米国経済の行方

師走の風とともに最近の新聞は、米国経済の減速を伝える記事が毎日のように掲載されている。
過去10年以上にわたって景気拡大を続けてきた米国経済も、今年下半期は、原油価格の高騰、
労働需給逼迫による人件費の増加等により、企業の収益が圧迫されつつある。
又最近は株価も低迷しており、これを映して個人消費も伸び悩んでいる。
注目されていたクリスマス商戦も、どうやら期待はずれに終わりそうだ。

先日経済企画庁が発表した平成12年度の「世界経済白書」にも、来年の米国経済の行方が注目
されており、世界中が”米国経済は、このままうまくソフトランディングできるのか、またはハード
ランディングの可能性があるのか”固唾を飲んで見守っている状況ではないだろうか。

景気の過熱を防ぐ為、過去6回に亘って実施された金利の引き上げも、来年初頭には引き下げられる
可能性が出てきた。
最近の株価は、低迷しているとはいえまだ最高値圏にあり、今後の企業業績の推移によっては、
大幅な株価調整の可能性も否定できない。
GDP(国内総生産)に占める個人消費の割合は非常に高いが、株価がもし暴落した場合は、これ
まで資産効果によって所得以上に消費していた個人投資家は、深刻な打撃を受ける。
旺盛な消費により本年8月には、家計の貯蓄率は過去最低のマイナス0.4%を記録したが、株価
暴落は家計を直撃し消費が引き締められる事はまず確実である。
消費の抑制は、企業の売上減少につながり収益の悪化をもたらす。

今まで景気のけん引役であった米国の景気悪化は、世界経済に重大な影響を及ぼす。
これ以上の景気悪化を防ぎつつ、経済成長の巡航速度を維持する方策はあるのか。
今後の経済運営は大変難しい局面を迎えている。


なお先日発表された「世界経済白書」は、最新の世界の経済情報を豊富な統計、図表等を
用いて解説されており、日頃の経済情報に疎い我々素人には、貴重な資料としておおいに
利用する価値がある。
本稿もその一部を利用させていただいた。

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