだね。顔の上からつけると、ほっぺたに耳がついちゃうね。」
指示4 耳を顔の裏からのりでつけます。 |
(5)鼻、目、眉を作る。
指示5 鼻、目、眉毛を描いて、はさみで切ります |
小さい顔のパーツは手でちぎると、何かわからないものができあがってしまいそうなので、はさみを使わせた。
小さい顔のパーツは、バラプリントの入っていた袋に各自名前を書かせて入れさせた。もちろん教師が預かる。
バラプリントの袋だけを残しておいたのがこんな時役に立つ。
2.歯ブラシを持つ手と歯ブラシを作る。 (45分)
(1)手を作る。
画用紙を八つ切りにして、わたした。
手の甲、人差し指の第2間接までとそこから下の部分、
中指の第2間接までとそこから下、
薬指の第2間接までとそこから下、
小指のパーツを描き、
はさみで切ってもOK、挑戦しようと思う子は手でちぎってもOKとした。
手も柔らかい線がわたしは好きだが、指が無くなってしまうので自分の甲斐性にあわせて選ばせた。
指示1 自分のグーよりひとまわり大きく手を描きます。 |
指示2 親指は見えないので人差し指、中指、薬指、小指をつくります。 指は曲げているので、まっすぐの部分と、曲がっている部分を別に描いて切ります。 |
パーツは板書で示した。
(2)歯ブラシを作る。
指示3 ブラシ部分と柄の部分に分けて作り、あとで貼り付けます。 |
T「ブラシ部分は、こうやって切り込みを入れるとおもしろいね。」
C「ぎざぎざにしてもいい。」
T「いいよ。」
細かいことの好きな子は楽しんで作っていた。
注意! 柄を長めにしていないと、顔の上に手が来てしまう。
(3)歯ブラシを手に貼り付ける。
指示4 歯ブラシを手に貼ります。 |
T「歯ブラシは手の上からはるのかな、裏側からはるのかな。」
C「裏側」
T「そうだね。上から貼ってしまうと、手の甲に歯ブラシがくるね。」
歯ブラシの持ち方は鉛筆の持ち方と同じなので、人差し指と中指の間に歯ブラシがくるように話したあと、個別に見てまわった。
3.唇と歯をつくる。(45分)
(1)唇をつくる。
八つ切りに切った画用紙をわたす。
指示1 自分のパーよりひとまわり大きく、あ〜んと開けた口をかいて唇を描きます。 描けたら見せに来ます。 |
黒板に大きく口を描いて、例を示す。
小さくなりすぎないように、鉛筆書きの段階でチェック。
小さく描いて来た子には、「もう少し大きく。」と指示。
わかりにくそうな子には、鉛筆で○を描いて「これぐらい」と大きさを示す。
「い〜の口でもいいですか。」と聞いてきた子がいたので、それもOKとした。
指示2 唇の周りを手でちぎります。 |
指示3 口の中をちぎります。はさみで切り込みを入れて、そこからちぎっていきます。 わからない人は、並びましょう。 |
(2)歯を作る。
指示4 口の中がちぎれた人は、歯をはさみで切って作ります。 |
4.顔を完成させる。(45分)
(1)口の部分を完成させる。
口の中を、黒く残すか、白く抜くかを選ぶ。
以下、黒く残す場合、白く抜く場合にわける。
指示5 口の中を黒く残す人は、歯を唇にはり付けます。 |
T「歯は唇の上から貼るのかな、裏から貼るのかな。」
C「裏から」
何度も繰り返していると、わかってくる。
指示6 歯を唇に貼り付けられたら、顔に貼り付けます。 |
指示7 口の中を白くぬく人は、顔に口をのせてぬくところを鉛筆で薄く描いてごらん。 |
指示8 薄く描いた線のところをはさみで切りぬきます。 |
指示9 口の中を切りぬけた人は、唇を顔に貼って、歯を裏からつけます。 |
(2)目、鼻、眉毛を顔に貼る。
指示10 目と鼻と眉毛を顔につけます。 福笑いのようにいろんな場所においてみて、一番よい場所を決めます。 決まったら、手を挙げて知らせましょう。 |
口の中を黒く残す作品の例
口の中を白く抜く場合
5.髪の毛を作る。
髪の毛のパターンを3パターン示す。
教師が作った物を見せる。
@ かつら型・・・顔にかぶせるかつらを作り、顔に貼り付ける。
A 髪の毛貼り付け型・・・髪の毛を1本1本切って、頭に貼り付ける。
B @+A・・・かつらに髪の毛を貼り付ける。
指示1 3つの中から選んで髪の毛を作りましょう。 |
ほとんどの子が@であった。髪の毛に切り込みを入れる、前髪の切り方を工夫するなどさせた。
指示2 髪の毛を顔に貼り付けましょう。 |
6.顔と歯ブラシを持つ手を貼る。
指示3 顔と歯ブラシを持つ手をつけます。 |
歯ブラシが歯に当たるようにおくので、必ず手と顔が歯ブラシを橋わたしにして1つにつながる。
版を1つにしておくと刷りやすい。
7.目玉を貼る。
指示4 目玉を貼ります。 上の方を見ているのか、下の方を見ているのか、右の方を見ているのか、左の方を見ているのか どこか一つの方向を見ているように貼ります。 |
8.版にニスを塗る。 (45分)
版にニスを塗ると、繰り返し刷っても大丈夫だそうだ。
ふつう紙版画は2回ほど刷ると版が痛む。
9.刷り 28人1枚づつ、準備も入れて(45分×2)
(1)版を置く場所を決める。
四つ切りの画用紙の上に版を置き、周りを鉛筆でなぞる。
指示1 インクを付けた後、版を置く場所を決めます。右か左どちらかに傾けて、版を置いてごらん。
置けたらその周りを鉛筆でなぞります。 |
(2)版を刷る。
@ インクを付けた版をピンセットではさみ、画用紙の枠にあわせて置く。
A 上から和紙の端を画用紙の一方の端にあわせておく。
和紙と画用紙の大きさが違うので、一方の端しかあわない。
B ばれん、手でこする。
ばれんでこすると、目の周りなど貼り付けた周りがきれいに出なかった。
細かいところは手でこする方がよいと思った。
インクは教師が付けたが、刷りは子どもに任せた。刷りがきれいにできなかった。これぞと思う作品は教師が時間をみて刷り直すのがベストか。