「ジャズメン」

この響きから連想するものはなんだろう?

薄暗いジャズクラブの中で、そこだけがスポットで浮き上がっている。

そのスポットの光の中を煙草の煙が横切って行く。

テナーサックスにピアノ、ウッドベース、ドラム。

スーツに身を包み、クールに、そして時には激しく、

自分の内面を音に託し、メンバーと客に投げかける。

限りなく続くドライブ感、宇宙を、彷徨う様にハーモニーとメロディーが絡み合っていく。

宙を見据え、インプロヴィゼーションに没頭しているミュージシャン。

いったい彼らは普段、何を考え、どんな私生活を送っているのか。

おそらく、咥え煙草で、譜面でも書いているのだろう。 






な〜んて思ったら大間違い!

こんなアホな連中、他に居てまへんで!

 

そら確かに、アホでないミュージシャンも一杯居てます。
けど、殆〜〜〜どが、世間知らずで、甘えん坊。
つまらん駄洒落の連発で朝まで飲み続け、訳のわからん失敗を繰り返し、それでも、へこたれずにスイングし続ける。
ああ〜哀しきバンドマン!

 

目次
       第一章 哀しい出来事
1.『俺を誰やと思てんねん!』
2.満中院????

1. 俺を誰やと思てンねん!

京都の、とあるナイトクラブに、ガ体のすごく大きなA君というミュージシャンが居ました。彼は演奏の休憩時間にバンドの控室に居たそうです。
控室のすぐそばで、お客さん同士の喧嘩が始まりました。
『なんやとー、こらーっ!』『なんじゃい、ワレーっ!』かなり危ない雰囲気です。
店の人間は気が付いてない見たいやし、これは俺が止めなヤバイなーと思ったA君ですが、彼はガ体は大きいが、気はものすごく弱い。
どうしよう、どうしようと震えながら、意を決したA君。
「そうや、俺は身体デカイから、凄んだら喧嘩収まるかもわからん。
どない、ゆーたらエエかなぁ。
よし、『こらっ!お前ら喧嘩やめっ!俺を誰やと思てんねん!』こう言おう。
ゆーたらビビッて喧嘩やめよるやろ。」そして決心したA君。
 

さあ控室から飛び出した!。
『こらーっ!お前ら喧嘩やめっ!』と叫んだ。
喧嘩してる方も振り向いた。
次に、『俺を誰やと思てンねん!』と言おうとしたら、喧嘩してる二人が、『お前、誰やねん?』と先にA君に聞いた。
思わずA君、大声で『おっ、おっ、俺は誰やねん!』

一瞬の静寂。

喧嘩してる二人は『さあー、知らん!』と笑いをかみ殺して、喧嘩は収まりました。

満衷陰志????

大先輩の素晴らしいドラマーが亡くなって暫くしてからの、あるジャズのライブハウスでの会話。

ミュージシャン U 『Sさんの一周忌、どこでやるって?みんな行くンやろ。』
ライブハウスのママ M 『うん、行くよ。えーっと、案内のハガキ来てたで。
確か、マンチュウインでやるって書いたぁったけど。交番でマンチュウイン、どこですかって、聞いたら、わかるやろ。』

U 『そやな、そうしよか。』

(このネタで笑えない人は、ミュージシャンになれる素質を持っておられます。)