老後の資金

インターネットの検索サイト、googleで「老後の資金」と入力するとこれに関連する2100件以上のホームページが紹介される。 私も昨年8月長年勤めた会社を退職した。 年齢も63歳を超えて、いまさら再就職も難しいので年金暮らしに入ることとなった。 しかし老後の生活は年金だけで果たしてまかなえるのであろうか。 不足するのであればどの程度なのか。 定年退職者が悩む一番の問題である。 退職した今頃になって悩んでも遅すぎるのだが、その悩みをインターネットを通じて調べてみた。 ネットにはいろいろの情報があって、銀行や証券会社による老後の資産形成を目指す投資家向けのもの、実際の退職者による体験談、あるひは相談者に対するファイナンシャルプランナーのアドバイスなどいろいろである。 老後に必要な資金は一般的に銀行や、証券会社のホームページでは多めに提示されている。 例えばある銀行では、一般的なサラリーマンが退職してから平均寿命までの間に要する生活資金の平均水準は、約一億1000万円が必要と記載されている。 こうなるととても公的年金だけでまかなえる額ではない。 退職するまでにしっかり資金を準備する必要がある。 一番多いのは老後最低限必要な生活費の平均月額は、一世帯あたり24万円〜27万円、ゆとりある生活をするためには34万円〜37万円が必要というものである。 これでも公的年金だけでまかなえる人はごく少数ではなかろうか。 不足する分はそれに備えてあらかじめ蓄えておくか、生活のレベルを落として不足分を補うかということになる。 いずれにしても老後人並みに生きていこうと思えば相当なたくわえが必要となるようである。 問題は人口の少子高齢化に伴い、公的年金の受給水準が切り下げられることがほぼ確実であるということにある。 来年は年金問題の見直しの年にあたり、年金改革論議は避けて通れない。 年金問題を語るとき気になるのは年金受給世代に対する新聞の論調である。 現在の年金受給世代は戦後の混乱期を食うや食わずで懸命に生き延び、高度経済成長期には必死になって働いた世代である。 今の日本があるのはこの世代があったればこそといえる。 長引く不況で現在の日本は多少元気を失っているが、紛れもなく世界第二の経済大国である。 その証拠に政府がいくら円安を望んでも容易に円安は実現しない。 経済政策ではいろいろ日本を批判しながら、為替では日本の実力を認めているからである。 この豊かな日本を築いた世代がようやく現役を引退して年金を受給する時期になると、人口の高齢化問題から年金は削減の方向にある。 人口構造がそうなっているのだから、多少の痛みを伴うが辛抱するしかないだろう。 我慢がならないのが、年金受給が現役世代からの無償提供のような新聞の書き方である。 われわれも現役時代には給料に見合う保険料の負担を長年続けてきた。 40年近くの長きにわたって保険料を払い続け、いざ年金を受給できる段になると年金は減額され、現役世代の負担増と非難されては立つ瀬がない。 

話は換わるが総務省の家計調査(平成14年1〜3月)に、所帯主の年齢階級別貯蓄額が示されている。30歳未満では貯蓄額が約380万円、30歳代で790万円前後、40歳代で1100万円、50歳代で約1900万円、60歳代で2400万円、70歳代で約2500万円となっている。 なをこれには各年代の負債額も示されているが割愛する。 負債のピークは40歳代で約900万円、それ以後暫減し70歳代では200万円弱。  これによって推測できるのは大半の世帯が、公的年金では足りない老後の資金を自己資金でまかなうべく貯蓄している、ということである。  今後は年金給付額の減額が予想されるためますますそれに備えた準備が必要ということになる。

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