キャブレターの分解清掃

全く初心者の私がキャブの分解清掃にチャレンジしてみました。
万人にお勧めできるわけではありませんが、素人でもやる気さえあればなんとかなるものです。
そこで私自身の失敗も含めその過程を紹介したいと思います。

分解前の症状 分解整備後
1.エンジンの吹けが悪い(ような気がする)
2.燃費が悪い(リッター13km/L前後)
3.フル加速をくれると青白い煙がでる(といわれた)
4.なんだかいつもガソリン臭い(ような気がする)
1.アイドリング超安定
2.エンジンがスムーズに吹け上がる
3.8000rpm前後での振動がなくなった
4.燃費は18km/L前後に激変。

基本的に長期放置車を購入したとか絶不調でないかぎりキャブの分解は不要だと思います。
逆に直すつもりが壊してしまったというケースも多いかもしれません。
本当に壊れているならバイク屋さんへ持ち込んだ方が早くて確実です。分解整備は工賃3万円+部品代(3万〜4万)程度の覚悟は必要です。キャブの補修部品、ジェット類など小物は安いですが、とくにダイアフラムは7000円程度しますので4つ交換すれば3万程度が必要です。
まぁ、脅かしはこれくらいにして始めましょー!

キャブレターってだいたいこんな感じ?
名称等間違っているかもしれませんが、突っ込まないように(笑)

1.アイドリング〜低開度ではパイロットジェットからガソリンを吸い込みます。(オレンジの流れ)

2.中開度ではメインジェットからのガソリン流入量をジェットニードルが上下することで制御しています。(赤の流れ)

3.全開ではジェットニードルは上がりきってメインジェットの最大吸出量のガソリンがエンジンに送られます。

4.バタフライバルブを開く(アクセルをひねる)ことにより空気の流入量が増えエンジン回転が上がります。

5.CVK30Dの場合、パイロットエアスクリュー(*1)は無く(・・というか空気の流入量は一定)、パイロットスクリュー(*2)でパイロットジェットの燃調をします。(図では省略)

(*1) 空気の流入量を調整するネジ。
   閉めこむと空気の流入量が減るので燃調は濃くなる

(*2) 燃料の流入量を調整するネジ。
   閉めこむと燃料の流入量が減るので燃調は薄くなる

以下は私のZXR400(京浜CVK-30D)キャブについて独断と偏見に基づいて説明しています。

よく「パイロットジェットは全閉から1/4開度くらいまでに影響する、、」とか書いてありますが、実際に負荷のかかった回転数ではどうなんでしょう?バイクやエンジンの個体差がある気がしますが、いずれにしろ、どのあたりの回転数で不調なのか?を見極める必要はあるんでしょうね。

1.パイロットジェットはアイドリング(1100rpm〜1250rpm)から3000rpm前後まで影響しているようです。
 パイロットスクリューを規定値(2と1/4)から1回転以上締めたり緩めたりしてもエンジン回転数は変わりませんでしたのでパイロットスクリューは規定値のままで調整していません。
 まま、「出来ないこと」「わからないこと」はしない・・というスタンスでやってます。

2.4000rpm手前くらいから徐々にメインジェットが開き始め8000rpmくらいまでジェットニードルがかなりの影響を与えているようです。いわゆる常用回転数の領域ですね。
5〜6000rpmでメインジェットが開きはじめると思っていたのですが今回のトラブルで4000rpm手前から開き始めることがわかりました。

 ジェットニードルはエンジンにエアーが吸い込まれる負圧によりダイアフラム(薄いゴムの膜)の空気が吸い出されスロットルバルブ(とそこにつながるジェットニードル)が引き上げられます。
 このあたりの吹けが悪いのはジェットやニードルが磨耗しているかダイアフラムのゴムが硬化、穴空きなどに基因します。
4気筒なのでひとつでもダイアフラムの動きが悪くなるといくら同調を取ってもこの回転域の吹けはかなりはっきりとわかるくらい悪くなります。

3.全開域ではキャブレターはエアクリーナーからの空気とメインジェットの大きさからくるガソリンの最大吸出し量との混合気で回っていることになりメインジェットが詰まっていない限りエンジンが不調になる理由は無い、。ということですね。

