個人負担の増大

例年1〜3月は仕事の関係上多忙となり、このホームページの更新も遅れがちとなる。  特に今年は一ヵ月半も更新が滞った。
この間に懸念されていた3月金融危機も、政府の緊急市場対策である株式市場のカラ売り規制強化により、3月期末の平均株価が
11,000円台を保ち、どうにか乗り越えることができたようである。  ただ公的機関による市場介入は、自由な市場価格形成を阻害し危機を先送りしただけであるという批判もある。

この4月からいよいよペイオフが解禁になった。 ただし普通預金や決済用の資金である当座預金はその実施が一年間延期される。
この為個人や自治体のマネーが一斉に元本保証のある普通預金に流入している。  金融機関は預金保険の保険料の大幅引き上げに伴い、このままでは収支悪化が避けられないとして普通預金の金利を引き下げる。 大半の銀行は今のところ0.01%としているが信用度の高い都銀や一部の銀行は更に低い0.001%に引き下げるところもある。  1000万円を一年間預けてつく利子がわずか1000円(0.01%の場合)0.001%の場合は100円しか付かない。  しかもこれから20%の税金が控除される。  1000万円といえばわれわれ庶民にとって大変な大金である。  それを一年間預けてわずか郵便切手一枚分の利子しか付かないと、いうのはどう考えても異常である。  もともと銀行は預金として預かったお金を運用して利益を上げ、その一部を利息として預金者に還元している。  通常であれば銀行は集めたお金を一番有利な方法で運用する。  しかし多額の不良債権を抱える銀行は有利な運用より、安全確実な運用を選択する。  安全確実な運用は稼げる利益が少ない。 どの銀行もどの銀行も安全確実な運用を目指すのであれば、運用先はごく限られる。  この為資金を必要としている部署には資金が回らず、信用度の高い優良な投資先だけが過当競争になる。  したがって銀行の得る利益もごくわずかとなる。  すなわち健全な銀行の持つ金融仲介機能が停止状態に陥り、信用創造機能は放棄されている。
不良債権問題を一刻も早く処理して健全な金融仲介機能を回復することが、銀行にとって何よりも急務である。

現在わが国は政府部門は巨額の財政赤字を抱えて、景気対策が取れない。  企業部門も過剰債務、過剰設備を抱えて新規の設備投資に踏み切れない。  需要の減退による物価下落をいかにして食い止めるか、とても新規雇用を望めるような状態ではない。
唯一頼りにされているのが個人金融資産1400兆円といわれる家計部門である。  GDP(国内総生産)の6割を占めるといわれる個人消費をいかにして拡大させるか。  また現在家計部門に集中している健全資産をいかにして他の部門に移転させるか。 それこそが今後のわが国の課題として取り上げられることとなろう。  だからわれわれ個人は将来、現在の負担が軽減したり、大幅な減税を期待したりする甘い夢は描かないほうがよい。  それどころか将来の負担は確実に重くなる。  これは確信を持っていえることである。

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