米国のリセッション

私的な事で恐縮であるが、小生も会社勤めの身なので会社の決算期とか、個人の確定申告の時期にはどうしても手の離せない用事が
あって、ホームページ作りもつい疎かになってしまう。 ようやく一区切りついたので以前のペースに徐々に戻したいと思っている。

さて 一ヶ月休んでいる間に世界の経済情勢は、一段と厳しい状況に追い込まれてきているようである。
日本の平均株価は一時12,000円を割り込み、ナスダックに比べて比較的順調であった米国のダウ工業株30種平均株価もついに一万ドルの大台を割ってしまった。  米株価下落に伴う時価総額の減少は昨年末に比べて、60兆円に及ぶと報じられている。
60兆円という金額が如何にに巨額であるか。 不良債権問題で悩む我国金融機関が昨年9月末で抱えていた問題債権の総額が、
約63兆円といわれていることと比較してもその巨大さが判るであろう。
米国投資家はこの僅か3ヶ月の間にこれだけのダメージを蒙った。  これは必ず逆資産効果として個人消費に悪影響を及ぼす。

昨秋から急速に下降し始めた米国の景気は、当初極く軽微なもので景気後退(リセッション)にまでは至らず今年後半には立ち直るものと予想されていた。  しかしそれまで絶好調を究めたハイテク産業は、過大な設備投資により供給過剰をもたらし需給を悪化させた。
需給の悪化は、複数の企業の業績見通しを時間の経過とともに下方修正させ、それまで過大な期待を抱いていた多くの投資家に冷水を浴びせかけた。

ハイテク銘柄の多いい店頭市場のナスダック株価指数は、ピークからすでに60パーセント以上も下落している。 この株価暴落で多くの投資家が資金を失った。  株の下落はハイテク銘柄だけではない。  最近では日本の金融機関の不良債権が取引関係のある米銀に
損害をもたらすとして、銀行株にまで飛び火している。
株暴落は消費者心理を冷やし、企業マインドを低下させる。これまで景気を引っ張ってきた設備投資は、需給悪化で減速は必至である。
個人消費も株価暴落で期待できない。    これに対してFRB(連邦準備理事会)は年初より1.5パーセントの利下げを行い
ブッシュ大統領は減税を前倒しで実施すると約束している。

しかし FRBグリーンスパン議長の金融政策に対する信頼感は、一時ほど絶対的なものではないし、金利引下げの幅、時期ともに誤りではないかとの意見もある。
一方ブッシュ大統領の減税による消費拡大によって、景気を浮揚させるという政策にも異論がある。

高名な経済学者の間でも「米国景気はいよいよ本格的な調整期に入る」という人もあるし、「調整は比較的軽微で本年末には立ち直る」
という楽観的な人もある。   しかし我国のバブルがはじけた当時、以後これだけ長期に亘って日本が苦しむ事を誰も予想し得なかった。   またつい最近までニユーエコノミー論なるものが唱えられ、ITの進歩により景気の変動がなくなり、このまま好況が続くと論じられた。

いずれにしても余りに楽観的な見方は、悔いを千載に残す事になるのではないか。

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