・・・ということで(謎)4つのキャブの混合気がそろってないと強い方の気筒に引っ張られる形で弱い方が回っていることになり、洗って同調とってみるか、、ということにしてみたわけです、。

キャブの取り外し 〜 洗浄
サイドカウル、ガソリンタンクとタンク前のカバーを取り外します。
エアクリーナーを取り外します。エアクリボックスのメクラブタをはずして中のボルトも緩めないとエアクリボックスは外れません。

素手で十分はずせますが、前オーナー(?)はマイナスドライバーでコジってメクラブタをあけているようで傷つきまくりです。
キャブが見えました。
キャブを取り外す前にスロットルバルブが全部閉まっているか確認します。バラつきがあればダイアフラムのゴムが噛んでいるかもしれません。

次にエンジンをかけてアイドリングさせてみます。
この状態(スロットル前閉)でスロットルバルブが動いていれば、ほぼ確実にスロー系が詰まっています。
アクセルをあおってみてスロットルバルブが4気筒ともほぼ同じように上下するか確認します。
動きが悪い気筒があればダイアフラムに異常がある(アイドリングと高回転域以外で吹けが悪い)可能性が高いです。

私の経験ではアイドリング状態でスロットルバルブが微妙に上下していました。(後にこれがスロー系が詰まっているのが原因だと知る)キャブ洗浄後はアイドリング時にはまったく動かないので最初は壊れたのか?と思ったくらいです。
燃料パイプ、アイシング防止の冷却水パイプ(入り口と出口の2本)、アクセルワイヤー、チョーク(スターター)ワイヤーをはずします。ガソリンや冷却水がパイプからこぼれるので注意です。大きめのネジを突っ込んでフタをするかガムテープで止めておきます。
ただし燃料パイプはガムテープの糊がガソリンで溶け出すので臭いのをガマンすればそのままでも良いです。(火気厳禁)

3番4番のエンジン側バタフライバルブが真っ黒です。某掲示板で質問してみると大抵は吸気バルブの吹き返しが原因もしくは同調不良ということで、バルブの吹き返しならお手上げです。ちょっとブルーになりました。
 いつものバイク屋さんに車検の際に聞いてみると、バルブクリアランスが狂って吹き返しなどが起こると冬にいくらチョークを引いてもエンジンが掛からないという顕著な症状がでるらしいです。
 一概には言えないけど、エンジンオイルのメンテナンスなどをきっちりしていれば3万キロくらいでそういう症状が出るというのはあまりないらしく、3番と4番の組み合わせもヘンだよな(、、と社長とメカが相槌を打ち合っていました)とのこと。
 可能性としては低いという判断で、少し安心。。
インマニのネジを緩めキャブを引っ張ると簡単にとれました。
エンジン側にはガムテープでフタをしておきます。ホコリ対策というより、エンジンの中にネジなどを落としてしまうのが一番恐いです。
ドレンをヘキサゴンレンチで緩めてフロート室のガソリンを抜きます。
ドレンボルトはナメないように気をつけねばなりません、。
私はすぐに分解したのですが、まず外観の泥や油汚れを灯油やパーツクリーナーで落とした方がよかったなと反省、。
気分的なものかもしれませんが、漬け置きするとこれらの汚れが穴を詰まらせるかもしれませんからね、。
外観の細かい部分の汚れを歯ブラシなどで落としました。
ジェット類は真鍮ですのでヘタに分解するとナメてしまいますので、ホルダーまで分解しませんでした。
ニードル、メインジェット、パイロットジェット、パイロットスクリューをはずし気筒ごとに分けてクリーナーに漬け込みます。
私はわけもわからず漬け込んだのですが、フロート室の中に腐ったガソリンがこびりついてない限り漬け込みの必要はないと思います。
パイロットスクリューを抜くとスプリング、ワッシャー、Oリングが入っています。ワッシャーとOリングは小さくて紛失しやすいので注意せねばなりません。
フロートバルブは分解しませんでしたが、ここにも細かな部品が入っているので要注意です。
事前にサービスマニュアルで確認して作業します。
キャブ本体を漬け込みます。フロートをはずしてもよかったのですがオーバーフローの症状がでているわけではないし、組み付け時にバラしてパーツクリーナーを吹くことにしてそのまま漬け込みました。

