中国は万全か

これまでOCNのADSL1.5Mでインターネットに接続していたが、このたびeoねっとでFTTHに接続することとなった。  このホームページも当初OCNに掲載していたものをeoネットにそのまま移転した。  これからこちらでお世話になります。 よろしくお願いします。
最近中国の存在感が日ごとに高まっている。  高コスト体質の進むわが国は人件費がわが国の数十分の一と、格段に安い中国に生産設備を移転し、最近では企業の頭脳に当たる研究開発の拠点まで移管する動きが出てきた。  しかも大企業だけにとどまらず中堅企業や中小企業まで中国進出を競いだした。

しかし中国に拠点を移すことが企業にとり将来にわたって確実にメリットがあるのか、デメリットはないのか熟慮する必要がある。
懸念される第一点は中国の人口構成にある。    1940年代毛沢東率いる中国共産党は人口増加礼賛、大人口歓迎の姿勢が明確であった。   そのため人口が急速に増加し1950年代後半には人口問題が深刻化、食糧増産が人口増加に追いつけない状態となった。  1960年代に入って人口政策は一転して抑制策に転換した。  そしてついに1979年中国共産党中央委員会の公告にもとづき、厳格な人口抑制策をとることとなる。  これが「一人っ子政策」と呼ばれ「一組の夫婦に子供は一人」という家族計画政策である。
中国政府はこの政策により人口増加が大幅に抑制され、人口急増による将来の生態系や環境の悪化を防ぐのに一定の効果があった、と自賛している。   しかしこの政策により若年人口が急速に減少している。  人口増加歓迎時代の1940年代生まれの世代は最年長者はすでに60歳を超えている。 1940年代から人口政策が抑制策に転換する1960年台までの間に生まれた世代の人口分布が過密になっている。  この過密な人口が後20年足らずですべて60歳を超える。 すなはち現在の中国の労働力を支える世代の高齢化が急速に進むということである。 そしてそれに続く世代は人口抑制政策により急激に減少する。 すでに人口政策が厳密に実行されている都市部では人口の高齢化が進みつつある。  中国の競争力の源泉である安くて豊富な労働力の供給が不可能になりつつあるのである。  懸念される問題の第二点は高齢化した世代の面倒を誰が見るかということ。 中国では現在完備した社会保障制度がない。 これまでは国営企業や役所が、国に替わって企業内等で学校や病院などを運営し,退職した従業員の年金制度を設けていた。
しかし改革開放のスローガンの下競争の激化した国営企業にもはやそのような余裕はない。  それどころか国営企業は、中国のWTO加盟に伴いいっそうの市場開放を迫られ倒産の危機に瀕した企業が急増している。  今後人口の高齢化が急速に進む中でそれを支える次の世代の負担は大変重い。  これをどう解決するのか。  第三の問題点は悪化する国営企業の経営問題。  これまで国営企業は計画経済の下で財政、金融、市場参入規制などの産業政策をもって手厚く保護されてきた。 改革開放の市場経済の下では国家による保護はもはや期待できない。  競争原理に基づく市場経済の激しい競争に耐えていけるのか。  問題はこの国営企業に勤める労働者が8500万人と、都市就業人口の40パーセントを占めるということ。  国営企業の倒産は失業者の大量発生を招き、社会不安のもとともなる。   そのほか、これが一番の問題点かもしれないが中国は果たしてこのまま社会主義体制を維持していけるのか。  共産党の一党独裁で私有財産制度を否定していた中国が、最近では私有財産制度を認め資本家の共産党員まで承認しだした。
また経済活動でも、資本主義経済の基本である競争原理に基づく市場主義経済を積極的に取り入れつつある。  どこかでイデオロギーの相違による矛盾が爆発しないか。  中国にはまだまだ難しい問題が山積し、手放しの楽観は許されないのではないか。

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