サムライ債

先日の新聞に「今年のサムライ債(円建て外債)の発行は過去最大」と報道されていた。
日本の金利は先進各国に比べて大幅に安い。    その上機関投資家も、個人も資金の運用には四苦八苦しているから、信用度の
高いものであれば、国内債であれ、外債であれ発行条件次第では飛ぶように消化されるであろう。


外国の公的機関でも、民間企業でも資金を調達する側にとって、金持ち国日本は絶好のお客様である。
金利の安い日本で資金を調達し、自国で有利に運用するか、日本で調達した資金はそのまま日本で、企業買収等有望な投資先を
見つけて投資するか、その方法はいろいろあるだろう。
いずれにしても安い資金の出し手は日本で、高いリターンを手にするのは外国という事になる。何だか割り切れない話である。

例えば、今度ダイムラーベンツが2200億円という一度に発行される銘柄では過去最大のサムライ債を発行するという。
その資金使途といえば、我が三菱自動車の株式の取得資金等に当てられるとか。
日本の会社が外国企業に買収されるのを、日本は安い資金を出して手助けするという皮肉な結果になる。


こうする以外三菱自動車が生き延びる道は無かったのであろうが、天下の三菱財閥の過去の栄光を知るものにとっては、
いささか感慨を催すはなしである。



今の低金利が続く限り、日本国内の資金は少しでも有利な運用先を求めて、外債であれ、外貨預金であれ、外国投信であれ
いろいろな形で国外に流出し続けるであろう。
残念ながら今の日本には、世界の標準的な金利を負担できる能力の有る企業は数少ない。
今金利が上昇すると景気は確実に悪化する。
上昇した金利負担を吸収できるほど景気が回復するのはいつの日であろうか。


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