油面調整はしていません。よく「フロート金具を調整して、、」とかありますが、よほどのことが無い限りここの部分を調整する必要はないようです。オーバーフローの一番の原因はフロートバルブの磨耗らしいです。
したがって、危ない橋は渡らないこととしました。
ちなみにフロートバルブの黒い部分はゴムのコーティングですので汚れと勘違いして磨いちゃだめです。

写真ではダイアフラムを漬け込んでいますが、コレは失敗です(汗)ゴム系のパーツを漬け込むなんて・・・トホホ、。

 写真をよく見るとわかりますが、4番のダイアフラムのゴムがヨレヨレ(ピシッと丸くなっていない)です。
灯油だと処分に困るので「花咲かG」を使いました。
よく落ちる洗剤(?)っぽいのですが、プラスチックやゴムにはどうなんでしょう・・。
1晩ほど漬け込んだ後、洗浄液を水でジャブジャブ洗い流します。
ここからは部屋に持ち込んでの作業です。
古新聞に広げて乾燥させます。
パーツクリーナーでゴミを飛ばしながら残った水分も飛ばします。
分解したときにパイロット系の穴がススで詰まっているようでしたので念を入れてパーツクリーナーで何度も吹きます。

穴という穴からパーツクリーナーをガンガン吹いてどこかからじょぼじょぼとクリーナーが噴出してくるか確認すればいいそうです。

後は元通り組み立てるだけです。ジェット類はきつく締めすぎないように注意が必要です。ラチェットレンチなどは力が入りやすいので緩めた時の感覚を思い出しながら締めました。

このときジェットのホルダーもバラしてパーツクリーナーで吹きましたがドライバーはきっちりとサイズのあったものでないと簡単にナメてしまいそうです。手持ちがなければ即買いです。

特にダイアフラムのゴム部分は慎重に組み立てます。
ダイアフラムの耳部分の真鍮パイプが入った穴(負圧を逃がす通路?)もパーツクリーナーで吹きます。穴が細いので詰まっていることが多いようです。ここはキモの部分だと思います。
 こんなにピカピカ♪

負圧同調
写真を撮るのも忘れて熱中してました。スンマソ、。
インマニにキャブが4つともきっちり入っているかよく確認(2次エアーを吸い込んで不調の原因になる)しつつ、エンジンに組み付けます

さて、これでエンジンが掛かればOKなのですが、いくらセルを回してもウンともスンともいいません。
なんでかなぁ、、と悩むことしばし、、。
ガソリンタンクからフュエルポンプへのホースとフュエルポンプからキャブへのホースが逆になってました。(←よく間違えます)
そりゃ、エンジンかからんわな・・。

気をとりなおして、しばらくセルを回してガソリンを送り込むとなんなく始動しました。
しかし、走って見ると全然吹けません。しょぼーん・・・。。

そんなんで、同調を取ってみました。パイロットスクリューは規定値のままです。
このとき同調前と同調後、気温などの記録をとっておきました。(次回調整の参考にします)

レーサーなどは全開域で同調を取るそうですが、もちろんワタシはそんなことしません。
アイドリングをチョイ高めにして(同調が合ってくると、回転数が下がるため)同調開始です。

負圧計はデ○トナ製が3万弱するので購入を躊躇していたのですが、ネットで調べたストレートという工具専門店が自宅から10分のところにあるのを知り、定価9800円のもの買いました。ラッキーにもセール期間中でさらに1割引にしてもらえました。以前負圧計単品があったのですが、お店の人に聞くと廃盤になったとのことです。

ネット上では1個の負圧計で4気筒を調整する方法が多数紹介されていますが、初心者なら迷わず4連を買いましょう。作業が格段にラクです。

調整前の負圧を計ると1番、2番は160mm、Hg3番240mmHg、4番320mmHgでした。
3番、とくに4番は1,2番の2倍の混合気を吸い込んでいたことになります。プラグも真っ黒で、エンジン側のバタフライバルブが真っ黒な理由もはっきりしました。

