金融ビッグバン(大改革)

新聞の社説に”金融ビッグバンが目指す間接金融から直接金融へのシフトは、リスクを取れなくなった金融機関に代わって家計が直接、リスクを取るシステムへの移行を意味する。  政府は平成11年版「経済白書」で家計が積極的にリスクを取る行動を奨励している。(第三章、新しいリスク秩序の精算に向けて)   これは金融機関や政府は家計の資産を安全に運用できないという宣言に等しい”と書いている。
我国は制度上預貯金が元本保証、確定利付きで守られている。  お金を預かった銀行や郵便局は、これを投融資して利息や配当、値上がり益などによって得た収益で預金者の元本を保証し、定められた利息の支払いに充てている。  つまり運用のリスクはすべて金融機関や郵便局(国)がかぶっている。  今問題になっている不良債権は金融機関等の運用の失敗から生じている。
金融が本来、不確実な投融資から得られた収益から成り立つものである以上、絶対安全確実な運用などありえない。

金融機関や政府が家計の資産を安全に運用できないのであれば、これに代わって個人自らがリスクを取って直接運用するしかない。これによって生じる損害はあくまで自己責任ということになる。
預貯金は今後ペイオフが実施されると、一定額の元本しか保証されなくなり、限度額を越える部分は預金者に危険負担が生じる。  今まで安全確実と思われていた預貯金も安全でなくなるということである。

これまで間接金融に頼って運用してきた個人の資産も、将来は個人の責任で直接資産を運用する直接金融が主体となってくると思われる。  個人が直接資産を運用する為には、今まで人任せにしていた金融の知識から勉強しなければならない。  そうでないと大切な自分の財産を守れなくなる。  資産の運用である以上絶対リスクのない運用はありえない。 リスクを嫌ってタンス預金をしていたところで、盗難とか火災のリスクは発生する。  要はいかにしてリスクを減らし有利に資産を運用するか。  運用の巧拙によって資産形勢に雲泥の差が生じる。  比較的安全な資産運用ほどそれによって得られるリターンは少ない。  例えば国債に投資すると安全度は格段に高い、その代わり利回りは他の運用に比べて低くなる。

先日の新聞に”銀行の国債保有最高と報じられているが、企業の資金需要が低迷する中、信用リスクも更に拡大しているので銀行は安全度の高い国債に投資を傾けている。  現在のところ個人の国債投資は比較的少ないが、郵便局が高利率の定額貯金満期の受け皿として国債を販売し始めた為徐々に国債保有が増加しつつある。  ペイオフが実施されると安全思考の強い個人は、国債投資を積極的に活用するのではないかと思われる。

ただ現在の国債相場は日銀のゼロ金利政策、資金需要の低迷、信用リスクの回避等のため運用資金が集中し、債券相場が歴史的な高値圏にある。  今後何らかの理由で長期金利が上昇するとキャピタルロスの発生する可能性があり、金融機関はこれ以上国債保有を拡大させられないとの見方もある。  金融機関に代わって個人が国債投資を増やせば、財政赤字で増発が続く国債ノ需給悪化に歯止めがかかり、長期金利の安定にもつながるものとして期待される。

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