米、威信失墜
9月11日、就寝前テレビを見ていると、ニューヨークの貿易センタービルにジェット旅客機が突入したと報じられていた。 前代未聞のことと、驚きながらもこの時点では偶発的な事故と信じていた。 しかししばらくすると、貿易センタービルサウス棟にもジェット旅客機が突入したと報じられるに及んで、これは間違いなく大事件であると確信した。 翌朝の新聞を見ると国防総省の建物にも旅客機が突入し、同時多発テロの疑いが濃厚と報じられている。
誰が何の目的で事件(米政府は戦争行為と認識している)を引き起こしたのか現在の段階ではまだわからない。 しかし米国の受けた人的、経済的被害は甚大である。 また、ソビエト連邦崩壊の後唯一の超大国として、君臨していた米国の威信も大きく傷ついた。
まさかこれほど容易に、米国の誇る防御網が突破されるとは思いも及ばなかった。 経済、軍事の中枢がいとも簡単に攻略されたのである。 もしこれらの旅客機に核兵器が搭載されていたら、米国は回復が困難なほどの大打撃を受けるところであった。
ところでこのテロ行為により経済活動は大被害をこうむった。 金融市場は閉鎖され、株式市場も開かれていない。 空港も全面閉鎖のため輸出入が完全にストップしている。 また貨物だけでなく旅客の移動もできない。 皮肉なことにFRBノグリーンスパン議長は
スイスに、オニール財務長官はアジアにともに出張中で米国に帰れない。 またこのテロが中東出身者により引き起こされたのではないかとして原油価格が急騰している。 さらにテロによる破壊行為が景気に悪影響を及ぼすとして、消費者心理を悪化させ個人消費を抑制する。 この状態が長引くと、ただでさえ悪化しつつある米国経済をさらに悪化させ、世界同時不況の引き金にもなりかねない。