同調後は全気筒240mmHgにピタリとそろいました。
同調は1−2番、3−4番を合わせた後2−3を同調して完了ですが、こちらをあげればもう一方が下がるのでなかなかイライラします。同調ネジを回そうとするとブローバイガスのパイプが顔に当たり死ぬほど臭かったです。

ちなみに負圧調整というとなんだかスゴイというイメージでしたが、要するにバタフライバルブの開き具合を調整して混合気を吸い込む力を4気筒とも均一に調整するだけです。

アイドリングは安定し、吹けが悪いのも改善されたかのように感じました。
日常では街乗り中心のため4〜5千rpm程度しか回さないのですが、「なんとなくボコつくなぁ、、」と思いながらも2、3日はだましだまし乗っていました。
次の日曜に仲間とツーリングにいったのですが6000〜80000rpmが全くアクセルについてきません。10000rpmを超えるとなんとかマシになりますがアクセルをガバっとあけると「モモモモ、、、」となります。

こりゃぁ、、バイク屋さん行きか、、、と心はあせります。
しかし、ここまでやってあきらめるのはシャクだしダメ元でもう一度だけバラしてみることにしました。
ただし闇雲にやっては時間の無駄、、というか通勤に使っているので足がなくなってしまいます。

中速域が悪いということはスロージェットのつまりでは無いと判断し、メインジェット、ジェットニードルが原因だろうと思ったのですが分解洗浄したのに、これらがそこまで詰まっているというのはおかしい話です。
そうなると残る原因はダイアフラムの動きが鈍くなっている、、しか思いつきませんでした。

再度タンク、エアクリボックスをはずしエンジンをかけ、アクセルをあおってみます。
案の定、1番のスロットルバルブの動きが鈍いです。
エンジンをとめて指で押し上げてみると1番だけがなんとなく動きが硬い気がします。
プラグを点検してみると2番〜4番はこんがりキツネ色(以前は全気筒真っ黒)でいい感じですが、1番は完全にススけていました。
キャブ全バラは休みの日でないと無理なのでキャブをおろさずにとりあえず1番のダイアフラムカバーをはずしてみました。
実は1番のダイアフラムのゴムが伸びた感じになっていたので気になっていましたが今までなんともなかったのでたいしたことないだろーと思いそのまま組み立てていたのでした。

ダイアフラムの耳の部分の穴をかざしてみると詰まっているようです。ゴム部分に薄くなったり破れたりしているところはなさそうなのでその穴をパーツクリーナーで吹いてみると貫通していません。何度か吹いて通りがよくなりました。
ゴムがヨレてなければきっちりはいるのですが、再度きっちり収まってるか確認しながら組み付けます。いずれこのパーツは交換したいと思います。ただ1個だけ交換すると不調の原因になりそうなので、悪くない(と思われる)他の3つも同時交換しなければなりません。後はお金の問題ですね。(笑)

さて、組み付け後アクセルをあおってやると1番のスロットルバルブの動きがよくなっています。
4気筒ともだいたいそろって上下するようになりました。
「これならもしかして、、」エアクリボックスや外装を元に戻してドキドキの試走です。
おおおお〜っ!アクセルをガバっと開いても付いてきます。
さすがに400ccだとフロントがポンポン浮く、ということはありませんが、絶好調に戻りました。
レッドゾーンの14000rpmまで難なく吹けてしまいます。

一応、これでキャブとの戦いは終了しました。
妻にエンジン絶好調に戻った、、と言うと、浮いた修理代で旅行に連れて行け、、との返事。
う〜む、、手ごわいのう、。
最 後 に
試行錯誤の連続でしたが終わって見ると良い経験になりましたし、なにより自分の手でメンテできた喜びは最高です。
また、キャブレターの基本構造もその中で身につけることができましたし、それが原因の追究にも役立ちました。

「なんとなく不調(のような気がする)」というのは乗っているオーナーにしかわかりませんし、漠然とした不調をバイク屋さんに伝えるのはもっと難しいでしょう。
皆さんも、ぜひ一度チャレンジしてみてください。(ちなみにどうなっても知りませんが。(笑))



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